東方風天録   作:九郎

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キャラ崩壊防ぐために原作を5周弱ほど見たのですが、やはり不安であります。
あまり、踏み込んだ話はしない方が良いのかもとも考えてます。

そして、久しぶりの投稿
失踪はしませんよ


お気に入りの帽子

妖怪の山……天狗の里の料亭、厨房にてコソコソと話している二人がいた。

 

「店長〜私無理です怖すぎます〜」

 

料亭で働く若い女性の天狗は、ガタガタと震えながら店長に言った。

 

「あ、あたしだって怖いわよ……はっ、早く行って来なさいよ!!」

 

このやり取りが聴こえてないだろうか?と冷汗を垂らしながら店主は、チラリとテーブルに座った男性を遠目に見た。

 

そこには、異様な雰囲気を醸し出すハンチング帽を被ったX字の前髪の男性、そして、その対面には、白髪の少年がいた。

 

「だって、あのクロ様ですよ?怖い伝説だらけじゃないですか〜怖いオーラ出まくってますよ!!」

 

「ただ注文取ってくるだけでしょうが!!行かなきゃ給料下げるわよ!!」

 

 

「くそ〜絶対辞めてやるこんな料亭〜」

半泣きになりつつ、注文票を片手に若い女性の天狗は、青年たちの座るテーブルまで重い重い歩を進めることにした。

 

一方、テーブルに座った青年たちはと言うと……

 

「どーよ、このハンチング帽、なんか記者っぽくない!?」

 

「いえ、殺人鬼か何かにしか見えません、このハンチング帽は、魔法のアイテムか何かですか?めっっっちゃ、目付き悪く見えますよ!?しかも、ゴゴゴゴゴって、変なオーラ出てますし……」

 

「えっ!?またまた〜キタザワ君、さっきオレにおちょくられたからって、そんな事言わなくたっていいじゃないか〜」

 

あはははと青年は笑う。

 

「ひぃいい!!クロさん怒ってます!?もし怒っないならそのニヤァ……って笑うのやめて下さい!!めっちゃ怖いです!!」

 

青年の笑みを見て、ガタガタとキタザワは震えだした。

 

「ったくもぅ〜失礼しちゃうよね〜気に入ってだぜ?これ〜」

プンプンと青年は、怒りながら、注文はまだだろうかと辺りを見回した。

 

すると、今にも泡を吹いて倒れそうな女性の天狗が側に立っている事に気付いた。

 

「注文しても大丈夫ですか?」

 

「ヒッ!!ハッハイ!!」

女性の天狗は、ガタガタ手を震わせて注文票とペンを手に取った。

その様子を見て、青年は、頭にクエスチョンマークを浮かべた。

 

なんでそんなに怯えてるんだろ?

 

そういえば、文にもこのハンチング帽はかぶるな〜って言われてたっけ?

 

それに、室内で人と話す時に脱帽しないのは失礼か……

 

気に入ってんだけどな……この帽子……

 

と思考を巡らせ、ハァと小さな溜息と同時に帽子を取ってテーブルの上に置いた。

 

それを見てキタザワはホッとしていた。

 

「あ〜怖かった……目付き悪過ぎるでしょ帽子被ったクロさん……殺されるかと思った……」

 

と青年に聞こえないように呟いた。

 

 

「あっ、キタザワくんは何か軽く食べときたい物とかある?昼は、あの八雲さんの家で食べるんだったよね?」

 

 

「僕は大丈夫です、お構いなく」

 

「ん〜じゃあ、コーヒーでも飲みなよ、それくらい、オレが奢ったげるからさ?おねぇさん、コーヒーを一つ……いや、2つ下さい」

 

「ハッハイ!!」

青年がハンチング帽を脱いだためか、女性の天狗は、先程よりかは落ち着いた様子だった。

 

しかし、青年の噂のせいか、青年への恐怖心は拭えていなかった。

 

「あっ、そうそう、余所者のこの子、勝手に山に連れ込んじゃってるけど、これ……他言無用で頼みますね?極秘任務ってやつで、問題ないですから……」

 

青年は、微笑みながらキタザワを指差しつつ女性の天狗に言う。

女性の天狗は、キタザワをチラリと見て、

 

あら、可愛らしい子じゃない……

と怯えてガチガチに固まっていた身体が緩ませる。

 

「あの、他言無用ですよ?」

 

「ハッハイ、了解致しました!!」

 

ボォ〜っとしていた女性の天狗は、ビクッと跳ねる。

 

青年は、気にせずキタザワの方を見ていた。

 

ああ、山に入るときに警備の天狗達に言って回っておけば良かった……

 

と青年は、自身の失敗に対してペチンと額を叩く。

 

そして、次の瞬間には

まぁ、いいか……

問題起こったら、どうにかするさ……

 

と遠い目をして考えた。

 

「クロさん……コーヒーだけでいいんですか?」

ボォ〜っと考え込む青年にキタザワが、青年に昼食の注文を促した。

 

「おっと……すみませーん、もう一つ注文良いですか?」

ありがとうとキタザワに微笑み、青年は、ヒラヒラと手を振って、厨房に戻ろうとしていた女性の天狗に声を掛けた。

 

「ハイ!!」

すぐさま踵を返して青年の元へ戻る女性の天狗に対し、青年は真剣な表情で

 

「お子様ランチをお願いします」

と注文した。

 

「は?」

「は?」

キタザワと女性の天狗の声が重なった。

 

冗談で言ってるんだろうか?

ここは突っ込んだ方が良いんだろうか?

 

キタザワと女性の天狗の思考さえも重なっていた。

 

そして、数秒の沈黙の後に青年が、思い出したように言葉を発する。

 

 

「おっと、旗を付けるのを忘れないで下さいね」

 

「………………」

 

女性の天狗は、無言で厨房に戻っていった。

 

「クロさん……お子様ランチって……」

 

「ん?美味しいよ?」

 

「いや、美味しい美味しくないの問題じゃなくて……」

 

「あっ、キタザワくんも食べたかった?」

 

「違いますよもぉ!!」

本当に変な人だなぁとキタザワは、思った。

 

「???」

青年は、何故キタザワが怒ったのか理解できない様子で、その様子を見て、キタザワは、溜息を吐く。

 

溜息を吐くキタザワを見つめつつ青年は、

 

 

「あの子が好きだったから…………」

 

と誰にも聞こえないように遠い目をして呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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