東方風天録   作:九郎

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更新遅過ぎるなぁすいませんね。


なんか、小説作るよりも読む事に熱心になってしまっていて中々手がつけられなかったのです。

すみません!!


クロと吸血鬼の館

今日は仕事は休みだった。

 

何故だろうか?

 

普通ありえない事だ何故ならオレの配置されている場所は妖怪の山で一番侵入者が多い場所なのだ。

 

おかしい……

 

首を傾げながら悶々と考えていると

 

「クロ!!今日は仕事休みなんでしょ!?だったら助手の仕事をみっちりとしてもらおうかしら!!」

 

と元気良く文が家に突撃してきた。

 

よくある事だから別に構わない。

 

けれど、何故文が知っているのだろうか?

 

オレが仕事休みだという事を。

 

「ホラッ、ボサっとしてないで取材に行きますよ!!付いてきて下さい!!」

 

「うぉっ!?」

 

強引に袖を引っ張る文に少しばかり戸惑った。

 

そして現在。

 

あのクソ気味の悪い真っ赤な洋館の前にいる。

 

「今回はこの洋館の主を激写して来ようと思います!!」

 

「マジかよ、このクソ気味の悪い洋館の主なんかに会いたくない」

 

あからさまに嫌な顔をした。

 

「はぁ?貴方に拒否権なんてありませんよ?」

 

「随分とまぁ、助手使いの荒い事ですね〜、そんなじゃ助手君逃げ出すぜ?」

 

「あやややや、それは困ります……けど、私相手に逃げ切れるんですか?ノロマのクロ君」

 

ニヤッと文は笑う。

 

確かに逃げ切れるとは思えない。

 

規格外の速さで飛び回る彼女に、おれは付いて行くのがやっとなのだ。

 

それに、まだ空を飛ぶ事に慣れない。

 

たまに落っこちる時だってある。

 

それを見て文はゲラゲラと笑う物だからとてもイライラする。

 

「さぁ、行きますよ付いてきて下さいね!!」

 

そう言って文は洋館の窓を突き破って入っていった。

 

オレもそれに続く。

 

「へぇ〜」

 

洋館に浸入すると思わず声がでた。

 

思ったよりもずっとずっと広かったからだ。

 

そして、一息つく暇もなくドカーンと大きな音を立てて洋館が揺れる。

 

「始めやがった……」

 

きっと文だろう。

 

たぶん、ターゲットである洋館の主と弾幕ごっこを一戦交えているのだろう。

 

オレも混ざるか?

 

冗談じゃない。

 

 

何故オレが弾幕ごっこなどというごっこ遊びをしないといけないんだ?

 

そんな歳じゃない。

 

という事で適当に洋館の中を散策する事にした。

 

文に怒られる事が心配だったので洋館の内部の写真を逐一撮影しながら進む事にしよう。

 

ドーン!!

 

また、洋館が揺れた。

 

大丈夫だ。

 

文がそんなに簡単にやられる訳ない。

 

それに、やられたとしても直ぐにオレが行くから……

 

「お兄ちゃん誰?」

 

一通り撮影できたと思って安心していると、背後から声を掛けられた。

 

振り返ってみるとそこには金髪で宝石の様な物が付いた翼を持つ幼い女の子が1人。

 

「不法浸入のブン屋っす」

 

咄嗟に営業用の笑顔を見せてビシッと敬礼をした。

 

「へぇ〜、ふほ〜しんにゅ〜って何かな?まぁ、そんな事はどうでもいいや、私と遊んでよ」

 

ニコッと幼子は、純粋な笑顔を此方に見せた。

 

自然と此方も笑顔になった。

 

「いいよ、オレはクロ、君の名前は何かな?」

 

反射的に快諾してしまった。

 

どうしよう、文に怒られる。

 

まいっか……平謝りなら慣れてる。

 

「私の名前はフランドールって言うの、フランって呼んで」

 

にっこりとフランは、笑ってオレの袖を掴んだ。

 

「こっちだよ、私の部屋」

 

言われるがままに部屋まで付いて行った。

 

勿論、道中の洋館内部の様子は撮影済みだ。

 

フランに連れられて部屋に入る。

 

薄暗い部屋だった。

 

幼い女の子の部屋とは思えないような異様な雰囲気が漂っている。

 

コツンと何かが足に当たる。

 

見てみると、首のもげた人形だった。

 

「この人形は?」

 

「それね、遊んでたら壊れちゃったんだ〜クロは、そんなに簡単に壊れないよね?」

 

嫌な汗をかく。

 

「何して遊ぶ?弾幕ごっこ?」

 

笑顔を作って問うてみた。

 

「そんな気分じゃない今、お姉様がやってるし、私達もやったらこの洋館壊れちゃうかもしれないもん」

 

少しつまらなさそうにフランは言った。

 

「じゃあ、別の遊びでもしようか?なんでもいいよ。」

 

「うん、じゃあ一緒にお人形遊びしよう!!」

 

それから、ずっとオレとフランは遊んでいた。

 

次は人形の足がもげた。

 

物は大切にしなくちゃいけないのになぁと思ったけれど。

 

かなり使い古された人形で、ここまで使って貰ったらコイツも本望だろうと妙に納得してしまった。


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