ヒロインとイチャつかした方が良いかな?
それで、悪者ぶっ倒して周りがキャーキャー凄〜いみたいな?
どうなんだろう?
物凄く強い能力つけた主人公は、爽快感があって良いよね、みんなの夢を形作ったものだものね。 まさにヒーローって感じの!!
オレは好きです。
でも、なんか現実味が無い感じがするんですよ。
オレは、悩んで苦しんで間違ってまた、悩んで……ってな感じの人間臭い弱い主人公が書いてみたいんですよ
クロはそんなじゃないと読者の方々はおっしゃるかもしれませんが……
カッコ悪くたっていいじゃないか、弱くたっていいじゃないか!!
ヒロインとイチャつかせるのも難しいんですよね
誰かが誰かを好きになるってそんな単純なことじゃないと思うし……
こんな事考えるからつまらん小説しか書けないのかなぁ。
割と本気で読者の方々に上記の事を問いたい。
感想でも良いし、感想じゃ評価してるみたいで嫌だって人は直接教えて欲しい、活動報告のところでいいや。
本気で気になるんです私は、何時でもいつまでも待ってますから
皆さんの価値観が知りたいです。
「いやあ〜この本でここまで人と語り合えるとはね!!」
霖之助は、とても嬉しそうに言った。
最初はお客様としての対応しかしていなかったが、今は、彼の態度にとても親近感を感じる。
オレだって彼と話していて凄く楽しい、ずっと話していたい。
今オレは、香霖堂にいる。
特に理由なんて無い、ただ、文々。新聞に載っていた事、人里以外でお店を開いているというので興味が湧いただけだ。
何故、彼がこんなに嬉しそうに笑っているかというと、彼の読んでいた本がオレの好きな本だったからだ。
題名は、夏目漱石のこころ
そうだ、オレと同じ『K』の登場する本だ。
ずっと、語り合ってた。
「ねぇ、クロくん……この本に出てくるKってさ……なんで死んじゃったのかな?やっぱり、親友に好きな人を取られたからなのかな?一応、主人公視点での理由は書いてあるけど……本当にそうなんだろうか……」
「あくまで、オレの主観で言っていいかな?」
「うん!!どうぞ!!」
霖之助は、目をキラキラと輝かせている。
本……好きなんだな、オレと君は似た者同士だね。
「断罪……だと思うよ……」
「断罪……かぁ……なんでさ?」
「彼は、道を極めようとしていたでしょ?ずっとずっとね、自分の道の邪魔をするような物は全て捨て去って生きてきたのさ、向上心の塊だったんだよ、でも、お嬢さんに恋をしてその気持ちが揺らいだんだ、色んな物を捨ててきたのに……もう後戻りなんて許されないのに……許せなかったんじゃないかな?自分が……そして虚しくなったんじゃないかな?」
「なるほど……だから断罪……か……」
「あくまで、オレの主観だぜ?」
「ふぅん、クロくんって『K』の話をする時凄く悲しそうな顔をするね……クロくんもそんな生き方してきたの?」
「そうだよ、オレも今、断罪してるつもりなんだ……」
「……………………」
「つっ次はさ、この本について話さない?君も知ってるって言ったよね、太宰治の『晩年』って本!!」
何かを感じ取ったのか、霖之助は一瞬遠い目をした後、ニッコリと笑って言った。
「いいねそれ……オレ好きだわ」
「このさ、『葉』って題のところなんだけど書いてる事がバラバラで全然物語になってないじゃない?どういう事なのかな?なんでこんなの書いたんだろ?」
霖之助は、う〜んと腕組みして考えている。
ふふっ、オレも考えることよくあったなぁ
「主観で言うけど、オレはその一節一節が、花になれなかった葉だと思うんだよ、花って言うのは小説の一節の事ね、きっと、何処かの小説に使ってあげたかったんだよ……でも、結局使えなかったからせめて葉として世に出そうと思ったんじゃないかな……オレはその葉の一枚一枚に、彼の優しさが伝わってくる気がするんだ……」
「へぇ〜そういう見方もある訳か……」
「主観だぜ?」
「ううん……やっぱり君と話すのは楽しい……もっと話そう!!何なら泊まってもいいよ!!」
楽しかった。
夜通し霖之助と色んな本について語り合った。
翌日
「また来てよ!!また君と話したい……」
ニッと笑って霖之助は言った。
「うん……」
「あっ、あのさクロくん……君、たまに凄く悲しそうな顔をするじゃない?別に何があったか聞く気は無いよ?でもね、うーん…………そう!!」
霖之助はライターを取り出しシュボッと火を付けた。
「ライターって色々な部品を使って火を起こすじゃない?君が火だとするよ、それなら僕は、君の火打石くらいにはなってあげられると思うんだ……」
「………………」
「へっ変なこと言ったかな僕……」
「霖之助…………ありがとう…………」
「うっうん!!また来てね約束だよ!!」
手を振って香霖堂を後にした。
目頭が熱い……虚しかったのが
少しだけ満たされた気がしたよ……