あまり納得いかない文だったんで、次は納得いくように時間かかるかもです。
では、本編です。
「おいおい、なんて顔してるんだい?」
パタンと本を閉じて霖之助は言った。
「別に……」
遠くを見て答えた。
久しぶりに香霖堂へ行った。
霖之助に会いたかったから……
「射命丸とはどう?上手くいってるの? 随分、新聞がウチに届かないから、クロ君ちゃんと彼女の事手伝ってあげてるの?」
フッと笑って霖之助はこちらを見た。
目を合わせられない。
「別に……」
再びそう答えた。
「あらら……」
霖之助は困った顔をした。
そして、小さく
「上手くいってないんだ……」
と呟いた。
「どんな顔して会えば良いんだよ、オレ一人でどうにかしてみせると思ってあんな事したのに……なにもかも上手くいかなかった……今更どのツラ下げて……」
「君なりに彼女の事を守りたかったんだろう?良いじゃないか、普通にヘラヘラ笑って会えば良いんだよ」
「無理だよ……」
「…………抜け殻みたいになってるね、君」
少し間を置いて、ハァとため息混じりに霖之助は言った。
「あの子の事……守れなかったから、全てを敵に回しても、絶対離さないって言ったのに……」
「………………」
霖之助は、口を閉じてジッとこちらを見ていた。
目を合わせられないから俯いてしまう。
「あの子さ……幸せそうなんだ……目も耳も聞こえなくって、それなのに幸せそうなんだ。紫さんの術でオレの幻影を見せられて、ニセモノだってのに……この上なく幸せそうなんだ……」
唇を噛んで言った。
少し口の中が血の味がする。
霖之助は、何も言わなかった。
だからオレは続けた。
「ニセモノの幸せを与えられてるんだよ……あの子、んでさ、オレ、耐えきれなくなって紫さん所に行った訳よ、そしたら……『貴方達も……家族を演じてたでしょう……ニセモノのね』だってさ……人の事言えないんだよ、オレも……オレがあの子に与えた物、全部ニセモノだったんだ」
「クロ君」
唐突に霖之助が口を開いた。
少し驚いて霖之助の方を見る、すると霖之助は真剣な表情で話し始めた。
「今、君があの子を想ってる気持ち、全て敵に回して、例え死んでも守ろうとした気持ちそれは本当にニセモノなの?違うんじゃない?」
「………………」
「僕は本物だと思うけどね……でもすごいよね、本当にみんな敵に回しちゃってさぁ……」
苦笑いして霖之助は後ろ頭を掻いて言った。
「霖之助は良いの?オレと仲良くしててさ……オレは……」
少しだけ……不安に思っていた事を疑問符にして霖之助に問うた。
「大丈夫だよ、君のこと、放り出したりなんかしないから……トモダチ……でしょ?」
霖之助はニッと笑って答えた。
思わずこっちも頬が緩んだ。
愚問だったみたいだ。
あまり長居するのも霖之助に悪いからそろそろ立ち去ろうと思って出口へ向かった時、霖之助が背後から声を掛けてきた。
「ちゃんと、射命丸と話して謝りなよ……」
「うん、多分無理……」
苦笑いして答えた。
それを聞いて霖之助は、ハァとため息を吐いた。