あんまし、ヒロインとの絡みも無くなって来てますし
本格始動させたいんですけど、構想が難しい……
では、本編です。
「君さぁ……良い加減にしないと本当に見捨てられるよ?」
呆れ顔で霖之助は言った。
ここは、香霖堂。
歩いていたら霖之助に見つかって引っ張って連れて来られた。
「うん……」
溜息を吐きつつ答える。
魔法の森の辺りを歩いたのは失敗だった……
まさか、霖之助にバッタリと会うなんて……
しかも、この前のオレと文のやり取りを知ってるみたいだ、文が言ったのかな?
何処からそんな情報を仕入れてきたのだろう?
「君は一体、何がしたいんだい?」
「何がしたいんだろうか?」
「質問を質問で返すなよ」
ムスッとして霖之助がこちらを見る。
「オレは多分……許されたいんだと思う」
「誰に?」
「みんなに……」
「違うな、君は誰からも責められてなんかない。強いて言うなら、君は君自身に許されたいのさ」
.
「そっ、そんな事……」
困惑して答える。
「あるさ、そんな事あるんだよ……君は自分自身が嫌いで嫌いで仕方がないのさ、だから、自分が傷ついたって何とも思わないし、簡単に命を投げ出したりするんだよ」
「…………」
「この話はもう止めよう、お互いに気分を悪くするだけだ……」
「うん……」
目を合わせられずに答えた。
多分、きっと霖之助の言う通りだ。
自分の事なのに、よく分からない。
自分自身が分からない。
どうだっていいか……
「で、本題に入るわけだけど、クロ君……君は生肝信仰について知ってるかな?」
「生肝信仰?たしか……生き物から生きた状態で内臓……肝臓やら心臓やらを抜いた物が生肝と呼ばれて、その生肝ってのは、万病に効くとか……そんな話?」
首を傾げながら答えた。
「そうだよ、ただの迷信だと僕は思うけれど……人里では結構流行ってるみたいでさ?例えば退治された妖怪をバラしてその部位を売ったりしてるみたいなんだよ」
「へぇ……」
例え退治されたとはいえ、よく妖怪をそんな風に扱えるな……
オレが人間なら恐ろしくてできないのに。
「中々に恐ろしい事じゃないかい?クロ君の生肝なんかきっと高く売れるんだろうね……」
意地悪そうな表情で霖之助が言うものだから少しイラッときた。
「変な事言わないでくれよ」
「ふふっ、ごめんよでもさ……最近、人間の妖怪への恐れって言うものが薄れてきてるんじゃないかと僕は思う訳さ……何か異変があっても博麗の巫女が解決するし、人里では人間は襲われないからね……」
「つまり、オレらがナメられてるって訳か……ハハッ……本当にオレの生肝狙われたらどうしようかなぁ〜」
ヘラヘラと笑って見せた。
人里の人間達がオレを狙ったとしたら、オレ、大丈夫かな?
きっと能力のせいで勝つことはできないな。
「クロ君の生肝なんて価値ないかも……だって、君は食えない男じゃぁないか」
「違いない……」
苦笑いして霖之助を見た。
「クロ君……気を付けてね」
「うん……」
ニッと笑って答えた。
すると、霖之助は困った様に笑う。
オレの答えは、そこまで信用されてないみたいで、やっぱり霖之助は心配なのだろうか?
心配しなくたって平気なのに……
気まずいのでその場を離れる事にした。
歩きながらふと考えた。
生肝信仰……たしか、朝鮮由来の迷信だったっけ?
元いた世界じゃ馬鹿馬鹿しい話しだけど、そこまで科学や医療が発達してないこの世界だと、存外に信じる人間は多いのかも知れないな。
ハッ……嫌な世界だ。
馬鹿ばっかりだ。
どいつもこいつも……
幻想郷……
人間と妖怪が共存する世界。
共存なんてできやしないだろ?
だって食う者と食われる者の関係じゃないか。
それを無理矢理に秩序を作って……それに従わせてるんだぜ?
八雲さんも、博麗さんも、何様だよ?
あんたらになんの権利があって秩序を作る?
あんたらになんの権利があって秩序を守らせる?
そのご大層な秩序を守る為に、何故あの子が不幸せにならなきゃいけないんだ?
狂ってる……
みんな狂ってる。
異常な世界だ。
まぁ、そんな事はどうでもいい……世界なんてどうだって良いんだ。
別に狂ってたっていいさ。
ただ……あの子が幸せになれない世界なんて……
消えて無くなってしまえば良いと思う。