東方風天録   作:九郎

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キャラ崩壊させたら相手方に失礼ですのでかなり気を使いました。

上手く書けてるだろうか?


邂逅

八雲家にて……

 

八雲藍は、昼食を作る手を動かしながら青年と問答していた。

 

「大体の事は分かりました、それにしても良かったです、オレが出張る事なく済んだんですから」

 

ニッと青年は、笑った。

 

藍は青年を見る事なく手を動かしていた。

 

 

「私に聞かずに本人に聞いたらどうだ?貴様ならそれくらい簡単にできるだろう?」

 

 

「本人からも色々と聞こうと思ってますよ?これは裏どりって奴かな?実際に戦った藍さんの話を先に聞いときたかったんですよ」

 

 

「存外に抜け目ないな……貴様の相方から聞いた話によると、貴様はもっといい加減な印象なのだがな……」

 

少し意外そうに藍は振り返って青年を見る。

 

青年は、藍の返答に少しムッとした表情になるも直ぐにいつものニコニコ顔に戻った。

 

「情報があるのとないのとじゃ全然違いますもん、情報があれば、常に先手を打てますからね〜 てか、オレがいい加減って話、文から聞いたんですか?困ったなぁ〜アイツ、オレの悪口吹聴して回ってんのかよ……」

 

あはははと青年は、笑う。

 

藍はそれを見て内心鬱陶しいと感じたが、表情には出さなかった。

そして、

 

 

「逆だよ……」

 

と聞こえないように呟いた。

 

 

「じゃあ本人に会ってきますね〜あの縁側の方に居た髪の白い子でしょ?」

 

 

「ああ、そいつで間違いない、背中に盗聴用の札を貼ってあるから直ぐに分かる筈だ」

 

「了解です、あっ、藍さん今昼飯作ってるんです?オレも食べちゃダメですか?文怒らせてるから昼飯抜きだと思うんですよね〜」

 

 

「図々しい奴だな、貴様に食わせる物など無い」

無神経な青年の発言に苛立ちを覚え、冷淡に藍は言い放つ

 

青年は、そんな事御構い無しにヘラヘラと笑った。

 

「お子様ランチを頼みます、おっと……旗をつけるのを忘れないで下さいね!!」

 

 

「おい!!」

あまりの図々しさにカチンときた藍は振り返り青年を睨む。

 

「さて、行くか……」

先程のヘラヘラ顔とは打って変わって、青年の表情は、仕事をする時の表情に変わっていた。

 

藍は、先程の青年の態度から数発弾幕を浴びせかけてやろうかと思っていたがやめた。

 

青年が真剣な表情に変わったのも理由の一つだが、ヘラヘラと笑っている青年の目は、どことなく悲しく、儚げだったからだ。

 

去って行く青年の背を見ながら藍は

 

「作り笑いが上手くなったな……」

 

と呟いた。

 

 

八雲家、縁側にて……

 

次元者と呼ばれる者は困り顔をしながら立っていた。

 

「捕まっているせいで下手に動く事も出来ないし……本も失っている状態だ、僕の目的を、達成するにはあの本が必要だ……どうしたものか……あの本が無いとなぁ……」

 

「お困りの様子ですね?どうかされましたか?」

ニッコリと笑いながら青年は、次元者と呼ばれる者の後方にて耳に息が掛かる程の距離で囁いた。

 

「うわっ!!」

 

突然の事だったので次元者は、飛び退く。

 

「あっ、ごめんなさい!!いきなり声掛けちゃって……オレ、文々。新聞の記者のクロって言います」

飄々とした様子で青年は、次元者に自己紹介した。

 

(死角に入っても気付かない、オレの刃圏にずっと入ってる……いつでも殺れた……この子、そんなに危険なのか?)

 

頭に疑問符を浮かべつつ青年は、営業用の笑顔を崩さず次元者を見つめる。

 

「あっ、これはどうも……僕は……」

 

「キタザワさん……ですよね?」

次元者が自身の名を名乗る前に青年は、次元者の名を言って見せた。

 

「えっ、なんで……」

 

 

「いや〜、幻想郷に侵入者が現れて藍さんと一戦交えたって話をお聞きしてですね〜貴方の事を取材したいと思いまして伺った次第なんですよ」

 

「は、はぁ……藍様から話を聞いたんですか?」

 

「そんなところです、色々と話を聞かせて頂いても良いですか?それにしても……キタザワさん、オレには貴方が侵入者として始末されるほど危険な人物には見えないんですけどねぇ……あくまで、初対面の印象ですけど」

 

 

「それには色々と誤解もありまして……」

苦笑いしてキタザワは、答えた。

 

「ほほう、詳しく聞かせて頂いても良いですか?」

青年は、内心、ああ……なるほどね……と思い自分の仕事をしなくて済みそうなので安堵していた。

 

