友奈に打ち明けた日から数日がたったある日のこと、僕は園子のところに来ていた。
「悪かったな、あんなことで頼んじゃって」
「別にあれぐらい大丈夫だよ~きょうくんは友達思いだね~」
「普通ならそうするさ。まぁ友奈には知らちゃったけどな」
「でも、きょうくんはあの子のことを信じてるから打ち明けたんだよね」
確かに友奈のことは信じられる気がしたからこそ、あんな方法を取ったんだ。というか知らない内に僕は友奈だけじゃなく、他の勇者部メンバーのことも信頼してるのかもしれない……
「そうだな……信じてるからか」
「………きょうくん」
何故か園子は俯いていた。声も何だか弱々しく感じる
「きょうくんは私の事を信じてる?」
「園子のことを?まぁ信じてるけど……」
「………きょうくん。実は」
「駄目だ。別に言わなくてもいいよ」
何かを言いかける園子を僕は止めた。園子自身も驚いている。
「お前はまだ僕に教えてない秘密があるんだろう。なんでわざわざ話す必要があるんだ?」
「それはそうかもしれないけど……」
「それにその秘密とやらを知ったとしても僕は園子のことを信じられなくなるわけはない。そうだろ?」
「……うん、きょうくんならそういうよね」
園子はさっきまでの暗かった表情からすぐに明るい表情へと変わった。あんまり女の子は暗い表情でいて欲しくはない
大赦から戻った僕は急な頭痛に襲われた。
「つぅ、なんだこれ……」
頭痛がだんだんひどくなっていき、そのまま倒れこんでしまった。
それは昔の思い出、まだ両親が生きていた時のこと……
何故か僕は公園で泣いていた。一体何があったのかは覚えてないけど、何故か悲しかったんだ
「ねぇ、大丈夫?」
そんな僕に同い年の灰色の髪の少女が声をかけてくれた。
「――――ちゃんに好きって言ったんだけど……」
「あちゃー、振られちゃったんだ。それに相手が――――なんて」
「もう僕は一緒に遊べないのかな」
「いやいや、そんなことないよ。よしここはあたしが……」
少女が何かを言いかけた瞬間、映像が切り替わる。
映像が切り替わるとまた僕は悲しい思いをしていた。あの子がきっかけを作ってくれたあの子が死んだ……葬式には―――と―――がいた。僕は声をかけようとするがなんて声をかければいいのか分からないでいた。
更に映像が切り替わり、僕は樹海にいた。でも何故か僕は右腕が無かった。そして誰かが僕を呼びかけていた。
「――――くん、――――くん」
呼びかける誰かの他に……真っ赤に染まった何かが―――
「はっ!?」
目を覚ました瞬間、体中が汗を掻いていたことに気がついた。どれほどの悪夢だったのだろうか。だが寝ていた所為か頭痛が治まっていた
「あの夢は……つぅ」
頭痛が治まったのはいいが右腕の付け根がひどく痛みだした。
「あんな夢を見たからだな……」
何とか痛みに耐えているが、僕はあることに気がついた。
「そういえば僕は何でベッドで寝ていたんだ?」
あの時倒れた場所は玄関だったんだけど……
フッとリビングで話し声が聞こえ、リビングに入るとそこには友奈、東郷、風先輩がいた。
「あっ、やっと起きた」
「体調は大丈夫?」
「全くいくら声をかけても反応がないから心配したわよ」
「何でみんながここに?」
というか突然倒れたとはいえ、僕は鍵を閉めなかったのか。泥棒にでも入られたら大変だったな
「今から勇者部の皆で花火やろうって思って、メールしたんだけど返事がなくって」
「友奈ちゃんが心配して桔梗くんの家に行こうって言い出して、来てみれば倒れていたの」
「全くベッドまで運ぶの大変だったわよ。それで具合は?」
「大丈夫。ちょっとひどい頭痛があって……今は落ち着いているから……」
心配してくれる三人。何だか心配かけて申し訳ないな。
「みんな、心配かけてゴメン」
「駄目よ。桔梗くん」
皆に謝ると何故か東郷に注意された。
「桔梗くんは謝らなくていいの。心配したのは本当だけどこういう時は謝罪じゃなくってお礼を言わないと」
「まぁ一番心配してたのは東郷だけどね」
「うん、あんなに取り乱す東郷さんは初めて見たよ」
「それは誰だってあんな所で倒れていたら心配するわ」
「……みんな」
僕は改めてみんなを見て告げた。
「ありがとう」
それからみんなが夕食を作ってもらい、僕の家で勇者部メンバーで夕食を食べるのであった。そして友奈たちが帰る頃、僕は友奈にあることを告げた。
「なぁ、友奈」
「何?」
「前に僕に『寂しくない?』って聞いたよな」
「うん」
「正直寂しいのに慣れちゃったのは事実だけど……こう答えられる。勇者部の皆がいるから寂しくないって」
僕がそう言うと友奈は笑顔を見せたのだった。そうだ、僕にはみんながいるからこそ寂しさはないんだ。
僕は皆を見送るとすぐに端末に連絡が入った。
『何かあったらすぐに連絡』風
『悩みがあったらすぐに相談』友奈
『悪化しないように気をつけて』東郷
「本当にいい奴らだな」
僕はみんながいることに対して嬉しい気持ちに一杯になっていた。そしてあの夢をただの夢だと思うようにした。
だが、僕はあの夢をただの夢だと思わなければ……園子が言いかけたことをしっかり聞いていれば……
あんなことにならなかったのに……
とりあえずシリアスな回でしたが、桔梗の過去の続きは本編にて、次回で日常編は終わり、原作本編に入ります