勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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最終話です


最終話 美森の花、桔梗の花

讃州中学文化祭。

 

僕は讃州中学勇者部の演劇を見ていた。魔王は先輩、勇者は友奈。物語はすでに佳境に近い

 

「結局世界は嫌なことばかりだろ!?」

 

「そんなことない!大切だと思えば友達になれる。お互いを思えば何倍でも強くなれる!無限に力が湧いてくる!!」

 

そうだったな、僕たちはずっとそうして戦ってきた。彼女の言うとおりだよ

 

「世界には嫌なことも悲しいことも自分だけではどうにもならないこともたくさんある。だけど、大好きな人や友達がいればくじけるわけがない。諦めるわけがない。だから…勇者は負けない!!」

 

勇者は魔王に斬りかかり、魔王は倒れていった。だけどその直後、勇者も倒れてしまった。僕はとっさに駆け出そうとするが正直出来なかった。彼女たちから僕という存在はいないのだから

 

「いい演劇だったよ。みんな」

 

僕は盛大な拍手を聞きながら体育館を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいない勇者部に行き、机の上に僕は五枚の絵をおき、一言添えた

 

『勇者よ、永遠に』

 

「これでよしと……」

 

僕はそのまま部室から出て行く、そして校門に着くと一台の車が止まっていた。

 

「乗って行くかい?」

 

「あぁ」

 

運転手は春信さんだった。そして後ろの席には見覚えのある顔があった。

 

「よぉ、園子」

 

「ずっと待っていたんだよ~一人で勝手に問題解決しに行っちゃうし……帰ってから会ってくれなかった。もしかして嫌われたかと思ったんだけど……」

 

「悪かったって……今日のためにずっと絵を書いてたんだから」

 

僕はクルマに乗ると、園子はあることを聞いてきた。

 

「でも良かったの?天の神に頼んでみんなの記憶からきょうくんの事思い出すことだってできたんだよ」

 

「いいんだ。正直願いを簡単に変えちゃいけないって思ってるから」

 

「でも約束破ってるよね?天の神との」

 

みんなで一緒に来て下さいって言われてるが……仕方ないさ。

 

「その時はお前とみんなで行ってもらうさ」

 

「はぁ~」

 

「何で溜息つくんだ?」

 

「ううん、なんでもないよ~これからは敵もいなくなって、勇者は天との交流役となるんだね~そのためにシステムも新しく作り変える」

 

「もう辛い思いをしなくても大丈夫なのか?」

 

「満開も散華もなくなる。精霊の力も制限がついてるからね。ヘタすれば死ぬかもしれないけどきっとだいじょうぶかな?」

 

いいのか?そんな感じで……

 

「それとわたしも勇者部に、讃州中学に入ることになったから」

 

「そっか、みんなによろしくって覚えてないから……仲良くしてやれよ。園子」

 

僕は車を降り、自宅へと帰っていくのであった。車の中で園子は僕のことを見送ると……

 

「大丈夫。きっとみんな思い出すから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日がたった。僕は浜辺で絵を描き終え、家に帰る途中の事だった。前から見覚えがある五人の少女の姿があった。結城友奈、東郷美森、犬吠埼風、犬吠埼樹、三好夏凛。多分勇者部活動の帰りだろうか?彼女たちは笑顔で平穏な日々を送っていた。

 

(よかった……)

 

僕はそのまま彼女たちの横を通り過ぎた。もう彼女たちに声をかけることは出来ない。ただ見守るだけしか出来ない。それでいいんだ。僕がそう思いながら前を歩き続けようとした。

 

「待って!!」

 

突然誰かが僕を呼び止めた。振り返るとそこにいたのは東郷だった

 

「……あの何か?」

 

「ずっと思い出せなかった。私達勇者部にもう一人いた気がずっとしていた。友奈ちゃんが目覚めた後に言われたの……大好きだった人のことを」

 

まさか、いや、ありえないはずだ。友奈はどうやら覚えていたけど、他の皆は覚えてるはずがないはずなのに………何で……

 

「友奈ちゃんに聞かされてもずっと思い出せなかった。それは他の皆もそうだった。だけど、さっき通り過ぎた時……思い出せた。貴方のことを」

 

本当なのか?それは本当なのか分からない。

 

「それだったら僕の名前を言ってみてよ……君が僕のことを知っているなら……言えるはずだ」

 

「神宮桔梗くん。私が大好きな人だよ」

 

東郷は涙を流しながら微笑んだ。僕はそのまま彼女を抱きしめた。

 

「思い出したんだな」

 

「うん」

 

「ごめん、辛い思いをさせて……」

 

「いいの、貴方がそうするべきだって思っていたのだから」

 

「そういえば足治ったんだな」

 

「うん」

 

「みんなは僕のこと思い出してるのか?」

 

「私と同じ時くらいに、友奈ちゃんはずっと覚えていたみたい」

 

「そうか……」

 

僕も何故か涙が出てきた。僕が泣いているのに気がついたのか東郷は僕の顔を見て微笑んだ

 

「泣かないで……もう忘れないから」

 

「あぁ、僕も皆のことを、君のことを忘れさせたりしない」

 

僕たちは互いに微笑み合い、手を繋ぎながら皆の所へと行くのであった。

 

「みんなに会ったら最初になんていうの?」

 

「それはもちろん」

 

僕は皆のところへ行き、笑顔で伝えるべき言葉を伝えた

 

「ただいま」

 

 

 

 

勇者の花と桔梗の花 完

 




これで最終回ですが、既に続編も考えてます。

タイトルは

鈴藤灯華は勇者になれなかった

となっております。以前灯華は登場してます

それと最終回と同時に桔梗のキャラ紹介もあげてあります。では続編で
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