東方風天録   作:九郎

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前回、サブタイトルがクソ長かったので短くしようと思います。
聖句は、好きなんだけどなぁ

幼少期にアイデンティティーの確立に失敗した大人になれない、要するに、アダルトチルドレンって奴かな?

そんな主人公にしたいのに、なかなか難しいものです。


アダルトチルドレン

「馬鹿じゃないの貴方?」

 

怒鳴られた

 

「あのね、あんな下等な妖怪に喰われるなんて、貴方は誇りというものはないの?だいたいねぇ!!」

 

なんか知らんがこの女オレに説教垂れる気だ

 

まぁ、普通の反応だろうなぁ

 

面倒くさい……

1時間くらいか?長いこと説教くらって怒鳴られて

 

オレはただ、ハイ、すいませんを連呼してた

 

話なんてまともに聴いてないね、面倒くさいから

 

他人にオレの気持ちなんて分かりゃしないさ

 

でも、説教してくれるだけありがたい事だ。

 

「なんで死んでも良いやなんて思ったんですか?」

 

少女が問うた。

 

「虚しいから」

 

青年は、即答した。

 

「はぁ?あ〜、貴方見ない顔ですね、新人かな?まぁ、私もこの組織に所属して、最初は戸惑いましたよ?見た感じ変じて間も無いんでしょう?木っ端……いや、山伏なのかな?」

 

なに言ってんだこの女?

 

「何を言ってるんですか?言っている事の意味が全くわか」

 

「まぁ、あれですよ!!色々と戸惑ってるんでしょうけど私で良かったら相談のりますよ?長年この組織に所属してますからね、あっ、だからって硬くならなくていいですからね」

 

話を遮りやがって……人の話を聞けよ、組織って何? てか、お前何者だよ?

 

「あっ、自己紹介がまだでしたね、私は、射命丸 文です。」

 

少女は、ニコッと笑うものだから

ボロクソ言ってやりたい自分の気持ちが落ち着いた。

 

文……か、オレの敬愛する人の妻の名前と一緒の文字だ……

 

「君は?」

 

 

「オレ?オレは……オレは……」

 

偽名を言ってやろう……

 

何がいいかな?

斎藤一かな?永倉新八も捨てがたい。

 

 

「あっ、変じたばかりで無いのかな?じゃあ、そうだな、黒い服着てるから今日から、貴方はクロ君ね!!」

 

ダメだこの女……オレじゃこの女の暴走を止められん

 

大体、なんだよクロ君って猫の名前か?

 

僕の名前はクロですにゃ〜ってか?

 

馬鹿みたい

 

「じゃ、戻りますよクロ君!!」

 

少女は、笑顔で青年の手を引っ張った。

 

「はぁ?ちょっと待てよ、何処に行くのさ?」

 

「ん?決まってるじゃないですか天狗の里ですよ」

 

何が何だか訳が分からないよ

天狗の里?なんでオレがそんなところに?

 

天狗ってあれか?鼻の長い……

 

でも、この娘の鼻長くないし……

 

まぁ、あんな大蛇がいるんだから天狗くらい別に不思議じゃあないけど……

 

 

「さぁ、行きますよ!!」

 

バサァッと少女は、背中から黒い翼を出した。

 

オレはその翼に心を奪われた。

「綺麗だ……」

真っ黒……何色にも染まらない漆黒

 

オレの好きな色

 

「ちょっ、さっさと行きますよ!!いきなり何を言うんですか君は……」

 

少女は、戸惑いつつ青年の手を掴んで飛び立った。

 

「えっ、ちょっと待てって!!もっとちゃんと話を……」

 

本当に訳が分からない、正直頭がおかしくなりそうだ。

 

漆黒の翼を持った少女に手を掴まれて、天狗の里とやらに行くようだけど

 

ちゃんと詳しく教えてくれよ、頭が痛くなってきた。

 

それに、オレは人間だよ……

 

青年は、溜息を漏らした。

 

 

 

 


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