東方風天録   作:九郎

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すいません、もっとこんな感じが続きますよ〜


えげつないのは、まだまだ先かなぁ……下手したらもうないかも

こんなのがずっと続く方が読者の方的には良いですか?

それとも、もっとえげつないの書いて欲しいですか?

ここは気になるところです。

まぁ、どちらにせよ、クロには、やらなければならない事はやって貰いますけども

では、本編です。


謎の天狗と困ったちゃん

翌日、やはり暇である。

 

まぁ、オレニートだし?

 

妖怪の山の自宅まで帰った。

特に理由なんて無いさなんとなく……なんとなくなんだ……

 

 

そういえば、道端で空き缶を拾った。

 

何処から来たんだろうね?

 

 

きっとオレが居た世界から来た物だろう。

 

 

家に糸があったのを思い出して近くの木に吊るして見た。

 

ちょっとやりたい事があるんだ。

 

 

一つ不思議な事がある。

 

 

オレが人間から外れかけてた時、この大剣は物凄く重かった。

 

 

 

オレが普通の男になったら、オレはコイツに潰されるんじゃないかと思ったんだけど……

 

背負ってられるんだよ。

 

 

変な大剣だね……

 

お前は、いつだってオレに重くのしかかる……

 

 

久しぶりに大剣を振ってみた。

 

 

変だな……黒狼と戦った時と変わらないくらいには、振れる。

 

振れるっても、あの時だって重過ぎて2、3回しか振れなかったけれど……

 

 

いつも君は黙ってるんだね?

 

聞こえてこない、どうやって振って欲しいのか、何処に行きたいのか……

 

 

悲しくなったので、大剣を納めて道端の良さそうな木の枝を木刀の形にした。

 

 

上手くできなかったけど……

 

 

さて、やってみようかな?

 

 

青年は、吊るした空き缶の中央目掛けて木刀を突いた。

 

 

空き缶はスコォンと音を立てて揺れる。

 

 

それをずっと繰り返していた。

 

 

下手くそだなぁオレ……

 

「どれ……貸してみぃ」

 

突然背後から声をかけられた。

 

あっ、あの時の、老人だ……

 

 

老人は、青年から木刀を取り何の構えもせず空き缶を突いた。

 

 

魔法みたいだった。

 

 

空き缶は、微動だにしない……

 

 

だが、木刀が中央に刺さっている。

 

 

音すら立てなかった。

 

 

「生きとったんじゃの……義経……」

 

 

「ん?」

 

 

「お前、義経じゃろ?あっ、あの時は牛若丸だったか?」

 

 

 

「人違いですよ……僧正坊殿……」

 

 

「ばぁか、お前も人違いじゃ……ハゲと一緒にするな」

 

 

「あらら、人違い、もとい、天狗違いか……強いんですね……貴方は、今まで見てきた中で一番美しい剣筋でした……」

 

うっとりしながら青年は言った。

 

すると、老人はフンと息を吐いた。

 

 

「弱いんじゃのお前は……あのババァがワシの後釜にするとかほざいとったが、話にならん……やっぱりお前は零点じゃ……」

 

つまらなさそうに老人は、ため息を吐いて去っていった。

 

 

「ちぇっ……」

やっぱり悔しい……オレは弱いさ、ただの人間だから……

 

霊夢さんみたいにはなれない……

 

あっ、そうだ……霊夢さんの何処に行こう!!

 

 

青年は、歩き出した。

 

 

博麗神社にて

 

 

「霊夢さん!!」

 

 

 

「おっ、クロ……ちゃんと来てくれたのね……良かった……」

 

安堵したように霊夢は、青年を見る。

 

もう会えないかも知れないと思っていたから。

 

 

「霊夢さん、霊夢さんは人間なのに妖怪を退治できるくらい強いですよね!!オレも強く……」

 

 

「無理よ!!」

 

青年が言葉を言い切る前に霊夢は答えた。

 

 

「えっ……」

 

 

「あんた、才能無いわ……霊力なんて欠片も無い魔力も無い……ただの人間なの一般的な人間……里を歩く人達と何ら変わらないわ」

 

 

「そっ、そんな!!オレ頑張りますよ修行!!だから……」

 

 

 

「修行しても無理なものは無理よ……生まれ持ったものなの……才能って言ってるでしょ?」

 

 

 

「………………」

 

 

 

「死刑宣告みたいね……守れないアンタはアンタじゃないのに……」

 

 

 

 

「マタ 目ノ前デ大切ナ人ガ 死ヌトコロヲ 見ナイトイケナインデスカ?」

 

死んだ様な目になって青年は言った。

死刑宣告を聞いた囚人の様である。

 

 

「貴方にはどうしようもない事よ……他を頼れば良いじゃない!!強い人は他にも沢山いるの!!なんでもかんでも自分が背負い込んで!!そんなの重いだけじゃない!!たまには誰かを頼りなさいよ!!私は力になるわよ?」

 

青年の目をしっかりと見つめて霊夢は言った。

 

「あたしもいるぜ?霊夢から色々聞いたぜ……困った弟だって」

 

ヒョコッと魔理沙が出てきた。

ニッと笑っている。

 

ちょっと気まずかった。香霖堂の中で怒ったから……

 

 

「それでみんなが傷付いたら……」

 

 

「うるっさい!!アンタは周りが傷付くのが自分が傷付くのと同じように心が痛いんでしょう?でもね!!アンタの周りは、アンタが傷付いたら……自分が傷付くのと同じ様に心を痛めるの!!一緒なのよ!!」

 

 

「……………………」

 

 

 

「クロだっけ?お前さぁ……もういいじゃないか?一人で抱え込んでも辛いだけだぜ?お前はもう普通の男の子なんだ、背中に背負った重い物下ろして楽になれよ……」

 

優しく魔理沙は微笑んだ。

 

 

「それもまた、一つの道ですね……」

ズシリと背中の大剣が重く感じた。

下ろすべきなんだろうな……こんな物。

 

でも……

 

 

「まっ、あたし達が言いたい事はそれだけだ!!お前は、さっさとあの天狗記者に告ってあたしらに惚気ろ!!」

 

 

 

クソッタレが……バラしたな……

 

イラッときたがまぁ……これも悪くないかもしれないな。

 

 

「女の人って恋愛話好きですよねぇ〜はぁ……オレはそんな事興味なかったのにな〜」

 

 

「話すネタに困らないからな!!」

 

ニッと魔理沙は、笑う。

この人はニッと笑った顔がよく似合うなぁ……

 

「今度、ウチで宴会する時来なさいよ……みんな集まるし、もっとあんたは色んな奴と関わって頼れる相手を見つけなさい……ほんと……アンタは、困ったちゃんだわ……」

 

ふぅと霊夢は肩を落とした。

 

それを見て青年は、苦笑いする。

 

困ったちゃんとか初めて言われたな……

 

オレってそんなに困ったちゃん?

 

 

まぁ、姉貴分に言われてるって事はそうなのだろう。

 

もっとしっかりしなくちゃな……

 

 

青年は、困り顔で天を仰いだのだった。

 

 

 

 


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