勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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今回から本編始まります。オリジナルなどを入れていく予定です


第8話 始まり

昔々、ある所に勇者がいました

 

勇者は、人々に嫌がらせを続ける魔王を説得するために、旅を続けています。そしてついに、勇者は魔王の城にたどりついたのです

 

「やっとここまでたどりついたぞ、魔王!もう悪いことは、やめるんだ!」

「私を怖がって悪者扱いを始めたのは村人たちの方ではないか~!」

「だからって嫌がらせはよくない。話し合えば分かるよ!」

「話し合えば、また悪者にされる!」

「君を悪者になんかしない!あ、あわわわわ~」

 

劇に熱が入りすぎた友奈、張り切りすぎて人形劇の張りぼてが倒れてしまった。

 

今日は勇者部の活動として園児たちに人形劇を見せることとなったのだが、張りぼてが倒れたことによって妙な空気が流れてしまった。

 

「あぁ、やっちゃった」

 

「あ、当たんなくてよかった~。でもどうしよ」

 

園児たちに怪我がなかったことに安堵する風だが、この後の劇をどうしようか考えると、テンパった友奈が思わず風操る魔王に……

 

「勇者キーック!」

 

「ええぇ~~~!?」

 

攻撃をしてしまった。

 

「おま、それキックじゃないし! ていうか、話し合おうっていってたところじゃないの~!」

 

「だって、言っても聞かないから」

 

「こうなったら食らえ~! 魔王ダブルヘッドバッド!」

 

自棄糞となった風も演劇を続けた。戸惑う樹に風は指示を出した。

 

「樹! ミュージック!」

 

「じゃあ……これで!」

 

「ええ!?ここで魔王テーマ!?」

 

「わっはっはっはっは~!ここが貴様の墓場だ~!」

 

「魔王がノリノリに~~おのれ~!」

 

東郷も何とかこの劇をやり遂げるために考え込んだ。

 

(いけない……! 勇者のために、ここは私が園児たちを扇動するしか!)

 

「みんな! 勇者を応援して! 一緒にグーで勇者にパワーを送ろう!」

 

東郷の指示に従うように園児たちが応援を始めた。

 

「ぬ、うおぉぉぉ~。みんなの声援が私を弱らせる~~」

 

「お姉ちゃん! いいアドリブ!」

 

何とかさっきまでの空気が変わっていった。

 

「今だ! 勇者パ~~ンチ!」

 

「いってぇぇ~~~!?」

 

「これで魔王も分かってくれたよね! もう友達だよ!」

 

「シメて、シメて……!」

 

「というわけで、みんなの力で魔王は改心し、祖国は守られました」

 

「みんなのお陰だよ! やったやった~~!」

 

 

 

 

 

 

「って感じだったよ。ねっ、東郷さん」

 

「うん、友奈ちゃんのアドリブでね」

 

「いや、駄目だろ」

 

部室へ向かう途中に友奈たちに昨日の人形劇のことを聞いていたのだが、失敗だと思う

 

「えぇ~そうだったかな?」

 

「それに急遽休んだ人の代わりに音響担当をした樹ちゃんの頑張りも凄かったわ」

 

いや、昨日休んだのは色々と打ち合わせだったり……というか樹が僕の代わりをやってくれたのか。後で何か奢ろう

 

すると端末に連絡が入った。それは僕の保護者代わりの人だった。

 

(また何かあったのか?)

 

何かしらの用事で大赦に顔を出すことが多い僕だったが、今回の連絡は……

 

『明日、お墓参りにいけません』

 

「………」

 

「桔梗くん」

 

「どうかしたの?」

 

友奈と東郷の二人が心配そうに顔を覗き込んでいた。僕はすぐに端末をしまい、笑顔で答えた。

 

「別にちょっとね」

 

 

 

 

 

 

 

 

部室たどり着き、早速今日のミーティングが始まった

 

「うへぇ~~、かっわいい~~♪」

 

今回の議題は迷い猫探しや里親探しのことだった。勇者部の黒板にはいくつもの写真が張り出されていた。

 

「こんなにも未解決の依頼が残っているのよ~」

 

「た、たくさん来たね」

 

「これはかなり大変かもな」

 

「なので、今日からは強化月間! 学校巻き込んだキャンペーンにして、この子達の飼い主を探すわ」

 

「おぉ~」

 

「学校を巻き込む政治的発想は、流石一年先輩です!」

 

「学校への対応はアタシがやるとして、まずはホームページの強化準備ね。――東郷任せた!」

 

「はい! 携帯からもアクセスできるように、モバイル版も作ります」

 

早速作業にはいる東郷。東郷はパソコンなどの作業がかなり得意だからものすごい作業スピードだ

 

「さすが~、詳しいね~」

 

「私たちは?」

 

「えっとぉ、まずは今まで通りだけど……今まで以上に頑張る!」

 

「アバウトだよ、お姉ちゃん……」

 

「そこが風先輩らしいというか……」

 

「それだったら、海岸の掃除行くでしょ?」

 

「はい」

 

「そこでも、人に当たってみようよ!」

 

「ああ! それいいです!」

 

確かにあそこなら人通りがあるし、勇者部として顔を知られている分知り合いも多い。そっちの方が効率的でいいかもしれない

 

「ホームページ強化任務、完了です」

 

「「「え、はやっ!!」」」

 

「流石だな。東郷は」

 

「桔梗くんも覚えてみたらどう?」

 

「僕はパソコンとかはあまりな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、お待ち」

 

「は~い」

 

「三杯目……」

 

 

部活の後、みんなでうどんを食べることとなった僕達、風先輩はうどん三杯目と入っていった。男の僕ですらかなりきついと思うのによく食べるなこの人は……

 

「所で文化祭の出し物の相談なんだけどさ」

 

「え、まだ四月なのに?」

 

そのためにここにきたのか。でも、そういう話は部室でも出来たと思うんだけど……

 

「夏休みに入っちゃう前にさ、色々決めておきたいんだよね~」

 

「確かに。常に先手で有事に備えることは大切ですね」

 

「去年は色々とバタバタしちゃったからね~今年は猫の手も入ったしね~」

 

去年は確かに色々と依頼が重なったりしたからな……出し物も質素なものになってしまった。

 

「とりあえずそれぞれ考えておくこと、これ宿題ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、風は夕食の献立について話していた。それを聞いてツッコミを入れる樹

 

「樹は小食だからね~」

 

「もう、お姉ちゃんが食べすぎなの~」

 

そんな時、風の端末にメールが入った。差出人は大赦からだ

 

(このメール、桔梗にも来てるわよね)

 

『あんまり背負い込み過ぎないほうがいいですよ』

 

(背負い込みすぎるなか。あいつの方が背負い過ぎている気がするわね)

 

「お姉ちゃんどうしたの?」

 

「お姉ちゃんに隠し事があったら、どうする?」

 

「えっと、よく分からないけど」

 

「例えばね、甲州・勝沼で、援軍が来ないのに戦え~って言わなきゃいけなかったとして」

 

「え~っと」

「近藤勇」

「いきなりどうしたの?」

「あははっ、なんでもない」

 

誤魔化そうとする風だが、樹は考えこみ、答えた。

「んん~…ついていくよ、何があっても」

「えっ?」

「お姉ちゃんは、唯一の家族だもん」

「ありがと」

 

(そうだよね。そうそう当たるわけないよね)

 

きっと桔梗もこんな気持なんだろうと思う風だった

 

 

 

 

 

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