東方風天録   作:九郎

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そろそろ戦闘描写です。

ちょっと更新遅れるかもです。


では、本編です。


新人イビり

翌日――

 

「面倒くさい……」

 

妖怪の山の哨戒天狗達の更衣室にて、青年は、気だるそうに着替えていた。

 

六角帽子や錫杖は、普段は邪魔で仕方がないのでいつもロッカーの中に乱暴にブチ込んでいる。

 

この前、少女にそれを見られた時は顔を真っ赤にされて文句を言われたのだが、青年は、男子更衣室に浸入してきた事を糾弾すると少女は、渋々と出て行った。

 

青年は、その事を思い出して舌打ちする。

 

それは、そうだろう、どこで見られているのか分かったのもじゃないので、迂闊に変な真似はできないからだ。

 

「よぉ、人間上がり」

 

ポンと白狼天狗が青年の肩を叩く。

 

青年は、無視をする。

 

「おいおい、人間上がりの分際で無視してんじゃねぇよ!!」

 

白狼天狗は、無理やり青年の肩を引っ張って自分の方に向かせ睨んだ。

 

青年は、ハァと溜息を吐いた。

 

いつもの事である。

 

青年は、身分の低さゆえにこの様な輩に声を掛けられては、いびられる。

 

もう慣れた事だ。

 

最近では、この様な事でしかストレスを発散できない彼らに哀れみすら感じていた。

 

「先輩、そろそろ訓練の集合時間っすよ、こんな所で油を売っている暇などないでしょう?」

 

困った顔をして青年は、言う。

 

 

「ハッ、訓練だぁ?余所者の癖に一端に仕事は真面目なんだなぁ〜えぇ?」

 

 

「褒め言葉ですか?ありがとうございます。」

 

嫌味を言ったつもりなのだが

ニコッと青年は、笑うので、白狼天狗は頭に血がのぼる。

 

「あんまし調子こいてんじゃねぇぞ!!人間上がりの分際で哨戒天狗の部隊に入って当たり前の様に訓練に参加しやがって気に入らねぇんだよ!!」

 

青年の胸ぐらを白狼天狗は掴む。

 

「それは、申し訳ない事です。私も気に障らない様に細々とやっているつもりなのですがねぇ」

 

申し訳なさそうに青年は言ったが、白狼天狗は、青年を突き飛ばした。

 

バシッ!!

 

と青年は、ロッカーにぶつかり尻餅をつく。

 

その拍子にロッカーの戸が外れて中から、文々。新聞が出できた。

 

これは、仕事終わりに少女に配達を頼まれたものだった。

 

「おいおい、糞天狗のロッカーから便所紙が出てきやがったぞ」

 

白狼天狗は、文々。新聞を拾い上げて言う。

 

ピクッと青年の眉が動いた。

 

「失礼ですけどそれは、便所紙ではありません返して頂けますか?でないと、射命丸様に怒られてしまいますので……」

 

 

「これが新聞?笑わせるなよ、晩年大会のランク外の糞新聞が……よくこんな便所紙を書いていられるなぁ」

 

白狼天狗は、ゲラゲラと笑って文々。新聞をグシャグシャと握り潰してしまう。

 

青年は、それを悲しそうに見ていた。

 

(ごめん、文……オレの身分が低いばっかりに、君が必死に作っている新聞まで……)

 

青年は、握りこみそうになった拳を開いた。

 

「あの〜訓練始まっちゃいますよ?」

 

「ああ、今日は戦闘訓練だっけか?逃げるなら今だぜ、合法的にお前をボコボコにのしてやるからよぉ、なんなら今からでも良いんだぜ?」

 

ニャァと白狼天狗は、笑った。

 

青年は、作り笑いをしながら白狼天狗を見ていた。

 

 

「それは、恐ろしいですねお手柔らかにして頂きたいものですが……さて、新聞を返して頂けますか?貴方にとっては便所紙かも知れませんが、私達にとっては大事な商品なのです。」

 

 

「ああ、返してやるさ……こんな屑紙無に返してやるよ」

 

白狼天狗は、ボッとライターに火をつけて文々。新聞に点火する。

 

「あっ!!」

 

青年は、思わず声を出すも時既に遅し。

 

直ぐに文々。新聞は燃え尽きて灰になった。

 

 

「ギャハハハ!!」

 

「…………」

 

腹を抱えて笑う白狼天狗を青年は、拳を握り込んでジッと見つめていた。

 

 

 

—————————

 

 

「点呼を取るぞ〜!!」

 

武道場にて

 

鴉天狗が声を張り上げ下っ端の天狗達を集めて隊列を組ませる。

 

青年は、サッと列の中に入った。

 

周りの刺す様な目が青年に集まる。

 

青年は、気にせずに気をつけをしたまま連呼に応じた。

 

1、2、3…………

 

と天狗達が番号を言ってゆく。

 

そして、最後の天狗が番号を言い終えた後、鴉天狗は首を傾げた。

 

「オイ、1人足りないぞ!!」

 

その言葉を聞いて天狗達はざわついた。

 

「オイ、クロよ、貴様は何か知らないか?」

 

鴉天狗は、青年に問うたが青年は、首を傾げながら

 

「さぁ?私は一番乗りでしたので存じ上げませんよ?」

 

と答える。

 

仕方なしに鴉天狗は、怪訝な顔をしつつ他の天狗達に命令し、失踪した天狗を探させる事にした。

 

 

その後、

 

更衣室のロッカーの中にブチ込まれ、口の中に雑巾を突っ込まれて

「ウー、ムグー!!」と唸っている半殺しにされた白狼天狗が発見されたのだった。

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