東方風天録   作:九郎

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話の展開がおそくなってきたかな?
自分が戦闘描写がとても苦手なのが分かったのでこの先進めるのがキツイんですよね〜

どうにかならんものか……


では、本編です。


お見通し

綺麗な空を見上げて、青年は思いに耽る。

 

殺したくなかった。

 

でも、きっとオレがやらないと、もっと誰かが苦しむと思う。

 

だから、オレがやるんだ。

 

オレはバケモノ。

 

バケモノなのだから。

 

戸惑うな、冷徹になれ!!

 

悪役に徹しろ!!

 

 

「何やってんですか変態!!」

 

悶々と考える青年の背中を少女はバシィッ!!と叩いた。

 

「うおっ!?」

 

ビクッと青年は驚いて少女を見る。

 

「クロ君っていつも思い詰めた時は、そうやってボサ〜ッと突っ立ってますね〜」

少女は笑顔で言った。

青年は少しドキッとするが、悟られないように目を合わせなかった。

 

「うん、そうだね」

何故この子は血だらけのオレの姿を見て何も聞いてこないのだろうか?

何故この子はこの血生臭い男にそんな笑顔を見せるのだろうか?

 

そんな事を考えつつ、青年は少女の言葉にいい加減な返事をする。

 

 

「1人で背負い込むのがよっぽど好きなんですね〜バッカみたい」

 

ふぅと溜息混じりに少女は呆れ顔で首を横に振った。

 

青年は無表情で少女を見て、煙草に火を付ける。

 

「私、煙草の匂い嫌いなんですけど……」

 

ジトッとした目で少女は、青年を見たが青年は御構い無しに煙草を吹かした。

 

「知るかよ、嫌ならさっさと何処かに行けば良い」

 

冷淡に青年は言い放った。

気分が悪かった。

今の自分を少女に見て欲しくなかったのだ。

少女はその言葉に少しショックを受けたが、直ぐに持ち直して笑う。

 

「ウソ吐き」

少女は笑って言う。

 

「は?」

顔を顰めて青年は少女を見る。

 

「本当は誰かに側にいて欲しい癖に……」

優しく少女は言ったが、青年は呆れ果てた様子で咥えた煙草をペッと吐き捨てて少女を睨む。

 

「馬鹿じゃないのお前?さっさとどっか行けよ、ウゼェんだよ」

 

 

「クロ君は、嘘を吐くとき私と目を合わせない」

 

 

「ッ!?」

ギクッと青年は焦った顔をしたが、悟られないようにと考えて更に少女を突き離そうと言葉を紡ぎ出そうとした。

 

「クロ君は、ウソ吐きです。でも、クロ君は頑張り屋です。誰も巻き込みたくないから、そうやって、人を遠ざけて1人になろうとする。」

 

淡々と少女は続けた。

青年の頬に冷たい汗が伝う。

 

「だから、私はクロ君がどれだけ突き離してもクロ君を追っかけますよ?」

 

ニッと少女は青年に微笑んだ。

青年は少女に背を向ける。

 

これ以上この子の顔を見たくないと思ったのだ。

 

見てしまったら、抑えていた自分の感情が溢れてしまう。

 

泣くかも知れないと思った。

そして、この子をギュッと抱き締めたいと思った。

 

けれどそれを抑えている原因は、意地だ。

 

とてもしょうもない意地なのだ。

 

好きな子に情け無い姿を見られたくないという。

 

 

「♪〜」

 

ギュッと少女は後ろから青年を抱き締めた。

 

「ひうっ!?」

 

ビクッとする青年を見て少女はニヤニヤと笑った。

 

「クロ君は、知らないでしょうけど、私はこの幻想郷で最速なんですよ?逃げようったってそうは問屋が卸しません!!」

 

「やめろ、オレ血だらけで汚いから」

 

「♪〜」

少女は青年は無視する。

 

「離せよ、お前にも血が付くぞ?オレさ?さっき人を殺して来たんだぜ?」

青年は少女を突き離す為に言いたくない事を言った。

自分が人を殺した事を伝えたら、きっと彼女は「えっ……」と驚いた顔をして、そして、オレから手を離してくれる。

 

青年はそう思っていた。

 

「クロ君なりの理由があったんでしょう?でもないと、貴方は誰かを殺したりなんかしない」

 

少女は青年から離れずに青年に微笑みかけた。

 

青年はそれが、予想外だったのか動揺してガタガタと身体が震えてしまっていた。

 

 

 

「…………」

動揺していた青年は大人しくなり。

そして、観念した様にフッと笑った。

 

 

「マジでウゼェな……」

 

 

「またウソ吐きましたね」

クスッと少女は笑った。

 

「ありがとう……」

 

目を合わせず青年は呟いた。

 

「あっ、コレは本当ですね、今日はクロ君に渡す物があるんです受け取って貰えますか?もう、あっかんべ〜は無しですよ?」

ニヤッと少女は笑う。

 

 

「……うん。」

青年は少女の言葉の意味を悟って頷いた。

そして、覚悟を決めることにした。

 


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