ここしばらく大赦からの呼び出しがなく僕は結構勇者部に顔を出すことが多くなった。
「ようやく幽霊部員が来るようになって部長としては嬉しいわ~」
と風先輩が言うけど、本当に忙しかったんだけどな。まぁそこら辺は先輩もわかってるけど……
「でも桔梗くんはお家のことで顔を出せてなかったの?」
「一人暮らしだもんね、家事とか大変だよね」
東郷、友奈の二人には僕が大赦の人間というのは隠してある。これは先輩に言われてのことだ。自分たちが大赦の人間であることは、彼女たちが勇者になった時に明かそうと二人で話し合って決めた。
「一応保護者代わりの人がいるけど基本的に忙しい人だからね。普段から家に帰ってくることはないし、家事とかもある程度は教えてもらったから大丈夫だな」
「ねぇ、桔梗くん」
「何だ?友奈」
「寂しくない?」
心配そうに聞く友奈。確かにまだ中1の子供が一人で暮らしていれば普通なら寂しいとは思うけど……
「別に……慣れたよ」
「そっか、でも桔梗くんが本当に寂しいと思ったらいつでも……」
何故か変な空気になってしまった気がする。東郷もそれを感じ取っていた。というかちょっと怒ってない?
「桔梗くん?私もいつでも頼っていいからね」
「あ、はい」
何かほんとうに怖いんだけど……
「それじゃ、今日もゴミ拾いに行きましょう」
いつもみたいに野外でのゴミ拾いを始めた僕達。道行く人達に『えらいね~』とか色々声をかけられる。まぁこういう活動は別に嫌いではない。
「にしても三日前にゴミ拾いしたのに結構落ちてるものね」
「ポイ捨てをする人や動物が悪戯で散らかしたりしますからね。切りがありませんよ」
「でも、やらなければゴミは溜まっていく一方よ」
「まぁ街が綺麗になるのはいいことだからね」
僕、先輩、東郷の三人で話してるが、何故か一人だけ会話に入らなかった子が一人だけいた。
「そういえば友奈は?」
「ありゃ?あっちのほうまで行っちゃったかな」
「でも、それでしたら声をかけるはずですが……」
周りを見渡し友奈を探していると木の近くで跳ねているのを発見した。友奈の隣には小学生くらいの女の子がいた。よくよく見ると気に風船が引っかかったみたいだ
「あともう少し……えいっ!」
勢い良くジャンプをして風船をキャッチする友奈。だが、着地に失敗したのか尻餅をついた。
「あいたた、着地失敗しちゃった。でも、はい、風船はしっかり握ってたから」
「ありがとう」
友奈は少女の笑顔を見て、自分も笑顔でいた。少女は風船をギュッと握りしめて友奈に手を振って去っていった。
「大丈夫?友奈ちゃん」
「あ、東郷さん。それにみんなも、ごめんね、あの子の風船取ろうと思って……」
「まぁ、困った人を放っておけないのが友奈らしいわね」
「あはは~」
「それじゃあ、学校に戻りましょう」
「はい」
学校に戻ろうと提案する先輩だが、友奈はその場にジッとしたままだった。
「どうしたの友奈ちゃん?」
「あっ、えっと、ちょっと落し物して……探してくるから先に……」
「友奈、足捻ったのか?」
「えっ!?」
僕の一言に驚く友奈。やっぱりそうだったのか。基本的に運動神経いい友奈が着地に失敗したのが少し気になっていた。
「友奈ちゃん、本当?」
「う、うん、ちょっと痛くて……」
「全く何ですぐに言わないのよ」
「だって、皆に心配を……」
「友奈、言い訳は後から聞くから、ほら」
僕は友奈をおんぶしようとした。だけど友奈は
「だ、大丈夫だよ。ちょっと痛いだけで歩けるから……」
「やせ我慢はしなくていい。あまり頑固だとお姫様抱っこにするぞ」
「あら、それはいいわね」
「うぅ、そっちのほうがもっと恥ずかしい。分かったよ」
納得した友奈。僕は早速友奈をおんぶした。
「とりあえずここからなら僕の家が近いですから、そこで応急処置をしますよ」
「それじゃあ、今日はここで解散ね。東郷は私が送って行くわ。それでいい東郷?」
「はい、桔梗くん。くれぐれも友奈ちゃんのこと……」
「あぁ、任せろ」
僕が住んでいるマンションに着くと早速友奈の足を処置した。
「捻っただけだから良かったな」
「ごめんね。重かったでしょ?」
「別にそんなことはなかった。とはいえ処置をしたとはいえここから帰るのも大変だろ。親に連絡は?」
「それが……今日二人とも帰りが遅いから……」
さて、そうなるとまたおんぶをして行くことになるが、ここに着いて降りた後、しばらくボーとしており、顔も真っ赤にしていた。まぁ普通同年代の男におんぶされることはないだろうし……
「明日は休みに入るからな……ここは」
僕はある人物に連絡をとった。その人物としばらく話すと……
「友奈、送っていく」
「えっとまたおんぶ?」
「流石に友奈も恥ずかしくって無理だろ。ちゃんとした方法で送って行くけど……正直僕の秘密を知ることになるかも……黙ってられるか?」
「う、うん」
マンションの玄関でしばらく待つと一台の黒い車が来た。友奈はその車に刻まれたあるものを見た。
「これって大赦の……」
「車に乗りながら話すよ」
車に乗り、僕は友奈に話した
「………僕の死んだ両親、祖父は大赦の人間だった。そして家族を無くした僕を保護してくれたのも大赦。そうなると分かるだろ」
「桔梗くんも大赦の人なの?」
「まぁそうなるな。大赦の仕事も有ったから部活にいけないことがあった」
先輩との約束を破ってしまったけど、仕方のないことだった。ただ、友奈がそれを聞いてどう思うかだ
「そうだったんだ。でも……私のためにどうしてこんなことを……」
「普通なら駄目だけど……」
すると運転手の人が代わりに説明した
「大赦の中に桔梗と仲がいい子がいるからね。あの子は結構大赦では偉いほうだからね。友達のためならって言っていたよ」
「あいつがな……」
「その、やっぱり桔梗くんが大赦の人間であることは……」
「機会を見て話すから、それまで黙っていてほしい」
「うん、分かった。じゃあ、はい」
友奈は小指を出してきた。一瞬戸惑った僕だったけど、すぐに理解した。
「指切りだよ。約束破ったりしないから」
「あぁ、」
僕は友奈と指切りを交わすのであった。
友奈を家に送って行き、僕はそのまま車に乗って帰るのだった。その帰り道
「それにしても園子が許してくれたのも驚いたけど、運転手が貴方なんてね。三好春信さん」
運転手、三好春信。三好夏凛の兄であり、若くしてたいしゃのエリートになった人だ。
「たまたま園子様にお話があってね。それにしても君は……」
「何か?」
「二人の女の子に約束事を交わすなんてね」
「別にいいじゃないですか。それぐらいは」
「その内君は苦労しそうだね」
クスクス笑う春信さん。というか苦労って一体どんな苦労を……
友奈回でしたが、ちょっと本編の方にオリジナルの方も入りますね。桔梗が友奈に大赦の人間だというのをバラしたので……あと、原作には名前しか出てこなかった夏凛のお兄ちゃんも登場です。
次回から何話か日常関係の話を書いてから、本編にいきますので