次の日、僕は学校を休んである場所にきていた。
「来たよ。母さん、父さん、爺ちゃん」
僕の前にあるのは両親たちのお墓だった。僕がここに来た理由は一つ、墓参りだった。
「大赦から連絡が入った。期間内に奴らが来るらしい。母さんたちは僕が勇者になるって知っていたの?僕が勇者になったらどう思う?」
質問をするが返答がない。それは当然のことだ。
「……友奈たちは勇者になるのかな?もしそうなっても僕は……」
あの子との約束を守るために、彼女たちは僕が守るって決めた。
「そろそろ行くか」
僕は墓参りを終え、午後からでも授業に出ようと思った瞬間、空を飛ぶ鳥が止まった
「………はぁ」
ため息を付いた。どうやら始まったみたいだ
「さて神樹様は誰を選んだかな?」
「なにこれ?どこ此処?私、また居眠りしてる?」
友奈と東郷の二人がいる場所は色とりどりの木々に覆われた世界。さっきまで学校で授業を受けていたはずなのにと
「……私達教室にいたはずなのに……」
突然の出来事に不安を隠せない東郷。そんな東郷を励ます友奈。
「大丈夫!私がついてるから」
「友奈ちゃん……」
東郷を励ましていると、後ろの方から物音が聞こえた。二人が振り向き警戒をするとそこから風と樹の二人が出てきた。
「友奈、東郷!」
「風先輩、樹ちゃん」
「良かった。二人共スマホを手放していたら見つけられなかった」
「「えぇっ!」」
風は端末を操作し、アプリのある機能を出した。それは自分たちのいる場所が映しだされていた。
「これって」
「隠し機能……?」
「その隠し機能は、この事態に陥ったときに自動的に機能するようになっているの」
「このアプリ、部に入った時に風先輩にダウンロードしろって言われたものですよね?」
「……えぇ」
「風先輩、何か知っているんですか?」
「東郷」
「ここ、どこなんですか」
不安を隠し切れない東郷。困惑する友奈と樹。そしてこの世界に飛ばされても落ち着いていられる風。風は覚悟を決めた。
「みんな、落ち着いて聞いて。……アタシは、大赦から派遣された人間なの」
「大赦って神樹様を奉っているところですよね……」
「……何か、特別なお役目なんですか」
「……ずっと一緒だったのに、そんなの初めて聞いたよ」
「……当たらなければ、ずっと黙っているつもりだったからね」
「風先輩……」
「アタシの班が――讃州中学勇者部が、当たりだった」
「……当たり」
「あの、桔梗くんは?」
桔梗のある事情を知る友奈は桔梗のことを聞いてきた。
「桔梗くんも大赦の人間なんですよね」
「!?」
友奈の口から桔梗のことを聞いた東郷は驚きを隠せないでいた。それは樹も、そして風もだった。
「友奈、どうしてあんたがそのことを……」
「去年、私が足を怪我した時に……」
その日、彼は友奈を送るために自分の隠し事をバラした。友奈はそのことを告げると……
「そっか、あいつらしいわね。あいつは今日学校に来てないみたいだけど、多分ここにいるはずよ。あいつも神樹様に選ばれた私たちも、この中で敵と戦わなければならない」
「敵?」
「戦うって……」
「あの、そういえばこの点って何です?」
友奈が端末に映しだされた点、そこには乙女型と書かれていた。
「来たようね」
風がある場所を見ると全員も見た。遠く離れた場所に奇妙な大型の生物がいた。
「あれね。遅い奴で助かった」
「浮いてる……」
「アレはバーテックス。世界を殺す為に攻めてくる、人類の敵」
「あんなのと戦うんですか?どうして、私たちが……」
「大赦の調査で、もっとも適正があると判断されたの。方法はあるわ。戦う意思を示せば、このアプリの機能がアンロックされて、神樹様の――勇者となるの」
すると突然バーテックスからミサイルを放った。爆風が友奈たちを包み込んだ。
