今回もそんなに面白くないです。
では、本編です。
「クロ〜、どうだい?何か商品になりそうな物は見つかった?」
霖之助が離れた所から手を振ってこちらを見た。
今日は霖之助に誘われて無縁塚に来た。
半ば無理矢理……
修行場を出てする事もなくフラフラと魔法の森の辺りを散策していた時に捕まってしまった。
まぁ、する事ないから良いけど……
霖之助曰く商品になりそうな物の調達だそうだ。
「商品になりそうな物……ねぇ……あまり良いものは無いな」
辺りにはガラクタと両手程の大きさの石がある。
この石はどうやら墓標のようだ。
なんだか、墓を荒らしているようで気が引ける。
こんな事なら花の一つでも持って来ればよかった……
「ねぇ、これなんてどうだい?不思議なマークが付いた四角い箱……」
どうやら霖之助が何かを見つけたようで、ニコニコしながら駆け寄って来た。
「なに?」
あまりに揚々とした様子の霖之助に少したじろぎつつ答える。
「ふむふむ、これは爆弾か……ピースメイカーと言うらしい」
「ばっ、バカ!!捨てろよそんな物!!」
恐ろしい物を持って呑気に考え込む霖之助を見て顔が真っ青になった。
「あっ、ごめん……確かにこれは危険な物らしい」
ハハハと笑いながら霖之助はポイッと爆弾を捨てる。
「ヒィィイ!!」
霖之助の付近で地面に落ちそうになっている爆弾をすんでの所でキャッチした。
こいつはアホなのだろうか?
爆弾だぞ?
お前、この名前と用途が分かるんだろう?
なんでそんな風に扱うんだよ!!
「ん?どうしたのクロ?」
心臓をバクバクさせながら爆発させずに済んだ爆弾を見て安心するオレを尻目に霖之助は言った。
「これは危険な物なの!!お前……死ぬかも知れなかったぞ!?ドッカーン!!って爆発してさぁ!?」
「大丈夫だよ、クロ君が居るもの」
ニッと霖之助は笑って言った。
こいつ……わざとやったな……
「ふざけんな!!もし本当に爆発して霖之助が死んだら……」
頭に血を登らせて言った。
あまりに不用意過ぎる。
大体、この場所だって相当に危険な筈なんだ、それをこいつは我が庭の様に歩きまわってる。
何考えてんだよ!?
「流石にふざけ過ぎたかな?ごめんよ、でもね、僕はあんな危険な物をぞんざいに扱える程、君の事を信頼してるんだ」
ニコッと霖之助は笑ったものだから、なんだか恥ずかしくなる。
「買い被り過ぎだよ!!オレは……誰も守れな」
「買い被ってなんかない!!君は自分が思ってる程情けない奴なんかじゃ無いんだ!!だからさ?あんまり思い悩まないで欲しい。」
言葉を言い切る前に霖之助が言った。
そして続ける。
「ずっと心ここにあらずって感じだったよ?ずっと遠い目をして、悲しそうな顔して……まるで、自分は価値の無い奴だって思ってる様で、見てられないんだ」
「そんな……顔してた?」
自分の心の中を看破されて気まずくなった。
無意識にそんな表情してたなんて……
「してたね」
「ごめん……」
「別に謝らなくていいよ、ただ、僕は君に元気を出して欲しかった訳さ」
「中々難しいな……それ」
苦笑いしながら答えると
霖之助は
「そっか」
と苦笑いを返す。
気まずいな……
「それにしても、こんな物が落ちてるなんて……外の世界は物騒だなぁ」
ふむふむと霖之助はオレの手の爆弾を見つめた。
「案外物騒じゃないかもしれないよ?外の世界から忘れ去られた物がこっちに流れてくるんだろ?こんな恐ろしい物が忘れ去られるなんて、外来人のオレとしては喜ばしい限りさ」
ふふっと笑って霖之助を見た。
それにしてもこれ、ピースメイカーって言うんだ……
皮肉なもんだな、ピースマークの入った爆弾なんて……
「あっ、これは……AK47って言うんだ……」
また霖之助が恐ろしい物を見つけてきた。
「ロクな物が無いな……」
溜息が自然と出てきた。
「確かに」
霖之助は遠い目をして答えた。
「オレのいた世界が平和になったのなら良いんだけど……」
「どうだろうね、この道具達が忘れ去られる程に恐ろしい道具達が発明されてたりして……」
「そうじゃ無い事を願うばかりだよ」
「なんだか、そんなに興味無さそうな反応だね」
キョトンとして霖之助はこちらを見る。
「まぁ、オレの居場所はここだから……」
フッと笑って答えると、霖之助もつられて笑った。