どうもありがとうございます。こんなつまらんの読んでくれて。
感想くれたらもっと嬉しいんですけどね!!
まぁいいや、では本編です。
「お前さぁ……恐銃症さえなかったら行けるんじゃね?」
青年より少し年上の男が言った。
「どこにです?」
「特殊急襲部隊……」
「馬鹿な……オレがそんな体力無いの知ってる癖に……行ける訳ないじゃないですか先輩……」
昔の夢を見た……
どうでも良い夢だ…… どうだって……
天井が見える……へっ、負けちゃったか……
慣れてるじゃないか……自分より強い相手にボッコボコにされる事なんて……
綺羅……天才め……歩くお手本って感じの、型を極めた人間だ
すっげぇわ、よくもまぁあんな境地に立てたな……
オレじゃ届かん……
ズキっと額に痛みを感じて触ってみた
包帯が巻かれてある……
「あっ、起きたなバッテン前髪……まったく、めちゃくちゃして……神聖な道場を血で汚すな!!起きたならさっさと掃除しろ」
「へいへい……」
青年は、立ち上がり近くに置いてある雑巾で道場の床を拭いた。
「ねぇ……私が、面無しでアンタと試合したら……アンタどうするの?」
ポツリと妖夢は呟いた。
「打ち込めないと思う……」
「なんで?」
「君みたいな子に怪我させたくない……」
「そんなの優しさじゃない……私の事、ナメてるね……本当に……」
低い声で妖夢は言った。
ムスッとしている……まぁ怒るだろうね、気持ちは分かるよ?
怒ればいいさ……それでも、オレは打ち込めない……
「ナメ腐ってるよ……君に怪我させるくらいなら自分が怪我した方が良いもん、何とでも言えよ……例えばオレが本気で妖夢ちゃんの頭をぶっ叩いたとしよう……そしたらね、妖夢ちゃんが感じる痛みと同じくらい……オレも痛いんだよ……」
「どこも痛めてないのに?」
「ここが痛いんだ……」
チョンチョンと青年は、自分の胸を人差し指でさす。
「甘いね……甘々だ……」
軽蔑するように妖夢は青年を見た。
それなのに、青年はニコッと笑った。
「そうだね……」
「ちゃんと型を意識しないから私にも綺羅ってやつにも負けるんだ……アンタのやってること、型破りだと思ってるだろ?違うよ……アンタのやってる事は破る型すら無い……型無しさ……」
「型に囚われたくない……そんなもの必要無い……って事を五輪書に書いてあった気がするな……」
「屁理屈ばっかり……アンタはちゃんとこれから練習するべきよ……アンタ背が高いから上段なんてやってみたら強くなるかもよ?」
「ご冗談を……」
「………………」
殺気を感じた、ヤバい……また殴られる。
この子、からかうの凄く楽しいんだけどなぁ……
「ごめんふざけて……」
「私相手にいつもふざけてるから謝られても全然嬉しくない!!」
ふんっと妖夢はソッポを向く
せっかくアドバイスしたのになんなのよコイツ…… 気に入らない……
と妖夢は思った。
「火の構えって言うんだよね……それ……嫌いじゃないよ唯一好きな型だ……相手が打つより速く打つ!!攻めに特化したその様は……火と形容するに相応しいもんな……まぁ、やらないけれど……」
「なんでよ?」
「急所を曝け出すとか……馬鹿じゃん?死ぬよ?真剣だったら……腹を掻っ捌かれて……」
「そうなるよりも速く相手を倒すのよ……一撃に自分の全てを乗せてね……勇気と気迫がないと絶対できない……まぁ、ヘタレのアンタには向いてないかもね……」
「自分の……全てを?」
「一つの太刀って知ってる?」
「知らないね……二つの太刀とか三つの太刀とかあんの?」
「馬鹿ね……無いわよ、一つで良いの……その一つに、自らの生きてきた全てを乗せる……自分の想い、覚悟、歩んできた人生……全てを乗せて放つの……だから二つ目は無い……次なんて無いのよ……」
「………………」
「師匠が昔言ってた事を思い出したから言ってみただけよ……気にしないで……」
自嘲気味に妖夢は言った。
「悪くないな……嫌いじゃないよ、それ……」
「師匠の言ってた事……良く意味が分からないことばっかりだけど、その話は何故か好きだったんだ……」
「ふぅん……なんでオレにそんな事教えてくれるわけ?」
「…………なっ、何者になりたいのか、一緒に探すんでしょ?」
青年と目を合わせずに妖夢は言う
「長い道程になりそうだな……」
フッと青年は、笑った。
「むっ、無駄話が過ぎたわね、ちゃんと道場綺麗に掃除しとけよ!!私は帰る!!」
なんでこの子の頬が赤いのか、オレには分からなかった。
ただ、一つ礼を言わなきゃいけない事は確かだ……
「…………ありがとうね、包帯巻いてくれて」
「なんか言った?」
「別に……さっさと帰れよ」
やっぱり恥ずかしい……
「くっ、分かったわよ……次はもっとボコボコにやっつけてやるから覚悟しとく事だ!!」
ふんっと言って妖夢ちゃんは帰っていった。
次……か……ふふっ次も相手してくれるんだな……
よしっテキトーに掃除してさっさと帰ってやろっと
あのおチビちゃんに手を抜いたのバレたら怒られるから、工夫して手を抜いてやらなきゃな……
次はなんて言ってからかってやろうかな……フフフッ
豆粒とか?
「…………………………」
道場の窓の隙間から射命丸は無言で一部始終を見ていた。
「なんだ、楽しそうにやってるじゃない……イライラするなぁ……」
放って置いたら少しくらい…… 私の事……
いや、アイツに限ってそんな事ないか……
どうでもいい筈なのに、ここ最近アイツの事ばかり考える……
分かってる……分かってるわよ…… 全部私の所為だ……たから私には、アイツの事を考えたりする資格もない……つまらない嫉妬心でクロ君に酷い事言う嫌な女だもの……
嫌われたって良い……クロ君が何と言おうが私は……
う〜ん、まだ分からないな……
自分の事がよく分からない……こんなのはじめてです。
素直な気持ちは……
私はクロ君のこと……
何だろう、頭が熱い……もう帰ろう。
ヒュッと音を立て、少女は飛び去った。