「けほっけほっ。何!?」
「私たちの事狙ってる……!?」
「……こっちに気がついてる!」
「そんな、……! 東郷さん!?」
東郷の方を見ると東郷は震えていた。
「ダメ……こんな……戦うなんて……出来る訳無い……」
「東郷さん……」
風はあることを決意する。
「友奈、東郷を連れて逃げて」
「で、でも先輩……」
「早く!」
「は、はい!」
「お姉ちゃん!」
「樹も一緒にいって」
この場に桔梗がいれば、二人で戦うことが出来るのだが、今はいない。そうなったら自分一人で戦うしかないと決意をした。
「ダメだよ! お姉ちゃんを残していけないよ!」
「……樹」
「ついていくよ、何があっても……!」
だが樹はそんな風を見捨てることが出来なかった。
「よし! 樹、続いて!」
「……うん!」
端末のボタンを押し、二人が変身をした。風は黄色と白を基調した衣を纒い、樹は黄緑のドレスを身にまとった。
二人が変身を終えると同時にバーテックスの攻撃が襲いかかった。だが、二人はそれを避けた。すると樹の元に黄緑の毛玉が現れ、風の元に青い犬が現れた。
「これが、神樹様に選ばれた勇者の力よ」
「何、可愛い……」
「この世界を守ってきた精霊よ。神樹様の導きで、アタシたちに力を貸してくれる。樹、よけて!」
襲い来る攻撃に対して避け続ける樹。
「手をかざして、戦う意思を示して!」
大剣を出現させ、バーテックスのミサイルを切り裂いていく風。樹も手をかざすと手元に糸が現れ、ミサイルを切り裂いていく。そんな中、風は友奈たちに連絡をした。
『風先輩! 大丈夫ですか!? ……今戦ってるんですか!?』
「こっちの心配より、そっちこそ大丈夫?」
『はい!』
「……友奈、東郷。黙ってて、ゴメンね」
『……風先輩は、みんなのためを思って黙ってたんですよね。ずっと一人で打ち明ける事もできずに』
「違うわ。正直外れて欲しいと思った。それは桔梗も思っていたことよ。だから私たちは……」
『それでも私は……』
友奈が電話をしている中、東郷はバーテックスの変化に気がついた。バーテックスの中から白い生物が出現した。
「ゆ、友奈ちゃん……あれ」
「何アレ?」
白い生物たちは友奈たちを見つけ、こちらに向かっていった。
「させ……きゃあ」
「お姉ちゃ……きゃあ」
風と樹の二人が白い生物の進行を止めようとするが、ミサイルの攻撃を受けてしまう
「やめ、私の……後輩に……」
「お姉ちゃん後ろ!?」
立ち上がり、友奈たちの救援に入ろうとするが二人の方にも白い生物が襲いかかった。
(そんな、こんなことって……ごめん、みんな)
諦めかける風。その時黒い影が白い生物を切り裂いていく。
「えっ!?」
「あれって……」
その影は友奈たちの所にも来ていた。襲い来る白い生物を躊躇なく切り裂いていく。そして友奈と東郷の前に足を止めた。
「……悪かった。遅くなって……」
「き、桔梗くん?」
「今は落ち込んでいる暇はないな。友奈!?」
黒い衣装に身を包んだ桔梗の手には大鎌が握られていた。その横には鬼が一匹いた。そんな桔梗は何故か悲しそうにしていた。それを見て、友奈は前へと駆け出した。
(どうして悲しそうにしてるかわからない。だけど、友達が辛い思いや悲しい思いをしているのならば、私は見ているなんて出来ない。)
バーテックスのミサイルが襲いかかるが、友奈はミサイルをパンチとキックで破壊していく。
「そんな思いをするくらいだったら私が、頑張る!!」
見る見るうちに友奈の姿が変わっていき、髪の色も桜色へと変わった。そして白い衣へと変わる。そしてバーテックスに向け、渾身の一撃を放った。
「勇者パァァァァァンチ!!」
バーテックスの身体は大きく抉れ、着地した友奈は振り向き、叫んだ。
「私は讃州中学勇者部!結城友奈!私は勇者になる!!」