東方風天録   作:九郎

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急変しますよ〜

早過ぎたかな?
今までで一番長くなったな……2日分くらい書いてしまった。
さて、リミッターつけてる事ですし、こっから楽しそうだなぁ〜

よし!!

では、本編です。


チルノと鴉と悪魔の微笑み

湖付近にて……

 

「チルノちゃ〜ん、いいかげんにクロさんに謝ったら?自分が悪い事してるって分かってるんでしょう?」

 

困り顔で大妖精はチルノを見た。

 

 

「あたい悪くないも〜ん!!」

ふくれっ面でチルノは答えた。

 

それを見て大妖精は、溜め息を一つ吐く。

 

「嘘つき……頬っぺた真っ赤にして帰ってきたときあんなに泣いて……あれ以来、カエル虐めたりしてないじゃない?」

 

 

「うっ、うるさいなぁ!!あんな奴死んじゃえば良いんだ!!あたいはなんにも悪くないもん!!」

 

 

「本当は、いじめっ子みたいな存在からみんなを守りたいから、強くなろうとしてるんでしょ?長い付き合いだから大体分かるよ、チルノちゃんの考えてる事くらい……それに、一人の時チルノちゃん泣いてるでしょ?クロさんに酷い事言ったし、クロさんに怒られたから……」

 

 

「なっ、なんで知って……あ〜!!!うるさいなぁ〜、あたい知らないよ!!知らない知らない知らない!!」

 

ピューとチルノは頭を抱えて飛んで行った。

 

 

 

「もぅ、一人で謝る時の練習とかしてる癖に……ごめんねって言えばそれで、クロさんなら笑って許すのになぁ〜」

 

困り顔で大妖精は、チルノの背中を見つめていた。

 

 

 

 

チルノは、原っぱに立っている。

ここはいつもみんなで遊ぶ場所だ。

 

自分自身、自分が悪いのを分かっている。

クロに謝らなきゃ……

 

弱い者いじめは嫌いだ、でも、そんな私がやつ当たりで弱い者いじめをしていた事実に目を背けたかった。

 

 

あたいは、サイテーだ。

 

強くなんかないよ……

 

弱い、心が弱かったんだ。

 

 

クロは、そこを怒ったんだ……分かってる。

 

分かってるよ……

 

でも、ごめんねが怖くて言えない。

 

まだ、怒ってるかなぁ?

 

 

ピーピーと鳥の鳴き声が聞こえる。

 

近くの木の上からだ。

 

 

気になったので飛んだ木の上にを覗いてみた。

 

子どもながらの好奇心というやつだろう。

 

するとそこには真っ黒けのヒヨコが3羽居た。

 

 

「わぁ!!かわい〜」

 

手に抱えようとチルノは、手を伸ばす。

 

するとその瞬間

 

 

「ガァー!!ギャァー!!!」

 

大きな真っ黒けの鳥がチルノの頭をつついた。

 

「痛っ!!痛い痛い痛い!!!」

 

直ぐさま遠くへ逃げた。

 

真っ黒けの鳥は途中まで追ってきたが、一定の距離を過ぎたら巣に戻っていった。

 

「あのやろ〜凍らせてやるぅ〜!!」

 

チルノは、ワナワナと腕を震わせ怒る。

 

ヒヨコが可愛かったから手に抱えようとしただけなのに!!

 

そんな考えだった。

 

さっそく、あの憎っくき真っ黒け鳥を凍らせようと巣まで近づいたが、アイツは出てこない

 

 

どうしたんだろう?

 

すると、アイツのギャァーとか、ガァーとかいった鳴き声が聞こえた。

 

 

巣をのある木を見てみると、大きな蛇が木を登って巣のヒヨコ達を丸呑みにしようとしている。

 

それを、真っ黒け鳥は止めようと必死に抵抗しているのだ。

 

物凄く弱い妖怪かなぁ?

 

あんな大っきな蛇見たことない……

 

逃げちゃえばいいのに、アイツも食われるぞ?

