読者の皆さん、この暗い暗い作風の駄文を読んで頂き本当にありがとうございます!!
明るくしたいのですが、それは多分3章あたりになるかも……
それまでお付き合い頂ければ……感涙です。
では、本編です。
翌日、新聞読んで昼まで体を動かした。
それでもって、昼飯を人里まで食べに行き、今は特にする事もなくフラフラと人里を歩いている。
時より、人里の住人達が「生きていたんだ……」とか、「アイツ災難だったよなぁ」とかコソコソ話してるのが聴こえた。
別にどうでも良いのだけれども……
暇だなぁ、あのアホ天狗がこない分まだ良いけど……
「こんのクソ餓鬼がぁ〜!!」
聴き覚えのある怒鳴り声が聞こえた。
「ヒグッ、グスッ、うぇ〜ん」
6歳程の女の子が泣いている。
「すっ、すいませんでした!!許して下さい!!」
何処かで見たような男の子が大男に謝っていた。
アッ、成る程あの子か……
んで、泣いてる方があの子の妹で、大男の服が濡れてるなぁ……何でだ。
「クソ餓鬼がぁ、いきなり水をぶっ掛けやがって、オレの服がびしょ濡れじゃねぇか畜生が!!」
「すっ、すいません!!こいつもわざとやったんじゃなくて……植木に水をあげようとしてたんです……それでおじさんとぶつかってしまって……」
あ〜成る程ね……
それしきの事で怒んなよ情けないおっさんだな……
「どう落とし前つけてくれんだよアアン?」
「うっ……この子は悪くありません、それに、みんなが渡してるように貴方に渡すお金も持ってないんです……もし……気が済まなくてこの子を殴るなら……代わりに僕を殴って下さい!!」
「いい度胸してるじゃねぇかクソ餓鬼が……じゃあ2、3発殴った後に金はテメェの親から搾り取るかぁ」
大男は、ニヤッと汚い笑みを浮かべて拳を振り上げた。
男の子は、目を瞑った。
「いい加減にしなよ……おっさん……アンタ人を傷付ける事しか能がないのかい?」
背後から大男に声を掛けた。
大男は、ビクッとしてこちらを振り向きオレの顔を見た途端に再びニヤ〜と汚い笑みを浮かべた。
「よう、小便まみれのクソ雑魚……また殺されてぇのか?」
「久しぶり、ちゃんとお兄ちゃんやれてるじゃん!!カッコよかったぞ!!」
ニッと男の子に微笑んだ。
この子は成長した、立派に妹を守ろうとした。
カッコ良いよ……じゃあ今度は、オレがお前達を守ろう。
「あの時のお兄ちゃん……ダメだよこの人に逆らったら!!またボコボコにされちゃうよ!!速く逃げるんだ!!」
「大丈夫だよ……もうオレは何も怖くないから……」
優しく、男の子と泣いている男の子の妹に微笑んだ。
「無視してんじゃ、ねぇぞ殺されてぇのか!?」
「うっせぇよ能無し……」
「ああん!?もういっぺん言ってみろ!!」
「聴こえなかったか?じゃ、ゆっくり言ってやるからよく聞けよこの、 の・う・な・し 」
「この前、あれだけボコボコにしてやったのに、まだ調子に乗ったこと言うのかよ、もうお前……殺さねぇと分かんねぇな……」
スッと大男は、腰の刀を抜いてその銀色を露わにする。
オレはこの人種をよ〜く知っている。
クズという人種だ……
「テメェも抜けよ!!テメェも腰に短い刀を差してるだろう?」
「嫌ですよ、子どもが見てるのに……それに抜く必要性を感じないし」
毅然とした態度を突き通す青年を見て、大男は、大いに苛立った。
「ああそうかい、じゃあ殺してやんよ!!」
大男は、刀を構える。
それなのに青年は、眉ひとつ動かさない、静かなのである。
それどころか、青年は、微笑んでいるように見える。
度胸があるのか……それともただの狂人か?
「殺す?殺せるの?……」
5メートルほど離れていた青年と大男の間合いが一瞬にして縮まり、ほぼ密着した状態になる。
「ヒッ……なんだテメェいきなり……」
突然の出来事に大男は、動揺を隠せない。
青年が自分の目と鼻の先まで瞬間移動したように感じたからだ。
「殺したら……一生背負わないといけませんよ?人の……命……それって、すっごくすっごく……重いんです……潰れそうになる程に……オレの命……背負ッテクレルノ?」
「なっ、なに訳わからないこと言ってんだよ!?」
なんて暗い目をしてやがるんだ……
死人みてぇだ……
大男は、青年の目を見てかつてない程の恐怖を感じた。
イカれてやがる……
まともな人間の目じゃねぇ!!
「ねぇ……いつになったらその刀……振り下ろすのさ?」
耳元で青年は呟いた。
「しっ死ねぇこのキチガイがぁ!!!」
大男は、飛び退き力一杯青年を袈裟懸けに斬った。
しかし、青年の左腕を掠めただけだった。
「腰が引けてる……そんなじゃ皮しか斬れナイヨ……手伝ッテアゲヨウカ?」
ポタポタと、左腕から血を滴らせた青年は、右手で大男の刀の刃を掴み自身の胸に当てがった。
ブシュッと音を立て、青年の右手からも血が滴る。
「おっ、お前なにやってんだよ……」
カタカタと身を震わせた大男は、青年の暗い目を見た。
吸い込まれそうな青年の目を見た時、大男は、心臓を握られてるような感覚に陥った。
「ココだよ、ここダヨ……ここをひと突きすれば、オレを殺セルヨ……ほらほらっ、どうするの?」
「ひっ、ヒィィィ!!」
ガタガタと身を震わせる大男に、青年は微笑みかける。
「口だけか……拍子抜けだなぁ……じゃあ……次ハ、オレがオマエを殺ソウカ……背負ってアゲルヨ……オレは沢山背負ってるから……誰一人として……救えなかったカラ……」
「うわぁぁぁあ!!!たっ助けて!!!」
パニックになる大男の耳元で、青年は静かに呟いた。
「なんで怯えてるの?子猫ちゃんみたいだ……オレが怖いの?前は笑ってオレを殴ってた癖に…… 大丈夫だよ、痛くしない、直ぐに殺シテアゲルヨ……」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
ガタガタ震えながら大男は、謝る
殺される、こいつに殺される……
嫌だまだ死にたくない!!死にたくない!!!
「嘘だよ……」
大男の視界から青年が消えた 。
「えっ!?助か……」
ガシッ……青年は、大男の背後に回り、左腕で大男の首を締め、右手で大男の頭を押さえつけ、身動き出来ないように完全にロックした。
「これで、何回落とされたっけかなぁ……チョークスリーパーってやつだ〜あははっ」
「ウグッウゲッゲッ」
「あんまし暴れんなよ……首の骨……へし折るゾ……」
ジタバタしていた大男が少しずつ少しずつ静かになってゆく
「フワァッとしてきただろ?そのまま身を委ねな……楽になるからさ……」
青年は、優しく大男の耳元で囁いた。