東方風天録   作:九郎

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更新が遅いですね〜ごめんなさい

でも、感想くれる人ありがとうございます。

ちゃんと放置せずに書きますんで応援よろしくお願いします!!


最後まで

カナカナとひぐらしのなく夕刻にて

 

少女は新聞の執筆を終えて、う〜んと伸びをしていた。

 

はぁ……と深いため息を少女は吐いた。

新聞を書き終えた達成感とは、裏腹に、ポカンと心に穴が空いたような感覚がずっとある。

 

クロ君とと喧嘩した時からだ。

 

いや、あれは私が一方的に怒って取り乱しただけだ。

 

フッと自嘲する少女は、再びため息を吐く。

--------------

クロ君、私の情報収集能力を舐めないで欲しいものですね、伊達に何千年も新聞記者やってないですよ?

 

なるほど、貴方が言いたくない訳だ。

 

人間の子どもに心臓目掛けて鉛の弾を撃ち込まれるなんて……

 

ただでさえ危ない状態なのに……

 

正直なところ殺意が湧きました。

 

里の人間全員殺してしまいたいと一瞬ながら思いました。

 

貴方と一緒に居られる時間がこんなにも少ないなんて知りもしなかった……

 

それがさらに短くなったんですもの。

 

本気で人間が嫌いになりそうになりました。

 

私がこんな気持ちになるのを貴方は分かっていたんですか?

 

でも、クロ君……

 

貴方はまだ、人間なんですね。

 

人間であろうとしているんでしょう?

 

だから、何があったのかずっと言わなかった。

 

あの子だけじゃない、人間全てを貴方は庇ったんです。

 

たとえ、化け物と言われても、貴方は人間であろうとした。

 

私はそんな人間の貴方がとても好きです。

 

 

あの時はごめんなさい、取り乱してしまって……

 

寂しかったんですよ、せっかく助手になってくれたのに、大切な事を何も私に教えてくれない。

 

だから、疑心暗鬼になりました。

 

本当は助手になってくれるなんて嘘なんじゃないかって。

 

もっと、私の事を信じて欲しくって、もっと心を開いて欲しくって……

 

 

寂しかったんですよ……

 

 

今だって、ちょっと寂しいです。

 

だから……会いに行きます。

 

___________________________________________________

 

 

少女は、ニッと笑って机の上に置いてあるカラスのぬいぐるみを指でツンと突いた。

 

場面変わって永遠亭にて

 

 

「………………」

 

霖之助は、悲しい目をして青年を見ていた。

 

「悪いな……」

 

全てを悟った霖之助に対し、青年は言った。

 

 

「寂しいな……僕を置いてかないでよ」

少し涙目で霖之助は言う。

 

「ばぁか、置いてくかよ、生きるよ、生きるさ!!最後まで……」

 

精一杯青年は、笑顔を見せた。

 

なので、霖之助もつられて笑ってしまった。

なんか、雰囲気変わったなぁ、穏やかになったなぁ

と、霖之助は青年を見て思った。

 

 

「クロ君、満足かい?こんな終わり方で満足なのかい?君はもう……」

 

霖之助はその先の言葉を言う事が出来なかった。

認めたくなかったのだ。

 

青年は、彼の唯一無二の親友だから。

 

「満足かどうかと聞かれると満足じゃないね、でも、幸せなんだと思うよ?あの子と一緒に居て、笑ったり、喧嘩したり、霖之助や永遠亭のみんな、霊夢さん、魔理沙、妖夢ちゃん、チルノ、みんなと話すいつも通りの生活……しょーもない事をしてる様に感じるのだけれど、それが、幸せってやつなんだとオレは思うんだ。」

 

ニッと青年は、微笑んだ。

 

霖之助は、ウッと言ってメガネを取り、青年に背を向け手で目を拭った。

 

「忘れないよ、クロ君の事……」

 

 

「何言ってんだよ、最後の別れみたいに言うな!!また会える、てか、オレは死なんから安心しろって」

 

ヘラヘラと青年は、笑った。

 

 

「そっ、そうだよね、ハハハ、最後じゃあないよね!!」

 

目を赤くして霖之助は笑った。

 

紫の言っていた計画は、失敗したんだ。

 

彼は死ぬ。

 

変じたりなんかしない。

 

 

でも、彼の笑顔を見て。

きっとまた会えると思った。

 

霖之助が去って数分後…………

 

 

ゴフッ…… ガハッ……

 

 

ゼェ……ゼェ……

 

吐血して、ベッドのシーツが赤く染まった。

 

里から帰ってきてから調子が悪い。

 

もう、歩くことさえ十分にできないかもしれない。

 

少し動くだけで動悸がする。

 

息が上がる。

 

立ち眩みがする。

 

 

身体が思う様に動かない。

 

 

でも、それでも、青年は、最後まで生きようと思った。

 

 

 

 


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