もう少し考えて作るべきだったかもしれないです。
では、は本編です。
青年が大剣を一心不乱に振る中、少女は見下す様に空から青年を見て思った。
「ムカつく……」
アイツは身勝手だ。
人間の子どもを拾ってきてたった一人で育てようとした……
妖怪の癖に……
人間の親が子どもに注ぐような愛情を目一杯注いでいた。
元が人間だからそうしたんだと思う。
捨て切れないんだ。
どうしても捨て切れず、そして不幸なその子を命懸けで守ろうとした。
だから……放っておけなかった……
アイツ一人に背負わせられないと思った。
だから……私もその子の母親になろうとした。
それなのに……
いざ、その子に危険が迫ったら私は蚊帳の外……
私だって伊織の母親なのに!!
私だってあの子を大事に思ってたのに!!
私達は、例え偽物だったとしても家族なのに!!
それなのにアイツは私を気絶させた、理由なんてどうだって良い聞きたくもない!!
どうせ巻き込みたくなかったとか言うんだろうと思う。
そんなのワガママだ。
身勝手だ!!
アイツは自分のワガママを私に押し付けたんだ。
気がついた時、正直どうでも良くなった。
心底アイツの身勝手さに腹が立って、そして呆れかえってしまったから。
勝手にすれば良いと思った。
私相手には赤子同然のように弱いのに。
私よりも弱い癖に私を守る?
ハッ、笑わせないで欲しいものだ。
なんでもかんでも一人で背負い込んで……
そんなだから、両目を失って、ズタボロになるんだ!!
この前ボコボコにしてやったのに分からないなら、次は半殺しにしてやろうと本気で思った。
だけど……
事が終わったアイツは抜け殻のようになっている。
無様なものだ。
幻想郷の賢者の思惑にまんまと嵌って、博麗の巫女の地位向上の為に掌で踊らされているとも知らずに……
天狗達からは里の人を襲ったらどうなるか、人里の人間に深く関わったらどうなるのか、見せしめに吊るし上げられ大した仕事も与えられず出世さえさせて貰えない状況に置かれ……
あまつさえその事に気付かず傷だらけになって闘って。
滑稽極まりない。
クロ、貴方は糸に繋がれた壊れかけの操り人形でしかなかったんだ。
それも自分で全てを解決できると思い上がった罰だ。
ねぇ?クロ、なんで私から逃げ回るの?
当てて見せましょうか?ねえ、怖いんでしょう?私に会うのが。
自分のしでかした事を直視したくないんでしょう?
自分の弱さを直視できないんでしょ?
雨の中、一人で泣いて……
他人の前では強がって……
もう限界なんじゃないですか?
背負った物が重過ぎて潰れかけてますよ?
ホラッその大剣がいい証拠です。
いい加減にしないと取り殺されますよ?
泣いたって良いのに、辛いって言ったって良いのに……
なんで私の前でそれを言わないんだろう?
本当に……クロのそう言うところが本当に分からないなぁ……