これから倍以上に増えてくるだろうから
今のままだと怖いですね〜熱い展開にしたいんだけどなぁ
では、本編です。
ガッ、ゴッ!!
激しい打ち合いの末に青年と綺羅は鍔迫り合いになった。
フェイント入れてるのにまるで知っているかのように反応される……
コイツに当てられる気がしない……
「お前さぁ、面越しでオレの表情を見たくないって言って面を取ったけど、オレが面を被ってるからオレの表情見れないと思うんだが……」
「ん?挑発したんだよ……君なら乗ってくると思ったんだ、コケにしやがって……って思ったろ?ふふっ、顔に書いてあったもの……君がどうやって打ち込む気なのかも、全部顔に書いてある。」
ニコッと綺羅は爽やかに微笑む
なるほど、手の内で踊らされた訳だ……
あ〜ヤダヤダ……そんなにオレ、思ってること顔に出てるかな……
気をつけなくちゃ……
「それ……」
綺羅は鍔迫り合いの状態から飛び退いて、青年の頭に向かって木刀を振り下ろす。
引き面という奴だ。
「チィッ……」
間一髪のところで青年は、綺羅の一撃を受け止めた。
そして、綺羅の胴目掛けて木刀を打つ
しかし、綺羅は、飛び退いた為に空振りに終わる。
「優しいね……クロ君は……」
「何が?」
「あまりにも打ち込みが単調すぎ……胴しか狙ってないじゃないか、どうせ僕に痛い思いさせない為だろ?」
「違うな……」
「そうですって顔に書いてあるよ……変なの……僕をどうやって斬ってしまおうかと考えているクロ君は、嫌に生き生きとしているのに……君の優しさがそれに歯止めをかける……思いっきり斬り合いをしたがってる好戦的なところもあれば、痛い思いさせたくないよって思ってる優しいところもある……」
「………………」
「捨てちゃえよ……優しさなんて……ただ相手をぶちのめしてやればいいじゃない?思いっきり暴れてみろよ……殺す気で来なよ、本当は、そうしたい癖に……」
そう言って綺羅は青年の小手を狙って打ち込んだ
しかし、青年は、横っ飛びして躱す。
「そうしたくないから防具の有る胴だけをさっきから打ってるんだけど?」
「あはっ、自分で認めたね〜本当に君は優しいね……ますます君が好きになったよ……でもね、それじゃ僕には勝てないよ?」
綺羅は、思い切り青年の間合いに飛び込んだ。
飛び込み面か……
後ろに下がって外した所を……
なに!?
面が当たらないように距離を取ったのに……どんどん……木刀が伸びていく……いや、木刀が伸びて見えるんだ……
どうして?何で……そんな風に……
ドスッと鈍い音を立て、綺羅の木刀は、青年の喉元に突き刺さった。
意識が飛んだ……
アレ……天井が見える……
フワァって……するんだ……
とっても気持ちがいいや……飛んでいけそうだ……
やだな………負けたくない……
負けたくないよ……これが真剣ならとっくにオレは死んでる……
悔しい……悔しい……悔しい!!
「残念!!突きだよ……君、そんなに剣道の経験無いから突きがくるの分からなかったろ?あ〜あ、真剣だったら首が吹っ飛んでんじゃないかな?死んだね〜クロくん」
倒れた青年を見下ろして綺羅は言った。
ニッコリ笑っている。
おい……なんでお前オレを見下ろしてんだよ?
見下ろしてんじゃねぇよ……
オレはまだ負けてない!!
あっ……そういえばよくあったなこんな事……
剣道じゃないけど、徒手格闘とか対ナイフの試合の時にボッコボコにやられて何度も天井を仰いだっけ……
それで、何度もお前は甘いんだ!!
って言われたっけ?
さしずめオレは、牙を抜かれた獣……どっちかってーと嘴を抜かれたって言い方の方がオレに合ってる気がするけど。
まぁ、人に勝ちたいとか一度も思った事なかったからかな?
勝ったからどうしたの?って、感じだったし……
そんなだからオレは弱いんだ
ははは、こんなに弱いからオレは誰も守れないんだ……
まだ終わってない……終わりじゃない!!
オレはまだやれるぞ……
「ふふっ、君の色んな表情が見れてよかった……楽しかったよ……クロ君……」
クルッと綺羅は青年に背を向けた。
「もっと色んな表情を見せてくれ……これからだよ……もっと見たいものがあるんだ…………ん!?」
なに背を向けてんだよ……ナメんな……
オレが勝つんだ……お前に……
お前を倒す……倒す……倒す!!!
ユラ〜ッと青年が立ち上がった。
直ぐさま綺羅は臨戦態勢に入る。
「………………」
青年の目は虚ろだ、見えているか見えていないのかさえ分からない。
「良い顔になったね……」
ニコーと綺羅は笑う
「………………」
全てをコイツにぶつけよう……オレの……全てを……
ただ、オレの全てをぶつけるだけ……それでいい……
アレ、おかしいな……
周りの音が……なにも聞こえない。
目の前の相手以外なにも見えない……
身体の軋む音、心臓の音を感じる。
この時________
涎にもきづかない程に、青年の意識は体の隅々へ……
綺羅の太刀に後の先を合わせるためだけの体と化す。
「立ってるのがやっとだろ?かわいそうに……今、楽にしてあげるからね……」
綺羅は青年の 頭目掛けて木刀を振り下ろした。
「まぁ、動けたとしても、どうせ君は胴を狙うんだろ……分かり切ってるから対処できるよね〜甘いんだよなぁ……僕はそんなに本気出してないんだよ?」
綺羅の視界から……青年の姿が消えた……いや、消えた様に見えたのが正解である。綺羅が不意に瞬きをしたその一瞬の間に、青年は、間合いを詰めて綺羅に打ち込む……もはや、斬ると表現したほうが正解なのかもしれない……
バギィッ…… 青年の一閃が綺羅の木刀に当たる。
木刀がへし折れて吹っ飛んだ。
綺羅の木刀だ……
その後、もう一太刀、スパァンと木刀が綺羅の胴に当たる音がした。
「うん、やっぱりクロ君は面白い……僕が振り下ろすよりも前に打ち込んで僕の得物を破壊した、それに、瞬きをする程の一瞬を君は我が物としている……」
青年の渾身の胴を受けた綺羅は嬉しそうに言った。
「…………」
糸の切れた操り人形のようにドテッと音を立て、青年は倒れこむ
「でも、君には僕を殺せないみたいだね……フフッ、まぁ仕方ないよ……僕、天才だもの……」
まぁ、殺されたくないよ……どうしても見たいものができたカラ……
類は友を呼ぶって意味……今ならよ〜く分かるな……
フフフッ……あははは!!!
綺羅は笑って道場を後にした。