勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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第4話 風の樹

大赦での用事を済ませ、部長に連絡を入れると部活動は終え、今はみんなでかめやに行っているらしい。

 

「とりあえず合流しますか」

 

僕は端末をしまうと何故か後ろから視線を感じた。

 

(大赦の人間か?僕のことを気に入らない位いるだろうと思ったけど……それにしても気配くらいは消せないのか?)

 

僕はため息を付き、後ろを振り向くと一人の少女が驚いて尻餅をついた。当然だ、きっと声をかけようとした瞬間に、いきなり後ろを振り向かれたら、誰だってビックリはするだろうな。

 

「えっと、大丈夫?」

 

「は、はい、す、すみません」

 

尻餅をついた少女に手を貸した。うん、大赦関係の人間ではないみたいだな。普通そうに見えるし……

 

「それで僕に何か用?何か声をかけようとしてたみたいだけど……」

 

「は、はい、その、これを落としたので……」

 

少女は一枚のハンカチを見せてきた。何か見覚えがあると思うと僕のだった。

 

「もしかして拾ってくれたの?」

 

「はい、拾ったのは良かったんですが、どう声をかけようか悩んじゃって……」

 

どうやら彼女は控えめな性格みたいだ。まぁ普通は知らない人に話しかけるのは怖いだろうな。というかよく僕は昔、大赦の人にあんなこと言えたな……

 

僕は彼女からハンカチを受け取り自己紹介をした。

 

「ありがとう。僕は神宮桔梗」

 

「あ、私犬吠埼樹っていいます」

 

ん?犬吠埼?はて聞き覚えのある名字だな……うん、もしかしなくても……

 

「もしかして風部長の妹さん?」

 

「は、はい、神宮さんも……」

 

「桔梗でいいよ」

 

「桔梗さんはお姉ちゃんの作った部活に」

 

「あぁ、入ってるけど色々と忙しくて幽霊部員だったりするけどね」

 

「あぁ、お姉ちゃん怒っていました。入部したのにあまり来ない部員がいるって」

 

悪いとは思っているよ。とはいえ連絡をしない僕も悪い。今日は連絡をしっかり入れてあるからいいけど……

 

「妹さんは……」

 

「あっ、樹でいいです」

 

「樹はこれから暇だったりは?」

 

「えっとまだ買い物が終わってなくって」

 

「そっか」

 

丁度今は夕方くらい、5月とはいえ彼女が買い物を終える頃には外は真っ暗になるだろうな。

 

「しょうがない」

 

僕は端末で部長に連絡を入れた。

 

『すみません。ちょっと困った人見つけたので合流できません』

 

と連絡入れた。すると直ぐに返信が来た

 

『何だって!?あの桔梗が!?人助けだと』風

 

『大丈夫?手伝おうか?』友奈

 

『明日は雨かしら?』東郷

 

うん、友奈以外は後でお説教だな。

 

「買い物、手伝うよ。ハンカチ拾ってくれたお礼」

 

「えっ、でも……」

 

「それに暗くなったら樹一人じゃ夜道は危ないしな。それに荷物持ちくらいは出来るしね」

 

「あ、で、でも」

 

「いいから男がそう言っているときは甘えとくんだよ」

 

「は、はい」

 

僕たちはそのまま買い物へと出かけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

樹の買い物の荷物持ち兼ボディーガードとして犬吠埼姉妹の家に着いた。どうやら部長はまだ帰ってきてないみたいだな

 

「お姉ちゃん、部活で忙しいのかな?」

 

「部活で忙しいというよりかは寄り道で忙しいんじゃないのか?ちょっと前に連絡した時うどん食べてるって返信来たし」

 

「お姉ちゃん、夕飯もあるのに大丈夫かな?」

 

「あの人は胃袋が二つあると思うぞ。うどん用とその他の食べ物って分けられている感じで」

 

「それは……あり得そうですね」

 

二人で笑っているが、部長の帰りが遅いと樹が一人ぼっちになるし……さっき帰り道で話したが料理はあまり出来ないみたいだし……

 

「よし、折角だから夕食作るよ」

 

「えっ、でも、そこまでしてもらうのは迷惑じゃ……」

 

「僕が作りたいから作るんだよ」

 

僕は袖を捲り、料理を始めようとした。

 

「あっ」

 

すると樹は何故か驚いた声を出した。

 

「ん?あぁ、聞いてないんだ」

 

樹が驚くのは無理は無いだろうな。普通の人だったら義手を見たらビックリはするさ

 

「その右腕……」

 

「昔事故でね。まぁ色んな人に驚かれたよ。まぁ慣れたけどね」

 

「……すみません。驚いたりして」

 

「僕も急に見せてゴメンな。さて、樹にはいろいろと手伝ってもらうかな」

 

「は、はい」

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして部長が帰ってきた

 

「何かいい匂いがすると思ったら桔梗来てたの?」

 

「えぇ、樹と偶然会ったんですよ」

 

「桔梗さんのハンカチを拾ったんだよ。お姉ちゃん」

 

「なるほどね。あんたが困った人を見つけたって言うのは樹のことか、ありがとうね。樹に付き添ってくれて、更に夕食まで」

 

「これも勇者部の活動ですよ。僕と樹は先に食べてしまったんで、部長の分残してありますよ」

 

僕は食器を下げ、帰ろうとした。

 

「樹、ちょっとそこまで送って行くわね」

 

「うん、お姉ちゃん」

 

見送りは別にいいのに……とはいえなにか話したいことでもあるのか?

 

 

マンションの玄関まで来ると部長はあることを聞いた。

 

「桔梗、今日あんたが呼び出されたのは?」

 

「……僕の端末の受け取りとちょっと世間話ですよ」

 

「そう、」

 

俯きながら何を聞こうか迷う部長

 

「僕は別に戦うのはいいですけど、部長は樹のこと巻き込みたくないって思ってるんですか?」

 

「……普通そうでしょ」

 

「……普通ならね。でも部長は樹の他に友奈や東郷のことも心配してる。あんまり背負い込み過ぎないほうがいいですよ」

 

ましてや外れる可能性があるのだから……

 

「ねぇ、桔梗。本当にこういう事について話せるあんたがいてくれてありがたいわ」

 

「愚痴くらいは聞きますよ。部長」

 

「それと別に部長呼びじゃなくって、風でいいわよ。何だかあんたに部長って呼ばれるのはこそばゆい気がするの」

 

「そうですか、では風先輩」

 

「ううん、先輩もちょっと」

 

今日はいろいろと呼び方に関して怒られるな……

 

「我慢してくださいな」

 

「しょうがないわね」

 

僕は風先輩と別れ、自宅へと戻るのであった。

 

 




2話が東郷さん、3話が園子と夏凛ちょっと、そして今回が犬吠埼姉妹。夏凛については本編始まってから書きます。次回は友奈回となります
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