もう少し盛り上がらせたいんですけど、やっぱり難しいですね。
では、本編です。
息が苦しい。
辛い……
それでも……守らなくちゃ。
「クロ、お願いだからその子を帰してやってくれないか?お前が善意でその子を守ってるのも知ってるよ、その子が親から愛されてない事だって知ってる。」
魔理沙が飛んできて苦虫を噛み殺した様に言った。
知ってるなら何故オレを止めようとする?
魔理沙さん、あんたは伊織を親の元へ返せと言う。
お前ら人間がその子を守らなくちゃいけないんじゃないのか?
オレの出る幕じゃない事だって嫌になる程分かったさ
でも、あんたら人間はこの子を黙殺してきた。
誰ひとりとして助けてやろうとしなかった!!
こんなにか弱くて、こんなにも澄んだ目をしたこの子を!!
何故だ……
沸々と怒りが込み上げてくる。
魔理沙さんや、霊夢さんが守ってやればいいじゃないか……
いや、無理か……
今度は魔理沙さんや霊夢さんが人攫いに仕立てあげられるんだろう。
霊夢さんに至っては博麗の巫女という面子があるからな
そんなことを考えてくると魔理沙が再び光弾を発射してくる。
「クソが……」
難なくそれを避けた。
イライラする。
行き場の無い怒りが自分から込み上げてきて、それが溢れ出しそうだ。
ドスッ!!
「ウグッ!!」
肩に釘の様な物が刺さる。
そして、自分の力が抜けていった。
「クロ、その子を帰しなさい……さもないと、あんたを退治する」
氷の様な冷たい目つきで霊夢が飛んできた。
「チイッ……」
直ぐに肩の釘を抜いた。
「やめろ霊夢!!」
魔理沙が叫んだ。
「黙ってなさい魔理沙、これは私の仕事よ……博麗の巫女としてね……」
なるほど、博麗の巫女として……か
動かざるを得ないよなぁ……
私情なんて挟まないよね、なんたってオレは人里の人間を襲った事になってんだから。
「霊夢さん、やっぱり来ちゃいましたか……あっ、さっきの要求の答えはノーです、だってオレは何一つ悪い事なんてしてないんですから」
ヘッと笑って言ってやった。
言い切ると同時に大量の弾幕と陰陽玉、それにさっきの釘が飛んでくる。
避けるのが不可能な弾幕だった。
本気でこの人はオレを退治しようとしている事が分かった。
だから……オレも本気で対抗する。
「フンッ!!」
弾幕を避け、釘を大剣ではたき落としながら霊夢に近づき大剣で凪いだ。
霊夢はそれを札一枚で防ぐ
結界というやつか……厄介だな。
「黙ってやられなさいよ……」
低い声で霊夢さんが言った。
「イライラしてますね、不本意な事をするからですか?伊織の親にいい様に使われて、今の霊夢さん……まるで操り人形だ……」
「黙りなさい、たとえそうだとしても私は博麗の巫女……使命は果たすわ……」
「信用してたのに……結局アンタは、博麗の巫女という立場を捨てられずにこの子を不幸にするんだ……この子を頼みますっていったのに……」
「…………」
霊夢は攻撃の手を緩めなかった。
無言なのはきっと何も言えないからだろう。
オレも意地悪な事を言ったと思う。
人里の人間達を守る事、そしてこの世界の異変を解決するのがこの人の存在意義なのだから。
ドスッっと釘が腹に刺さった。
そんな事関係なしに突っ込んでオレは、霊夢を大剣で薙いだ。
再びキンッと結界で受け止められたけれど、それごとぶっ飛ばした。
霊夢は、結界を大剣を受け止める部分に集中させていたせいか、飛ばされた先の木に体を打ち付けた。
やっぱり、峰打ちになっていた。
「グッ……」
ケホッと霊夢は咳をして体制を立て直してこちらに襲い掛かってくる。
「退治なんてされてやらないですよ?博麗さん」
あえて、霊夢さんを博麗さんと呼んだ。
だって、あんたは目の前のか弱い子どもよりも自分の使命の方が大事なんだろう?
だから、あんたは今日から博麗さんだ……