東方風天録   作:九郎

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構成が難しいです。
今は、クロの内面を独白調で書いてるつもりです。

もう少し抉ったこと書きたいんですけどね。


本編入ります。


渦巻くもの

大きくため息をついて空を飛んだ。

 

あれなら数週間経った。

 

少し風が冷たくなって空を飛ぶのが辛い。

 

文の家には帰ってない。

 

ずっと野宿してる。

 

煙草に火を付けて、ふぅーと白い煙を吐く。

 

これが白い息に変わるまで、そう時間は掛からないだろう。

 

今日も里の上空まで飛んでこっそり伊織を眺めようと思う。

 

バレたら殺されると思うけど、何故か霊夢さんは来ない。

 

「やっぱり……」

 

色んな思惑の中で踊らされていた気がして、気分が悪い。

 

そういえば、ここ最近、良い知らせと悪い知らせがあった。

 

良い知らせは、里の有志が伊織の養育費を募金で伊織の家族に渡す様になった事……

 

城太郎が懸命に動いてくれている様だ。

 

それを聞いたとき、オレは凄く嬉しくて……嬉しくて……

 

そこまで伊織の心配をする必要がないのかなと思い

 

もう里の上空で伊織を見守るのは止めようと思った。

 

でも、何故今日も伊織を見守りに来たのか?

 

悪い知らせがあったからだ。

 

胸糞悪い知らせが……

 

伊織の家族達……あいつらその募金を自分の為にしか使ってないそうだ。

 

結局、あいつらは伊織を金を集める道具としか思っちゃいないんだ。

 

 

それを聞いたとき、自分の中の真っ黒に渦巻く何かが爆発しそうになって……それを抑えるのに必死だった。

 

屑共め……

 

今だって抑えるのに苦労してる。

 

変だな……どうしたんだろう?

 

それにしても、里に潜入してる妖怪だっているのに……なんでオレは……

 

「クロ……」

 

ボーッとしていたら目の前に誰かがいる事に気付かなかった。

 

「チルノ……ちゃん」

 

「どうしたのクロ……こわい……顔してるよ?」

 

怯えた表情でチルノが言った。

 

「そんな事ないさ」

慌てて笑顔を作った。

 

「…………」

チルノは、何も言わなかった。

多分何も言えなかったんだと思う。

蛇に睨まれたカエルみたいに小刻みに震えていたから。

 

「そんなこわい顔……してた?」

 

「うん……初めて見た。クロのそんな顔、あっ、あとね……気の所為かなって思ったんだけどさ……うん、多分気の所為……クロの周りに黒いクルクルが見えた気がしたんだよ、それが怖くて……」

 

「黒いクルクル?」

 

「ううん、あたいの気の所為だと思う」

 

そう言ってチルノは去っていった。

なんだか逃げてるように感じて、ちょっとショックだった。

 

それにしても背中が重い。

 

大剣がまた重くなった。

 

妖刀とか、呪われた物の類らしいけれど、まぁ……このまま押し潰されるのも悪くないかという気になって

 

ヘッと自嘲気味に笑った。

 

ビュウと強い風が吹いて

 

多分、あの娘が来たと思い。

 

急いで逃げた。

 

でも、あの娘はオレより速いから、きっと追いついて文句の1つでも言ってくると思ったが……

 

追ってこなかった。

 

「追って来ないんだ……」

不意に思った事を口にしていた。

追って来て欲しかったのに……と内心思っている所がある。

それに、愛想尽かされたのかなと不安になっているオレがいた。

 

「乙女かよオレは」

自分にツッコミを入れるように自嘲する。

 

イライラする。

こんな時は、1人で修行してるのが一番だ。

 

1人になろう……

 

 

 

 

 

 


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