東方風天録   作:九郎

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なんか知らんけど3000こえてたなUAってやつが
どうもありがとうございます。こんなつまらんの読んでくれて。

感想くれたらもっと嬉しいんですけどね!!

まぁいいや、では本編です。


火の構えと一つの太刀

「お前さぁ……恐銃症さえなかったら行けるんじゃね?」

青年より少し年上の男が言った。

 

「どこにです?」

 

「特殊急襲部隊……」

 

 

「馬鹿な……オレがそんな体力無いの知ってる癖に……行ける訳ないじゃないですか先輩……」

 

昔の夢を見た……

どうでも良い夢だ…… どうだって……

 

天井が見える……へっ、負けちゃったか……

 

慣れてるじゃないか……自分より強い相手にボッコボコにされる事なんて……

 

綺羅……天才め……歩くお手本って感じの、型を極めた人間だ

すっげぇわ、よくもまぁあんな境地に立てたな……

 

 

オレじゃ届かん……

 

ズキっと額に痛みを感じて触ってみた

包帯が巻かれてある……

 

「あっ、起きたなバッテン前髪……まったく、めちゃくちゃして……神聖な道場を血で汚すな!!起きたならさっさと掃除しろ」

 

 

「へいへい……」

青年は、立ち上がり近くに置いてある雑巾で道場の床を拭いた。

 

 

「ねぇ……私が、面無しでアンタと試合したら……アンタどうするの?」

ポツリと妖夢は呟いた。

 

 

「打ち込めないと思う……」

 

 

「なんで?」

 

 

「君みたいな子に怪我させたくない……」

 

 

「そんなの優しさじゃない……私の事、ナメてるね……本当に……」

低い声で妖夢は言った。

ムスッとしている……まぁ怒るだろうね、気持ちは分かるよ?

 

怒ればいいさ……それでも、オレは打ち込めない……

 

 

「ナメ腐ってるよ……君に怪我させるくらいなら自分が怪我した方が良いもん、何とでも言えよ……例えばオレが本気で妖夢ちゃんの頭をぶっ叩いたとしよう……そしたらね、妖夢ちゃんが感じる痛みと同じくらい……オレも痛いんだよ……」

 

 

「どこも痛めてないのに?」

 

 

 

「ここが痛いんだ……」

チョンチョンと青年は、自分の胸を人差し指でさす。

 

 

「甘いね……甘々だ……」

軽蔑するように妖夢は青年を見た。

 

それなのに、青年はニコッと笑った。

 

 

「そうだね……」

 

 

「ちゃんと型を意識しないから私にも綺羅ってやつにも負けるんだ……アンタのやってること、型破りだと思ってるだろ?違うよ……アンタのやってる事は破る型すら無い……型無しさ……」

 

 

「型に囚われたくない……そんなもの必要無い……って事を五輪書に書いてあった気がするな……」

 

 

 

 

「屁理屈ばっかり……アンタはちゃんとこれから練習するべきよ……アンタ背が高いから上段なんてやってみたら強くなるかもよ?」

 

 

「ご冗談を……」

 

 

「………………」

 

殺気を感じた、ヤバい……また殴られる。

この子、からかうの凄く楽しいんだけどなぁ……

 

 

「ごめんふざけて……」

 

 

「私相手にいつもふざけてるから謝られても全然嬉しくない!!」

 

ふんっと妖夢はソッポを向く

 

せっかくアドバイスしたのになんなのよコイツ…… 気に入らない……

と妖夢は思った。

 

「火の構えって言うんだよね……それ……嫌いじゃないよ唯一好きな型だ……相手が打つより速く打つ!!攻めに特化したその様は……火と形容するに相応しいもんな……まぁ、やらないけれど……」

 

 

 

「なんでよ?」

 

 

「急所を曝け出すとか……馬鹿じゃん?死ぬよ?真剣だったら……腹を掻っ捌かれて……」

 

 

「そうなるよりも速く相手を倒すのよ……一撃に自分の全てを乗せてね……勇気と気迫がないと絶対できない……まぁ、ヘタレのアンタには向いてないかもね……」

 

 

「自分の……全てを?」

 

 

 

「一つの太刀って知ってる?」

 

 

「知らないね……二つの太刀とか三つの太刀とかあんの?」

 

 

「馬鹿ね……無いわよ、一つで良いの……その一つに、自らの生きてきた全てを乗せる……自分の想い、覚悟、歩んできた人生……全てを乗せて放つの……だから二つ目は無い……次なんて無いのよ……」

 

 

「………………」

 

 

「師匠が昔言ってた事を思い出したから言ってみただけよ……気にしないで……」

自嘲気味に妖夢は言った。

 

「悪くないな……嫌いじゃないよ、それ……」

 

 

「師匠の言ってた事……良く意味が分からないことばっかりだけど、その話は何故か好きだったんだ……」

 

 

「ふぅん……なんでオレにそんな事教えてくれるわけ?」

 

 

「…………なっ、何者になりたいのか、一緒に探すんでしょ?」

 

青年と目を合わせずに妖夢は言う

 

「長い道程になりそうだな……」

フッと青年は、笑った。

 

 

「むっ、無駄話が過ぎたわね、ちゃんと道場綺麗に掃除しとけよ!!私は帰る!!」

なんでこの子の頬が赤いのか、オレには分からなかった。

ただ、一つ礼を言わなきゃいけない事は確かだ……

 

 

「…………ありがとうね、包帯巻いてくれて」

 

 

「なんか言った?」

 

 

「別に……さっさと帰れよ」

 

やっぱり恥ずかしい……

 

「くっ、分かったわよ……次はもっとボコボコにやっつけてやるから覚悟しとく事だ!!」

 

ふんっと言って妖夢ちゃんは帰っていった。

 

次……か……ふふっ次も相手してくれるんだな……

よしっテキトーに掃除してさっさと帰ってやろっと

 

あのおチビちゃんに手を抜いたのバレたら怒られるから、工夫して手を抜いてやらなきゃな……

 

次はなんて言ってからかってやろうかな……フフフッ

豆粒とか?

 

「…………………………」

道場の窓の隙間から射命丸は無言で一部始終を見ていた。

 

 

「なんだ、楽しそうにやってるじゃない……イライラするなぁ……」

 

放って置いたら少しくらい…… 私の事……

いや、アイツに限ってそんな事ないか……

 

どうでもいい筈なのに、ここ最近アイツの事ばかり考える……

分かってる……分かってるわよ…… 全部私の所為だ……たから私には、アイツの事を考えたりする資格もない……つまらない嫉妬心でクロ君に酷い事言う嫌な女だもの……

 

嫌われたって良い……クロ君が何と言おうが私は……

う〜ん、まだ分からないな……

 

自分の事がよく分からない……こんなのはじめてです。

素直な気持ちは……

私はクロ君のこと……

 

何だろう、頭が熱い……もう帰ろう。

ヒュッと音を立て、少女は飛び去った。

 


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