死後に生まれる人もいる
by.ニーチェ
あっという間に天狗の里についた。
う〜ん、確かに里だなぁ
時代劇とかでよく見かける風貌だわ
頭に獣耳が生えてる白い天狗やら、射命丸のように羽を生やしている奴、鼻の長い天狗もいる。
「到着ですね、とりあえず大天狗様の何処に謝りに行きましょう、仕事サボってた訳ですからね」
大天狗……あの、何とか天皇が変じたとされる……
いや、よく覚えてないな、人違いかも知れないし
オレの知識が間違ってるかもしれない。
天狗達にも仕事があるのか、オレたち人間みたいに社会を形成してるわけだな、なるほど面白い。
射命丸に手を引かれるまま、オレは大きな屋敷に連れられた。
「あのさ、射命丸さん」
「ん?何?あっ、大丈夫ですって私だって仕事サボって取材とかやったことあるし、適当に謝っちゃえば良いんですよ!!ほらっ、男の子でしょ?ビビらないビビらない!!」
「オレは、人間なんだけど……」
「クロ君、どっかで頭打った?人間がこんな山奥に来れる訳がないでしょう?それに、微弱ながら妖力だって持ってるし」
妖力?そんな大層なもん持ってない……
手……離してくれないかな?
鬱陶しい……
オレは、少し、一人で考え事してたいんだ
そんなこんなで大天狗様とやらの居る部屋の前まで来てしまった。
「さっ、クロ君!!勇気出して!!」
ポンポンと射命丸が背中を叩いてくる
オレに触るな……
ガチャっとドアを開ける。
2メートル、いや3メートルぐらいかな?
大きな天狗がいた。
そいつはオレを見るなりこう言った。
「何故、人間がここにいるのだ!!」
ですよね〜こんな事になるとおもったわチクショウ
オレは、知らんぞこの女が勝手に勘違いしてオレを連れてきたんだ
「なに言ってるんですか、大天狗様、どう見たって同族じゃないですか?ほらっ、妖力だって少しですけどあるし……」
「なるほど……確かにそうだが……こやつはまだ……」
なんだか知らないけれど大天狗様とやらは、オレをジロジロ見て悩んでる。
あんた、なら分かるでしょう?
オレは人間だ、さっさと解放してくれ
少し一人で考えたいんだ、訳が分からないことばかりで、これ以上オレを混乱させないでくれ。
小一時間ほど大天狗様は、オレを隅から隅まで見て言った。
「少しの間外してくれるかの?儂は射命丸と話をせねばならん」
「えっ、どういう」
「黙っとれ!!面倒な事をしおってからに!!」
大天狗様は、射命丸に怒鳴った。
いいぞいいぞ〜もっと怒られろ〜
ロクに説明もせずに人を振り回しやがって
まぁ、オレも聞かないのが悪いか……
「承知しました。」
一礼してオレは部屋を出て待つことにした。
時々、怒鳴り声と射命丸の声が聞こえてくる。
なにやら、口論してるみたいだな。
いいや、どーでも
自分の事を話されているのにどうにも興味が湧かない。
落ちたもんだわオレも……
フフッと笑ってしまう。
あっ、そうだ確かポケットに……あった!!
煙草を見つけて一服することにした。
ここ禁煙かな?
知った事か、怒られたら平謝りしてやるだけさ
フ〜……不味い煙草だなぁ
白い煙がを吐きながら考える。
神サン、まだ、終わるには早いって事かい?