東方風天録   作:九郎

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やっぱし見る人減ってるか……

まぁ、仕方ない事なんですが、もう見ないでくれと思う人もいれば
やる気が出るので感想見た瞬間書こうと決意する人もいて

そこらへんの兼ね合いって難しいですね

あっ、気にしないで下さい。

では、ごゆっくり


逃避行

オレは最低だ……

 

守るためとは言え、女の子に手をあげた。

 

それも、この世界で一番大切な人に。

 

オレが勝手に巻き込んで、そして文を伊織の母親にして……

 

そして、いざ危なくなったら巻き込みたくないという理由でこんな事……

 

 

オレはどこまでも汚い男だ……

 

 

「う〜!!」

 

 

「そんな怒るなよ……分かってるさ……でも、こうしないと最悪、オレも文も死ぬことになるかも知れないんだぜ?」

 

伊織は、まだ抗議していた。

 

 

良かった……文、お前立派に母親やれてるみたいだぜ?

完全にお母さんっ子だ。

 

 

ごめんね伊織、こんな事になる前にもっと家族の時間をもっと大切に過ごせば良かった。

 

もっと美味しい物を食べさせてあげれば良かった。

 

伊織は、安いお子様ランチが好きだったけれど、それでも、もっと良いものを食べさせてあげたかった。

 

もっと、伊織の欲しい物を買ってあげたかった。

 

 

もっと君を幸せにしてあげたかったのに……

 

遠い目をして飛行していると、何かが飛んできて行く手を塞ぐ。

 

「無駄な抵抗は止してこの子を人里に返すんだ」

 

そいつは、9つの尻尾を持った八雲紫の式

 

八雲藍

 

チッ……ケガした状態で勝てるだろうか?

 

ましてや伊織を守りながら

 

「う〜!!」

 

オレはいつも通り怯える伊織を見て微笑む

 

「ちょっと待ってて、直ぐに戻るから」

 

そう言って伊織を地面に下ろした。

 

オレが八雲藍に気を取られてる間に、伊織が他の誰かに連れ去られるのが最悪のケース……

 

でも、それは阻止できると思う。

 

五体が満足に動くなら、オレはどこからでも伊織の元へ駆け付ける事がてきる。

 

 

そういう能力だ。

 

そういう能力なのに、今までそうできなかった情け無い能力だ。

 

 

そして……オレは闘う事にした。

 

 

慧音さんとの闘いで結構体力を消費し、左手を使い物にならなくされた。

 

この状況下でも、絶対に諦めない。

 

 

だって、オレはこの子に言ったから……

 

 

『たとえ世界が終わってもお前のことを離さないぞ』って

 

それに……

 

生きる事を望まれていないこの子に、道具としか見られていないこの子に……生きてて良かった。

 

生まれてきて良かったって思って貰いたいんだ。

 

 

たとえ全てを敵に回しても……

 

 

ヒュッと光弾が頬を掠める。

 

そして9つの尻尾が襲い掛かってくる。

 

厄介だな……

 

間一髪で避けていった。

 

「オイオイ、私相手にそれは悪手だろう?」

 

ガッと首を掴まれる。

 

しまった、9つの尻尾に気を取られて過ぎた……

 

「主人の命令で、久し振りに思い切りやれるんだ、少しは愉しませてくれないか?」

 

ギリギリと首を締められる。

 

苦しい、こいつこのまま首をヘシ折るつもりか?

 

「クッ!!」

 

回し蹴りして腕を振り外そうとしたが藍の腕はビクともしない。

 

「至近距離でのこの弾幕、受け切れるかい?」

 

藍は右手でオレの首を締め付けつつ左手を腹にかざした。

 

 

そして、そっからはあんまし覚えてない……

 

ただ、ドドドドドとか、ダダダダダッって音と砂煙、そして、死ぬほど痛かったこと

 

それはよく覚えてる。

 

 

 


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