キタザワ説明中…………

 

「あらら、そりゃ災難ですね……てことはキタザワさんは、今、不当に身柄を拘束されてる訳じゃないですか?酷いですね!!藍さんもスキマのクソババ……紫さんも」

 

「ちょっ!!クロさん、今、とんでもない事言い掛けましたね」

 

「ああ……大っっ嫌いなんですよ、あの人……」

青年は、笑いながら遠い目をして呟く

 

「なにか……あったんですか?」

 

 

「色々ありましたから……」

困った顔で答える青年をキタザワは、首を傾げながら見ていた。

 

(なんだろうこの人……異様な雰囲気を漂わせてる……なんだか、優しく包まれるような……それに、綺麗な目をしてる……綺麗なのに……悲しい目だ……)

 

 

「どうかしましたか?」

ニッと笑いながら青年は、キタザワに問うた。

 

「いえ、あの……クロさん、綺麗な目をしてるなって……」

 

「ハハハ、なんですかそれ〜褒めたって何も出やしませんよ〜?もしかしてキタザワさん、そっちの気があるんですか?」

 

ヘラヘラと笑いながら青年は、キタザワの背をポンポンと叩いた。

 

「違いますよ!!単なる感想です!!」

キタザワは、ムスッとして青年の反応に抗議する。

 

青年は、静かに微笑んでキタザワの様子を見ていた。

 

(童顔だからかな……どことなく……あの子に似てる……困ったなぁ……)

 

「分かってますよ、冗談です……緊張してるみたいなんで、どうにか緊張を解せないもんかなぁと思っただけですよ……こんな訳の分からない世界に辿り着いて……いきなり襲われて、捕まって……きっと色々と不安だと思うので……」

 

「優しいんですね……」

フッとキタザワは、青年に微笑みかける。

 

「全然……オレはしがない記者です、目の前のスクープに飛び付いただけですよ……貴方の不幸だってオレらにとっちゃ、ただの飯のタネですよ」

 

青年はキタザワの目を見ずに素っ気なく答えた。

 

「そっ、そうですか……クロさん、僕も一つ聞いていいですか?」

 

「なんでもどーぞ!!」

 

「 な ん で そ ん な に 悲 し そ う な 目 を し て る ん で す か ?」

 

ニッと笑っていた青年の動きがピタッと硬直した。

 

「気のせいじゃないですか〜オレは今嬉しいんですよ、オレも元外来人なんです……自分と似た境遇の相手に出会えて、こうして話をするのも楽しくって……」

 

ハッと自身が硬直している事に気付き不自然の無いように青年は、切り返した。

 

「そっ、そうですか……」

 

青年の様子にキタザワは、どうしたんだろうか?と疑問符を浮かべるも解消する事は不可能だった。

 

「あっ、そうだ!!たぶん、近々もう1人、文々。新聞の記者がキタザワさんのとこに来ると思うんですけど、取材……受けてもらっても良いですか?」

 

「構いませんよ?どんな方なんですか?」

 

「それはそれはもう恐ろしい奴です!!その名も妖怪取材しろしろ女……暴力的で傲慢、そして助手を全く労らずに馬車馬の様にコキ使う!!今日だってオレの大事な物をぶっ壊して……とにかく恐ろしい奴なんですが……」

 

青年が力説してる中

 

ビュウ!!

 

と音を立てて少女がやってきた。

 

「やっべ……」

サッと青年は青ざめる。

 

「クロ!!真面目に取材やってるじゃないですか〜!!関心関心!!」

 

とても嬉しそうに少女は、青年の肩をポンポンと叩いた。

 

青年は、ダラダラと冷や汗をかく。

 

「助手だからね、当然でしょ?」

なんとか少女の機嫌を取りつつこの場を乗り切ろうと青年はドヤ顔で答えた。

 

「えっと……この人がさっき話してた妖怪取材しろしろ女さんですか?」

 

キタザワが微笑みながら問うた。

 

場が凍りつく。

 

「あっ、紹介が遅れてすみません。私、文々。新聞の射命丸文と申します!!」

ニッコリと少女はキタザワを見る。

 

「あっ、人違いなのかな……」

キタザワは、首を傾げる。

少女は、笑顔を崩さずキタザワを見た。

 

笑顔の少女の背を見て青年は、真っ青になっていた。

 

ゴゴゴゴゴと効果音の出そうな少女の怒りを肌で感じていたからだ。

 

「その、妖怪取材しろしろ女についてちょっと詳しく聞かせて頂いても良いですか?」

 

「あっ、ハイ、それはそれはもう恐ろしい奴らしくて……」

 

次元者説明中……

青年逃走中……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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