構想について迷ってるところがあるんでこれから少し遅れるかもです。
すいません!!
では、本編です。
翌朝、グッスリ寝てたのに叩き起こされた。
「アホクロ〜!!昨日はどこほっつきあるいてたんですか!!」
少女は眉間に皺を寄せてとても怒っている様子だ。
それはそうだろう、今の青年は、妖怪に襲われたら間違いなく喰われるのだから。
だから、心配なのだ。
「朝っぱらから元気だなぁ……流石烏だ、バカラスバカラス〜」
ヘラヘラと青年は笑う。
それを見て少女はもっと怒った。
「うっさい!!貴方ねぇ!!身体が限界来てるんですよ!?あんなに血を吐いて……もっと自分を大切にしなさいよ!!」
「大切にしてるって、もう無茶はしないさ」
あまりに少女が怒るものだから青年は、苦笑いして答えた。
内心焦っている。
まさかこんなに怒られるとは……
「信用ならないです!!ったく……昨日だって探し回ったんですよ!?」
「そんな暇あったら新聞書けよ?楽しみに待ってんだぜ?文々。新聞……」
話題を変えようと咄嗟に青年は、新聞の事を口走ってしまった。
「えっ!?」
少女は目を見開いて青年を見た。
「げぇ!!」
口が滑った……
知らないフリしてようと思ってたのに。
「ばっ……バレてたんですか……いつからです?」
顔を真っ赤にして少女は青年を見る。
青年と目を合わせる事ができない。
「かなり最初の方から……白状するけどさ?オレは好きだよ……お前の新聞」
青年も顔を真っ赤にして言った。
お互いに真っ赤である。
気不味い空気になった……
「以外ですね……ボロカスに言うと思ってました。」
ポツリと少女は下を向いて呟いた。
「なんで?前にも言ったろ?新聞に対する熱意が文面なら読み取れる……だから好きなんだよ、あれは本当にそう思ったから言ったんだ。」
「ッ……ありがと……」
「こっちの台詞だね〜それ、あの新聞のお陰でオレ沢山の人と知り合う事ができたから……」
遠い目をして青年は言った。
たぶん、この新聞読まなかったらオレは、もっと腐ってたんだと思う。
今の様に色々とふっきれてはいないだろう。
「ハハハッ……大会には全然陽の目を見ないんですけどね……」
「価値の分からないアホの言う事なんてほっとけよ……オレは好きなんだよ、だから……その……あれだ、頑張れ……って事がさ?言いたい訳よ?」
青年の顔は今にも沸騰しそうである。
ピーと沸騰したヤカンのよつに音を立てて湯気が出そうだ。
「はっ……ハイ……」
少女はまだ下を向いている。
更に顔が赤くなってしまい恥ずかしくて堪らないようだ。
「だからさ?オレなんかに構ってる暇ないだろ?さっさと取材にでも行ってこいよ……その、えっと……楽しみに……待ってるからさ?」
「はっ、ハイ!!早速行ってきます!!」
あまりに恥ずかしくて仕方がないので少女は逃げる様にその場から飛んで行った。
「隠さなくって良かったのに……あ〜だりぃ……、頭がアツイ〜」
ボスッと青年はベッドに寝込む。
まぁ、新聞は好きだと言えた。
それで満足しよう。
満足しなくっちゃ……
他に何かする事はないかな?
ガサッと音が聞こえた。
「誰か居るの?」
音のする方を見て青年は言った。
「うぉ!?」
窓の外にチルノちゃんが隠れていたようだ。
「よっ、元気だったかい?」
青年はニッと笑ってチルノを見る。
「はっ、ハハハッ……あのっ……えと……」
冷や汗をかきながらチルノは、青年を見て焦っていた。
「反省したかい?」
優しく青年は、チルノに微笑む。
「あっ、あたい悪くないよ!!今日はクロに文句を言いに来たんだ!!あの時のこと、痛かったんだぞ!!頬っぺた真っ赤になったんだぞ!!」
焦り過ぎてチルノは、目を回しながら言った。
それを見て青年は、再び優しく微笑んだ。
「ごめんな……」
「あっ、謝っても許さないもん!!クロなんか死んじゃえばいいんだ!!べぇ〜」
下を出してチルノちゃんは逃げて行く。
ったく……困った子だなぁ。
青年は苦笑いしたが、ズキっと胸が痛んだ。
もっと優しく叩けば良かったかなぁ?
まぁ、来てくれたんだから、このまま待ってるべきだろう。
大丈夫、大丈夫さ……あの子は分かってくれてる、オレもあんなに純粋になりたいものだ……ちょっとチルノちゃんが羨ましい。
ッ!?
殺気を感じる。
ヒュッ!!
と何かが空を切って青年の眉間目掛けて飛んできた。
青年は、それが眉間に当たる寸前のところでガシッと掴んだ。
「健在じゃない……」
窓の外から八意さんが飛んで来る。
「危ないなぁ……殺す気ですか?」
ムッとして青年は、永琳を睨む。
「矢をよく見てご覧なさい」
「おっ?」
矢を見ると矢じりの部分が吸盤になっている。
おもちゃの矢をこの人はオレに向かって放った訳だ。
でも、あのスピードで飛んできたら例えおもちゃの矢でも、危険じゃないか?
まぁ、いいや……『視えてた』から
「普通の人間でも、貴方の神経伝達速は、神掛かってるわね……実に興味深いわ」
フフッと、永琳は青年を見て笑う。
「使い道ないですけどねぇ〜」
不機嫌そうに青年は、手に持ったおもちゃの矢を投げ捨てる。
たとえ、オレにそんな身体能力があっても、もう使う事は無いのだ……
そう、これは意味のない力だ……持ってても意味の無い……
クソが……
青年は、心の中で呟いた。
「なんて顔してるのよ……クロ、貴方もう少し笑った方がいいわよ?ホラッ、さっき妖精に見せてたような優しい笑顔を常にできるようにしとかなきゃ……貴方はいつもムスッとしてて全然笑わないもの……」
「笑顔は苦手です……」
「でも、貴方が笑顔にならないと、周りは笑顔になんてならないわ」
「…………」
「誰かを笑顔にしたいって願うのなら、自分が笑わなくてどうするの?ホラッ、もっと笑いなさい……」
そう言い残して永琳は、去っていった。
もっと笑えって言われても……
笑えるかよ……
切羽詰まってんだよオレは!!
あっ、この事だって他人に頼ればいいだろって言われるな……
背負い込み過ぎか……その通りだね。
自分が笑えば相手も笑う、要するに反射ってやつだろう?
逆もまた然りで、相手が笑っていると自然と自分も笑っているって事だろう?
相手に求める前にまず自分から……
うん、その通りだ。
じゃあ……誰かを幸せにしたいなら、オレが幸せにならないといけないの?
それは……それは、難しいよ……
そもそも幸せって何さ?
オレの幸せって何?
オレはいつだって幸せじゃなかった。
いつだって心にぽっかり穴が開いたように虚しかった。
寂しかった。
満たされないんだ……
幸せを知らない男に……誰かを幸せにできるのか?
あははは、滑稽な話だぜ……
青年は、病室の壁を思い切り叩く。
ガンッという音が虚しく響いた。