東方風天録   作:九郎

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リミッターつけなきゃ面白くないですよね〜こういうのって。

普通に考えたら当たり前の事なんですけどね例えるなら軽自動車にフェラーリのエンジン積んでるみたいな?だから敢えて言及しなかったんですが……いや、これは言い訳だな、かなり後悔してます。
もっと、そんな描写しとけばよかった!!!
読書のみなさんごめんなさい!!

では、本編です。


軋む心臓

家への帰り道……

 

青年はフラフラと道を歩く

 

能力の多用は厳禁だっけか?

知るかよ……勝手にこうなったんだ、意図して使った訳じゃない!!

 

クソみたいな能力だぜ……

 

悪態をついて青年は歩いていく

 

すると頭を扇子で叩かれた。

 

「最悪ね、妖力の消費が激し過ぎる……まさか、こんなに早く二度目を使うなんて……それに、前よりも更に妖力を使って……完全に私の誤算だわ、今の貴方には最悪の能力の使い方よ……」

 

今日は、よく頭を叩かれる日だなぁと思い。

 

青年は、スキマの中の紫を見た。

 

「困るのよね……そんなに無茶したら、貴方は黒子になれないわ、スッカラカンの妖力が更に減ってもう、前借り状態ね……だから言ったのに……死ぬわよって」

 

 

 

「ハハッ、そりゃあいいや、オレはアンタが嫌いだ、思い通りにならないなんて結構な事じゃないですか。」

 

意地悪な顔して青年は、紫を見る。

 

紫は、クッと表情を曇らせた。

 

「黒子になれないならば貴方は要らないの、それに、今の状態は貴方にとってもマズいことなのよ!?傷の治りだって前より遅くなってるんじゃない?誤算だったわ……元々、貴方は妖力が少な過ぎる……それを惜しげもなく使って……あの一件で妖力が爆発的に増えると踏んでいたのに、貴方のこの能力だけは、私の計算違いだった……このままでは……本当に死んでしまうわ!!」

 

 

「そうですね、それは困る……」

 

 

「今の状態じゃあ、変じる事はできない……そのまま死ぬだけよ?だから……」

 

 

「まだ、人間でいられるならば、それもいいじゃないですか?人殺しですけど、オレはもう少しだけ……人間でいたいんですよ……まだ捨てきれないんです、バケモノという現実を受け入れるほどの器量はオレには無いようだ……すいませんね。」

 

 

 

 

「はぁ……次使ったら終わりだと思いなさい……貴方は変じる事が出来ず、そのまま死ぬの……終わるのよ、大切な人だって沢山できたでしょう?泣かせるの?あの子を……」

 

 

 

「うっ……」

 

 

 

「思い通りにいかないものね……最悪だわ、貴方は優し過ぎる……自分を削るなんて……本当にマズいわ、私の計画がパァになっちゃうじゃない……困るのよねそれは……」

 

そう言い残して紫はスキマに消える。

 

青年は、苦笑いした。

 

「アンタがそんなに困った顔するってのは、結構ヤバいのかな?でも、さほど取り乱してないのは何故だろう?」

 

青年は首を傾げて歩き出した。

 

スキマの中にて

 

「幻想郷の賢者としてはこれは最悪の事態だわ……でも、私個人としては、別に良いと思ってしまっている……もぅいいじゃないクロ、今の貴方はバケモノでも、人殺しでもないのよ?人間なの、一人の男の子として、素直にあの子に気持ちを伝えてしまいなさい……もう、自分はバケモノだから……とか、幸せになっちゃダメだなんて考えも全部捨ててしまいなさいな、見てるこっちが切ないわよ……このままだと手遅れになる……貴方の身体が持たないわ、期待していたのだけれど……ふふっ、私も甘いわね……でも、残り少ない時間で、あの子達の恋を成就して欲しいと思ってしまうようになった……本当に、何もかも上手くいかないわ……」

 

ハァと紫は深い溜息をついた。

 

「人間の身体であの身体能力……不完全故の弊害ね、耐え切れてない……人間の身体が妖怪の身体能力に追従できるはずがない……ましてや、高位の妖怪になんて……」

 

 

 

 

妖怪の山の自宅にて

 

 

「クソッ……クラクラする……」

ドサッと青年は、寝込んだ。

 

「クーロ君!!」

元気一杯に少女は、青年の家に押し入った。

 

「おねが〜い、今日は帰ってよ〜ダルいよ〜」

力無く青年は、少女に言った。

 

 

「およよ?クロ君元気無いですね〜」

 

目をパチクリさせて少女は、青年を見たがさほど意に介しなかった。

 

 

「………………」

 

 

「また、ご飯作ってあげましょっか?ただし、口移しで食べてもらおっかな〜」

 

ニヤァと少女は笑って青年を見る、もう、返ってくる反応は分かりきっている。

 

それを見るのが凄くたのしいのだ。

 

「馬鹿たれ!!要らねぇよ帰れよ!!」

 

 

「あはははは!!クロ君からかうの楽しいなぁ〜」

 

 

「う〜ざ〜い〜!!帰〜れ〜よ〜」

 

 

「や〜ですよ〜だ!!」

 

 

「クソが……もう知らん!!オレは寝るからね!!」

 

 

「よ〜し、添い寝しよ〜っと」

スッと少女は、青年の床に侵入した。

 

それを青年は、足で蹴って追い出す。

 

「や〜め〜ろ〜!!!」

 

 

「あははは、顔真っ赤ですね〜」

ニヤニヤ笑って少女は、青年の足を抑えて青年の床に侵入しようとしている。

青年は、足をジタバタして抑えられぬように抵抗している。

 

「お前も真っ赤だろうが……」

 

 

「なんで赤くなってるかクロ君分かってますか?」

少女は、青年にニコッと微笑む

 

青年は、目を合わせる事ができない……

 

「知るかよ!!帰れよ!!」

プイッと青年はそっぽを向いたので少女もムスッとする。

 

「分かりましたよ帰りますよ!!このニブチン!!」

 

ちぇっと舌打ちして少女はプンプン怒って帰っていった。

 

今の青年には、まともに少女の相手をする余裕がなかった。

 

だから、少し怖かったところもある。

 

感情を表に出さないようにしたかったのに顔を真っ赤にした所を見られてしまった。

 

クソだるい……

 

早く治るといいな。

 

なんか凄く嫌な予感がする……

 

身体が軋む……錆びついた機械を無理矢理動かしてるみたいに、軋むんだ。

 

無理し過ぎたのかなぁ……

 

「ゴフッ……」

 

嫌な咳をした。

 

咄嗟に口を手で抑えたのだが、手に血がベットリとついている。

 

なんだよ……これ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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