勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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今回は原作を知らない人にたいしてネタバレが入ってますので注意です


第3話 大赦へ

日曜日、本来なら勇者部の活動で保育園にボランティアへ行くはずだったのだが、僕は大赦へ来ていた。さすがにこの間みたいに部長に怒られるのは嫌なのでちゃんと欠席することを伝えておいた。

 

 

 

 

僕はある一室の扉にノックをした。本来ならこの部屋は重役の人間くらいしか入れない場所。だけど僕はこの部屋の主に自由に入ってもいいと言われているが……

 

(とはいえ、好き好んでこんな部屋に入ろうとは思わないな。正直お世話係の人はすごいとは思う)

 

部屋にはまるで神を崇めているように沢山の物が置かれていた。その部屋の奥にベッドに横たわる少女がいた。

 

「やっほ~きょうくん」

 

彼女は乃木園子。体中に包帯が巻かれ痛々しい姿をしている。彼女自身そんなの気にしない感じで僕を笑顔で出迎えてくれた。

 

「一週間ぶりだね」

 

「あぁ、そうだね。園子様」

 

「むぅ、様はいらないよ~」

 

彼女は怒った顔をしている。彼女は僕に対しては対等の関係であって欲しいと思っている。だけど僕からしてみれば彼女のほうがずっと立場は上だ

 

「敬語で話そうか?」

 

「怒るよ」

 

彼女は笑顔でそう言うが声がかなり怒っている。いい加減誂うのはよそう

 

「それで今日はまた暇つぶしに呼んだのか?」

 

「だって私が自由にここに呼べるのって、お世話してくれる人と貴方くらいだもん。それにわっしーのことも聞きたいから」

 

わっしーこと鷲尾須美。乃木園子の親友である……いやだった少女というべきか。園子は今鷲尾須美がどうしているか僕に聞きたがっている。僕はこの一週間あったことを彼女に話していった

 

「そっか~きょうくんと仲がいいんだね」

 

「……園子様」

 

「様はいらないって言ったよね」

 

「ワザと言ってるんだ。僕からも聞きたいことがある。彼女たちが勇者になる確率は本当に高いのか?」

 

「……高いよ。彼女たちの適正値は他の子達よりもずっと高いし、わっしーも配置してるからね」

 

「逆に選ばれない確率は?」

 

「どうだろうね?選ぶのは神樹様だから……きょうくん、聞いてるよ。どうしても貴方は

一人でも戦うって……」

 

「……それはあの日からずっと決めていたんだ」

 

僕は右腕を彼女に見せた。彼女はこの右腕を見るたびに悲しい顔をする。

 

「お前と初めて会った時から決めていた」

 

 

 

 

それは彼女と出会った日のこと、いつもの勉強の時間が何故か早めに終わり、大赦の人間が園子の元へ案内した。彼女の周りには沢山の大赦の人間がいた。

 

「はじめまして~神宮桔梗くんだね~わたしは乃木園子」

 

僕は彼女の姿を見て、自分と同じあの災害に巻き込まれたのだと思った。正直右腕一本で騒いでいた自分が恥ずかしいと思ったくらいだった。だけど彼女は……

 

「きょうくん。ごめんね」

 

「……何が?」

 

どうして彼女が謝るのか分からなかった。彼女が僕に対して何かをしたのか?でも、彼女と会うのは今日が初めてだ。

 

「私は人類の敵であるバーテックスと戦った勇者なんだ」

 

勇者、それにバーテックス。僕の親代わりの人から聞いてはいた。大赦はその勇者を支援する団体と僕は解釈はした。だけど彼女が勇者だからって謝る理由が見つからない

 

「あの大橋での災害。あれは私がバーテックスとの戦いで起きたことなの。私が頑張って戦っていればあんなことが起きなかった。貴方の両親は死ぬことなかった。だからごめんねって言ったの」

 

「………」

 

「別に怒鳴り散らしても、恨んでくれてもいいよ。それに好きなように殴ってくれてもいい。きょうくんにはその権利がある。大赦のことは気にしなくていい。そう頼んであるから……」

 

僕は黙りこんだまま、彼女に近寄り左手を振り上げた。彼女は目を瞑った。彼女はきっと痛いのだろうなと思っている。回りにいる大赦の人達も彼女が願ったことだから仕方ない。僕を攻めてもしょうがないと思っている。だけど僕は……

 

「ふぇ」

 

彼女の頭を撫でた。彼女自身も回りにいる人達も驚いていた。

 

「殴らないの?それに怒ったりとかは……」

 

「馬鹿だろ。お前」

 

「ば、馬鹿って……」

 

「園子、お前に怒鳴ったり、お前を恨んだり、お前を殴れば僕の家族は戻るのか?僕の右腕が生えてくるのか?ありえないだろ」

 

「そ、それはそうだけど……」

 

「それにそんなに身体がボロボロになるまで戦った女の子に怒ることなんて出来ない。普通なら褒めるところだしな」

 

「……きょうくん」

 

園子はわんわん泣き出した。きっと彼女自身救われたのだと思う。そして僕は決めたんだ。

 

 

 

 

 

 

「あの日から僕はもう二度と園子みたいな事にならないように考えたさ。その結果が……僕が頑張るということだ」

 

「……きょうくん」

 

「きっとこれも神樹が決めたことなんだろうね」

 

僕はそのまま部屋をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大赦の開発部に立ち寄り、僕専用の端末を受け取った。これで来る日が来た時、戦うことが出来る。とはいえ、本来量産するのにかなり大変だと言われているシステムや端末を僕専用に作り上げてくれたのには申し訳ないと思った。

 

「今は普通の端末だけど、戦いが始まれば……」

 

「げっ、神宮」

 

フッと通路の前に三好夏凜と出会った。彼女は勇者候補の一人でもある

 

「夏凛。どうしたの?」

 

「あんたこそ、なんでいるのよ」

 

「お偉いさんと世間話と端末を受け取りに来た」

 

「今でも信じられないわね。あんたが勇者の適正があって、それも確実になると言われているなんて……本来なら女性しかなれないのに……」

 

「しょうがないだろ。選ばれたのだから……それで夏凛?今日は絡んでこないのか?」

 

「絡む?」

 

「いつもみたいに模擬戦とか……」

 

何故か夏凛は嫌そうな顔をしていた。何でだろう?

 

「悪いけどあんたとは戦いたくないわよ。試合なら反則なのに実践では通用することばっかりしてくるから、正直前のアレでトラウマよ」

 

「あぁ、アレは早く帰りたかったから」

 

あの時は面倒くさかったから、夏凛の頭を掴んで地面に叩きつけ、耳元で囁いて……

 

「うん、トラウマになるな」

 

「くっ」

 

「まぁバーテックスとの戦いは試合じゃないからね。いい経験だったでしょ」

 

「ふん、精々私が来るまで頑張るのね。直ぐに殲滅してあげるわ」

 

夏凛はそう言ってどこかへ去っていく。何だか夏凛とはこういう風に話して、別れるのが多いな……

 

「さて、時間があるし、部長に連絡して合流しますか」

 




ちょっとお知らせがあります。書いていて、タイトルを変えたほうがいいと思い、タイトルを変えます。『勇者の花と桔梗の花』に変えますのでよろしくお願いします。

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