 

バカな鳥だなぁ……

 

アッ、噛まれちゃったよ。言わんこっちゃない……

 

 

首元を噛みつかれた鳥は、それでもなお闘う

 

弱い雛達を守る為に。

 

ギンッといった効果音が良く似合う目つきをして……

 

 

見覚えのある目つきだ……

 

なんだろ?

 

あっ、クロだ……

 

あたいを助けてくれた時のクロだ!!

 

 

なおも鳥は蛇と格闘する。

 

力の差は歴然としている。

 

それなのに鳥は闘う、必死に……

 

しかし、少しずつ弱って言ってるのが目に見えるように分かった。

 

 

カキン……

 

気がつくと、チルノは蛇を凍らせていた。

 

「大丈夫!?クロ!!」

 

あれ?変だな……コイツはクロじゃないのに……

 

なんでこんな事……

 

あっ、コイツはクロと一緒なんだ。

 

ヒヨコが大切だから、命をかけて守ってるんだ……

 

あたいの時も……きっとそうだったんだろうなぁ……

 

 

鳥は首元から出血し、それに寄り添うようにヒヨコ達が集まっている。

 

 

なんだか、すごく可哀想だった……

 

 

なので、急いで家まで帰って救急箱を持ってきて、手当してあげた。

 

 

きっと大丈夫だよね?

 

小さく包帯を切って巻いてあげたし、薬だって塗ってあげたもん!!

 

この鳥は偉いなぁ……

 

 

自分よりずっと強い相手に立ち向かって……

 

恐怖とか、怯えた感情を一切感じなかった。

 

 

大切な物の為なら……コイツはなんだってできるんだ。

 

 

クロだってそうなんだろうな……

 

 

クロだって……

 

 

うん……ちゃんとクロに謝らなきゃ!!

 

クロは、ヒヨコみたいなあたいを守ってくれた。

 

 

クロは、強い。

 

弱いのに強いんだ!!

 

強いっていうのは、きっとこういう事なんだろうな……

 

 

弱くても強くなれるんだ……

 

クロは、あたいよりも弱いと思う……だって、普通の人間は、覇気っていうのかな?生きる力?元気?それに満ちてるのに、クロにはそれが全く感じられないんだもん……

 

 

覇気が感じられない人間って……そう、病人とか、老人とか……

 

 

 

もうすぐ死ぬ人なんだよね。

 

 

 

妖怪の山、青年の自宅にて

 

身体のダルさは、治ってきた。

 

しかし……どうしたんだ?

 

何故吐血した?

 

肺が悪いのか?結核?

 

 

いや、違うな咳き込んだりしてないし……

 

 

目眩がする……立ち眩みも酷い。

 

 

鉄分が足りてないのかな?

 

 

たくさん血を流す事が多いし……

 

う〜ん、それもおかしいな。

 

 

ただ、眼に見えて傷の治りが遅い。

 

 

でも、ちょっぴり安心した。

 

普通の人間に戻ったような気がする。

 

普通の男に戻れたとしたら、オレがバケモノじゃないのなら……

 

 

幸せなっちゃいけないって思ってるけれど、オレはあの子に……

 

 

 

伝えたいんだ……

 

オレはあの子の事が……

 

 

 

 

同刻、人里上空にて少女は飛んでいた。

 

 

「寺子屋の取材終了っと……なんだ、慧音さんも知ってるんですか……私がクロ君の事……誰が広めたんだろ?まぁ、いいや、前の自分なら広めた奴を見つけ出してお仕置きしてましたけど……私は素直になるって決めましたからね!!」

 

ニコニコと上空は笑って飛んでいる。

 

片手には黄色い花のラン科の植物が握られている。

 

バッタリ会った幽香さんがくれたものだ、正直ビビったけど……

 

あの人はニコッとわらって

 

『野暮な竹の花が……オンシジウムの花になったわね、もし貴方に想い人がいるのなら……これを渡しなさい、感がいい子ならば気付くはずよ、頑張ってね』

 

と意味不明の供述をしてこの、オンシジウムという花を渡した。

 

なんなのよこれ?

