東方風天録   作:九郎

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ラブコメさせてぇ〜
けど、苦手でもある……
今は、回復の時間かな?

とりあえずバケモノとしてか、それとも一人の男として戦うのか?

それで結果は違ってくると思う

前から言ってるように妖怪に変じるのは生半可なもんじゃないと思います。

昔話とかの原本とか読むとやっぱりそうです。
だから……彼には地獄のような苦痛が必要でした。
でも、本当はそれ以上に大切な要素があると思います。


チートは嫌いと言いましたがチートですよね〜
でも、強くならせたいというよりも……強くあって欲しいというのが作者の立場から見たクロ君ですね。
ガキでも良いじゃないですか、みんなクソガキですから……


では、本編です。



消えない消えない消えない

あれからどうやって家まで帰ったのか全然覚えてない……

 

体がダルい……痛い……

 

数日床から動けなかった。

 

手の怪我は治るのに時間がかかったな……

つっても2日で治ったけど。

 

人間じゃ、なくなってるんだな……オレ……

そりゃ、ソウダ……

 

だって、オレは人を…………

 

 

眠い……また、寝よ……

 

 

パシャ………パシャ

 

なんか音が聞こえる……前もあったな……気にせず寝とこっと……

 

 

ピカッ!!

 

「うわっ!!」

 

突然のフラッシュで青年は飛び起きた。

 

「あははは!!グッモーニン〜クロ君!!思い切りフラッシュ焚いてあげましたよ〜」

 

ヘラヘラと笑う少女が一人立っていた。

 

 

「ああ……起きた瞬間にお前の顔見るとか……今日は厄日だな……」

 

 

「あははは、クロ君の寝顔が沢山撮れたわ〜今日はなんて良い日なんでしょう!!クロ君の寝顔コレクション見ます?」

 

イジワルな顔して少女は青年を見た。

 

何が寝顔コレクションだよ……こりゃまともに寝れねぇな……

 

 

…………変な顔……してないかな?

 

 

「元気だなぁお前……オレは全身がダルいよ……」

 

 

「ねぇ、クロ君、貴方何か食べてる?ゲッソリしてる……」

 

 

 

「いや……食えない……何食っても、飲んでもさ、血の味がする……」

 

 

「………………困りましたね。」

 

 

「このまま、衰弱死するのかな……グレーゴルザムザみたいに……」

 

 

「なんですかその、グレなんとかって人……」

 

 

「カフカの変身だよ……まぁ、そんな事はどうでもいい……寝ても寝た気にならないんだよね……」

 

 

「まぁ、クマができてますからね〜風邪引いたんでしょう?せっかく私が傘を貸してあげたのに……クロ君カッコつけて差さなかったでしょう……」

 

 

「あっ、オレは風邪を引いたのか……」

 

 

 

「馬鹿は風邪引かないってのは嘘だと今、ハッキリと分かりましたよ……よしっ!!」

 

 

ダッと少女は立ち上がったので、青年は驚いた。

 

「なっ、何すんの?」

 

 

 

「ちょっと待ってて下さい!!」

 

そう言い残して少女は去った。

 

行かないでよ……

な〜んて思ってしまった。

 

なんかさ……やっぱり安心するんだ……君の顔見てるとさ。

 

 

暫く経ってから少女が器を持ってやってきた。

 

「お待たせクロ君!!射命丸特性のお粥ですよ〜ほれほれ〜美味しそうでしょう?」

 

 

「何これ?白いゲロかなにか?」

 

 

「なっ、しっ失礼な!!せっかく私が心を込めて作ってあげたのに〜!!」

 

 

「心を込めた!?邪念の間違いかな?分かってるぜお前、この中にツバとか鼻くそとか入れてんだろ?」

 

 

「なっ、なんですって〜!!」

プルプルと少女は震えている

 

それを見て青年は内心爆笑していた。

こんな反応も可愛いな……

 

「あ〜まぁ、冗談はさて置き……吐いたらごめんな、マジで吐くかも知れんから先に謝っとく……」

 

 

 

「うっ、うるさ〜い!!黙って食え!!」

 

少女はガッと青年の口に蓮華で掬ったお粥を突っ込んだ。

 

「ング!!…………悪くないな……」

 

不思議だった……血の味が全くしなかった。

本当に何食っても血の味がして食えなかったのに……

 

