前の話の件ですけど、色々考えてたんですけど完全な私のミスですね。
大目に見てくださるとありがたいのですが……
まぁ、無理なら回れ右して下さいませ。
では、久しぶりの本編です。
「やっと来たわね」
ニイッとレミリアは、口角を吊り上げた。
「…………」
キッと青年は、刺すような視線をレミリアに送った後に、グッと右手に力を込めて掴んだ紅色の槍を砕いた。
「ふぅん、思った通りの実力はあるみたいね、そのX字の前髪は気に入らないけれど」
クスッとレミリアは笑う。
ピクッと青年は、眉を動かした。
「スペル宣言なんてせずにさっさと殺りに掛かれば良かったものを、アンタ何を企んでるんだ?」
「簡単な事よ貴方の能力を見てみたかったのよ。だからわざわざ分かりやすいようにスペル宣言までしてあげたのよ?」
「へぇ……で?そんなしょうもない事してオレの能力を見極めてどうするつもりだったの?悪趣味な洋館の主人さん?」
チッと舌打ちをして青年は、レミリアに問うた。
その瞬間、ズバッと青年の首元から血が吹き出る。
「ッ!?」
青年首元を抑えて今、自分が何をされたのかを理解した。
「口には気をつけなさい」
咲夜が冷たい視線を送る。
「そうだよ、最初からそうすれば良かったのに」
血を流しながら相対する2人を青年は見つめる。
「クロ君!!」
背後の少女が声を上げた。
「大丈夫……」
青年は、目を合わせずに答えた。
「案外大した事ないのね」
ふふッとレミリアは、不敵な笑みを浮かべ飛び散った血をペロリと舐める。
「A型の血ね、元人間だからかしら?癖になりそうな味だわ」
「そりゃ、どーも」
苦笑いする青年。
正直な所でもピンチである。
一対一ならどうにかなったのかも知れない。
けれど、ここにいるメイドが厄介だ、時を止められるという能力
新聞を編集する際のネタ帳に書いてあった事だ、少女の目を盗んで見ていて良かったと青年は思った。
「ねぇ、オレに用があるならこの子は関係なくない?逃げて貰っても良いかな?」
チョイチョイと青年は、背後の少女を親指で刺して言った。
「それはダメよ?だってこのブン屋、私のあられもない写真をたくさん撮ってるんだもの」
ニッと笑うレミリアの声が、少しばかり怒気の帯びた物になったと青年は感じる。
「何撮ったのさ?」
訝しげに青年は、少女を見た。
「えっ、え〜っと……レミリアさんが1人でお人形遊びしてるところとか、着替えしてる場面とか、入浴してるとことかetc……」
眉をひそめる青年と目を合わす事ができずに苦笑いしながら少女は、言った。
「馬鹿……」
ハァと青年は、大きく溜息をつく。
見た感じ結構やられてるみたいだった、けれどこの子はその気になれば逃げる事は可能だろう。
いや、無理だ……厄介な相手がいる。
青年は、思考を巡らせて舌打ちをした。
「分かった?だからこのブン屋を逃す訳にはいかないの」
レミリアは少女を指差して言う。
「なんとなく気持ちは分かる」
困り顔で青年も納得した。
「さて、そんな事はどうでも良いのよ。貴方、守りきれるの?背後のブン屋の事、私と咲夜を相手にして?」
レミリアは、口角を吊り上げで歪んだ笑みを浮かべる。
青年の頬に嫌な汗が伝う。
「できるできないじゃなくてさ?やるんだよ」
キッと青年は、レミリアと咲夜を睨んだ。
(そう、それを見せて頂戴……)
レミリアは、ニヤリと再び不敵な笑みを浮かべた。