 

 

まぁいいや、昨日クロ君怒らせちゃったし、これをクロ君にあげよう

 

喜んでくれるかな?

 

少女は、頬を赤らめ低速でフヨフヨと飛んでいた。

 

 

その時、里では

 

「妖怪はみんな殺さなきゃ……殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ!!」

ブツブツと城太郎が呟いていた。

 

 

 

 

「やぁ、城太郎君……」

 

目にクマができてやつれた綺羅が城太郎に声をかけた。

 

 

「あっ、綺羅さん久しぶりですね!!どうしたんです?やつれましたね?」

 

 

「つまんなくってさぁ〜」

 

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

 

と狂ったように頭を掻く綺羅を見て、城太郎は、少し不気味だと思った。

 

「あ〜イライラするなぁ!!」

 

綺羅は、天を仰いだ。

 

すると何かに気付いたようだ。

 

「アハッ」

ニヤァと歪んだ笑みを城太郎にみせた。

 

 

「ねぇ、城太郎君……君、面白いものもってるよね?鉄砲!!ちょっと貸してくれない?」

 

 

「えっ……それはちょっと……」

 

困った顔をした城太郎の手をガシッと綺羅は掴んだ。

 

 

「え〜貸してよ貸してよ貸してよ〜撃ってみたいんだよぉ〜」

 

 

「だっ、ダメだよ!!あと一発しかないんだから!!」

 

 

「嘘つき、あと2発残ってるじゃん……オレのこと騙そうとした?ナメてんの?オレのこと……」

 

 

 

「ちっ、ちがうよその最後の一発は魔弾って…………あれ……身体が……」

 

 

ドサッと城太郎は倒れた。

 

すかさず綺羅は、城太郎の懐から拳銃を奪う。

 

 

「動けないよね〜神経の伝達を遮断したんだ〜 さっき僕に触れたろ?殺そうかなって思ったけど、今日は勘弁してあげるよ……でも、気が向いたら君で遊ぶかもね〜」

 

ニヤァと不気味な笑みを綺羅は浮かべた。

 

 

なんで動けないの?

 

全身の感覚がない……

 

返してよ……それが無かったら僕は、ヒーローになれない

 

なんだよ綺羅さん!!

 

なんでそんな顔するの?なんで僕に意地悪して笑ってるのさ!!!

 

酷いよ!!

 

返してよ返してよ僕の宝物……それが無かったら……

 

クロさんみたいになれない……

 

 

 

「よ〜し、動かない的にしとくかぁ……」

 

 

里の上空にて

 

「あっ……アレ?身体が……動かな……い……あの時と……一緒だ……」

 

少女は、自分の身体の異変に困惑していた。

 

身体の感覚そのものが無くなっている。

 

何これ気持ち悪い……

 

動け!!動いてよ!!

 

一体なんな……

 

ターン!!!!

 

何処かで銃声が聞こえてきた。

 

あれ?背中をに金槌で叩いたような衝撃が……

 

 

あれれ?意識も……

 

 

あっ、落ちる……

 

 

運が悪いなぁ……里を流れる大きな川に落ちちゃう……

 

 

私……泳げないのにな……

クロくん……

 

 

そこで少女の意識は途絶えた。

 

 

「アハッアハハハハ!!!!!ホラッ早く来なよクロくん!!心臓狙ったよ!?死んじゃうよあの子!?ねぇ、だから、君の大切な物を奪う喜びを僕にくれよ!!ヒャハハハハアハハ!!!」

 

綺羅は狂ったように大笑いしていた。

 

 

ああ!!最後の一発が……

 

何てことするんだ!!僕はヒーローになれなくなった!!

 

何てこと……クソックソックソッ!!!

 

この人狂ってる!!

 

なんだよ、殺そうかなって思ったって?

どういう事!?

 

気持ち悪いよ!!

 

ああ……

ヒーローになれない僕は……どうすれば良いんだ……

僕は……

 

動かない体で、城太郎は空を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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