東方風天録   作:九郎

84 / 213
すいません、今回は短めです。

更新遅くなってるので頑張りますね。
ちょくちょく、お気に入りが減っているのは、露骨にオリキャラと文の距離を縮め過ぎたからかな?

まぁ、許容できる人がいてくれて嬉しい限りですよ。
そこまで、ベッタリさせる気は無いんですけどね〜
それは、自分が嫌いなので。

では、本編です。


花束を貴女に……

翌日の早朝、少女の家にて……

 

少女は、自分の机に青年から貰ったカラスの縫いぐるみを置いた。

 

見れば見るほど彼に似ている。

 

ムスッとしてて、私と話すときはいつも不機嫌そう。

 

でも、本当は優しい。

 

そんな顔して近づく人を遠ざけてるんでしょ?

 

私には効きませんよ〜だ!!

 

でも、昨日はヤケに素直だった……

私に伝えたい事って……なんだったんだろう?

 

かなり攻め気で浴衣を着たけれど……どうだったかな?

ちょっと恥ずかしい……

 

ハハハ、まだドキドキしてる。

 

でも、昨日は楽しかったなぁ

来年も、再来年も、そのまた次の歳も、クロ君とお祭りに行きたい。

 

これは、ちょっとワガママでしょうか?

 

ねぇ?クロ君……

 

クスッと少女は、微笑みを浮かべてカラスの縫いぐるみの頬の辺りをつついた。

 

 

昼になり……青年は、悶々としていた。

 

 

伝えられなかった。

 

まぁ、良いのだけれども……モヤモヤする。

 

分かってるさ、本当は伝えたくて堪らないんだよ。

 

だって好きだもの。

 

 

どこまでも不器用な男だ……オレは。

 

 

小さく溜息を吐いて、青年は向日葵畑へと向かった。

 

向日葵達に元気を貰いたかったんだ。

 

あの子達は、必死に咲いて。

 

本当に美しいから。

 

目に映ったのは一面茶色の花畑……

 

 

一輪残らず枯れていた。

 

もう、夏は終わるみたいだ。

 

 

 

しかし、一輪たりとも俯く事なく

死して尚も太陽に向かって立っていた。

 

 

それがオレには、立ち往生のように見えた。

 

 

最後まで君達は美しいな……

 

ちょっぴり泣きそうだ。

 

オレも君達のようにありたい。

 

 

「また来たのね……」

 

背後から幽香が青年に声をかける。

 

手には色とりどりの花を持っている。

 

 

「綺麗な花ですね……」

 

 

「伝えられなかったのでしょう?スキマ妖怪に聞いたけれど……」

 

なんで、人の色恋話というものはこうも伝わるのが早いのだ?

 

嫌になる……

 

 

露骨に嫌そうな顔をしたが、それを幽香は、ニヤリと笑っている。

 

 

「花を……贈ってみない?」

おもむろに幽香は口を開いた。

 

「え?」

 

 

「昔からそうでしょう?意中の女性に花を贈るなんて……」

クスッと幽香は笑った。

困惑する顔を見るのが面白いのだろう。

 

 

「古風ですね……オレのいた世界じゃそんな事……ダサくって誰もやらないですよ……」

 

 

「へぇ……悲しい世界ね……」

 

 

「でも、嫌いじゃないです……それ……」

 

 

「うふふっ、あなたは間違いなくそう言うと思ったわ……だから……色々と用意したのよ?」

ニッと笑う幽香は、とても嬉しそうだった。

 

誰かに贈られ、恋心の表現に一役かう。

 

それたけで、花達の生きた証なる。

 

ただ、誰にも見られる事なく枯れて果てるよりもずっとずっと良い花の生き方だと思っているからだ。

 

「こういう伝え方も……悪くないな……」

 

一つ思いついた。

 

きっとあの子はこの花言葉達を知らない。

 

 

知らないから良いのだ。

知られないから……

 

 

でも、伝えるという行為自体はできる。

 

これはオレの自己満足だ。

 

だから……オレは花束を作った。

 

色とりどりの花束を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。