 

「当たり前ですよ……心を込めて作ったって言ったでしょ?」

 

 

「いままででさ……食った中で一番美味いわ……これ、ありがとうな……」

ガツガツと青年はお粥を完食した。

顔色もさっきより良くなったのを見て少女は、安心した。

 

「そりゃどーも……」

 

フンッとそっぽを向いて少女は答えたが顔が赤い

内心凄く嬉しかった。

心を込めて作った物だもの……でも、ちょっと自信なかったんです。

 

 

「これで動ける……アッ……ソウダ……手を洗わなキャ……」

 

何かスイッチが入ったように青年は立ち上がり外へ出て行ってしまった。

 

「ちょっ、どこへ行くんですかクロ君!!あっ!!服着替えて無いんですか!?血が乾いて真っ黒になってる!!もぉ〜汚いですよ〜」

 

少女も青年の後を追った。

 

川沿いにて ……

 

「もぉ!!どこいったのよアイツ……」

 

 

「ブツブツ……ブツブツ……」

 

青年はずっと何かを呟き手を洗っていた。

 

 

「あっ!!いた!!何してるんです?」

 

 

「消えない……消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない消えない……消えないんだ……」

 

延々と青年は手を洗い続ける。

 

よく見るとゴシゴシと洗いすぎて青年の手から血が出ていた。

 

「ちょっ!?何してるんですかやめなさい!!血が出てる!!」

 

少女は、やめさせようと青年の腕を掴むがなおも青年は洗い続ける。

 

どうしても落ちない汚れがあるように……ずっとずっと……

 

「消えない……」

 

 

「どっ……どうしたんですか?ねぇ……クロ君!?」

 

 

「消えない消えない消えない消えない……あっ……」

 

どさっと倒れ青年は意識を失った。

 

「…………クロ君……大丈夫です、大丈夫ですよ……クロ君の手は綺麗です……とっても綺麗ですよ?」

 

少女は、青年に膝枕してフッと微笑んだ。

 

 

暫く経って……

 

 

「うへへ〜クロ君起きないし……これは何やっても良いんじゃないかなぁ〜?よ〜し、クロ君の初めてを貰ってしまえ〜い!!」

 

スッと少女は、青年の唇に自分の唇を近づけた。

 

ドキドキと自分の心臓が高鳴っているのが分かる……だって……自分だって初めてだから……

 

あと数センチ……

 

あと少し……ああ……ドキドキする…… 心臓が破裂しそうです。

 

 

スッと人差し指と中指で唇を止められた。

 

 

「何やってんだお前……」

 

ジト〜っとした目で青年は少女を見つめた。

 

「げっ!!」

 

思わず少女は声を出してしまった。

少し冷や汗をかいている。

 

まだ、心臓がドキドキしてる……

 

 

「…………そういうのは、本当に大切な人とするもんだぜ?そん時の為に、大事に取っとけよばぁか……」

 

 

「うっ、うっさい!!起きてるなら起きてると言って下さいよ!!もぉ、私帰ります!!さっさと頭退けて下さい!!」

 

少女の頭はピーと音を立てて沸騰しそうだった。

 

顔を真っ赤っかである。

 

「ん……も少し……待ってよ、太腿……気持ち良いカラ……」

 

フッと青年は笑って言った。

 

平静を装っているけれど……

 

ヤバかった……マジでビックリして飛び上がりそうだった。

 

なっ、何をすんだよ……ヤバい、顔……赤くなってないよな?

 

大丈夫だよな?

 

ヤバい……心臓ドキドキしてる……

 

「ったく……仕方ないですね〜今日は特別にこうしててあげますよ、また倒れても困りますしね」

 

真っ赤っかに染まった自分の顔を見られたくないので、少女はプイとそっぽ向いて答えた。

 

 

二人とも……ドキドキと心臓が高鳴っていたのだった。

 

 

やっぱり……消えないな……

 

初めて人を殺した。

 

殺したよ……オレは殺人犯だ……

 

悪者になってしまった。

 

そんな奴と……一緒に居たらいけないのに……

 

なんでだろ、このままずうっとこうしていたい……

 

ああ、止めずにそのまま寝たフリしてれば良かったな……

 

物凄く後悔してる自分がいた。

 

変なの……

 

 

 

 


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