東方風天録   作:九郎

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最近、久しぶりに読んでて吐き気を催すような小説を読みました。

色んな意味で羨ましいなぁと思いつつ、精進しようと心に決めた今日この頃です。

人の事言えないけど、これは酷いなぁと思うのもあったんですけどね

では、本編です。


少女の助手

「煙草吸いてぇ〜」

 

大量に新聞を印刷する青年は、呟いた。

 

「うるさい、黙って働け!!」

 

ペシッと少女は、青年の頭を叩く。

叩かれた青年は、不機嫌そうに新聞を配達用の鞄に詰めていった。

 

「ったく!!貴方に記事を書かせても誤字脱字が多いし、字は汚いしで散々です!!」

 

プンプンと少女は、怒って青年を見た。

 

青年は、面目無いと感じたが口には出さずに少女を無視して作業を続けていた。

 

「文章自体には自信あるんだけどな……」

 

ボソッと青年は、呟いた。

 

 

「そこだけは、認めますよ、確かに読むだけで情景が浮かんでくる文章ですね」

 

フンッと腕組みして少女は、答えたので青年は、少しだけ嬉しかった。

 

 

「それが仕事だったからさ、明らかにするっていう点では、ブン屋と似通った所があるかもね」

 

遠い目をして青年は答える。

 

「ほんと、そこだけしか褒める所ないですけどね〜写真だって真っ白だったり暗かったりで滅茶苦茶です!!」

 

「それは、写真機の性能が悪いんじゃないかと思うんだけど……お前凄いよ、あんな鮮明に写真を取るなんて……どんな調節してんの?光の受容度とか、絞り値やシャッタースピードとか」

 

 

「言い訳ばっかり!!男らしくないですよクロ君!!てゆうか、光の受容度とか絞り値、あとなんだっけ?シャッターなんとかって奴なんか知らないんですけど……適当にシャッター切ってるだけですよ?」

 

言い訳した青年の頭を新聞紙でペチンと叩き、呆れた顔で少女は言う。

 

「ちょっと、写真機貸してみ?」

 

青年が手を出すので少女は、怪訝な顔をして写真機を渡す。

 

青年は、写真機を手に取り適当に写真を2、3枚撮ると、直ぐさまフィルムを抜いて現像する。

 

「そういうことか……」

 

現像された写真を見て青年は、納得する。

 

「はぁ?ど〜せ貴方が撮っても滅茶苦茶な写真に……って、えええ!?めちゃくちゃ綺麗じゃないですか!!!」

 

少女は、写真を見て驚愕する。

いつも滅茶苦茶な写真を撮る青年が別人と思える程鮮明な写真だったからだ。

 

「一体どういう事です!?」

 

驚きを隠さない少女は、青年に詰め寄るが青年は、ハァと溜息を吐いて暫く考えた後に答えた。

 

「この写真機が特殊なんだと思う。どんな情景でも撮影できるように勝手に調節されてるんだよ、光の受容度とか絞り値やらをね。」

 

 

「あやややや、ただ弾幕を消すことができるだけだと思ってたんですけど、そんなに凄い写真機だったのか……どこが凄いのかよく分からないけど……」

 

 

「普通は、色々と調節して撮るんだよ、でも、ホラッ、オレに渡してくれた写真機あるじゃん?アレ、調節機構が全く無くってさ……ただ、レンズがあってシャッターが切れるだけな訳よ」

 

少女の反応に半ば呆れた様子で青年は言った。

 

「なんか、言い訳臭いなぁ〜」

 

ジトーっと少女は、青年を疑うが

 

青年は、意に介さずニッと笑った。

 

「待っとけ、時間ある時に、河童に改造頼んでみる。前に仕事で使ってたカメラの機構や仕組みは朧げだけど覚えてるから……あとは、それが作れるかどうかだけど……」

 

「まぁ、期待せずに待ってますよ、あと、無駄話してる暇があったら他にする事あるでしょ?さっさとやって下さいね!!」

 

バッと少女は、手帳を広げた。

それには、所狭しと文字が書いてある。

これが、次の新聞記事の内容となり、それを今から編纂、吟味した上で出版するのだ。

 

青年は、それを見て溜息を吐く。

 

「まだまだ、仕事ありますからね!!」

少女は、ニャァと黒い笑いを青年に見せた。

仕事の手を止めてよく分からない事を話す青年に対して少女は、若干苛立ちを覚えたが、正直なところ、青年の言葉に期待している部分もあった。

 

なぜなら、青年の写真を撮る時の様子は、とても真剣だったからだ。

そして、手慣れた手つきでシャッターを切っていたので、少女にだって青年が素人では無い事をよく理解していたのだ。

 

「どんだけ仕事あるんだよ!!てか、これを1人でやってたのかよ……」

 

青年は、悲しそうな顔を見せた。

 

「そっ、そんな顔をしないで下さいよ、流石にこき使い過ぎましたかね?」

 

「いや、もっと早く助手になりゃ良かったと後悔しただけだから、気にしないで……」

 

グッと拳を握り締める青年を見て、少女はクスッと嬉しそうに笑ったのだった。

 

 

 

 


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