~ヒルヤスミ~ 屋上が解放されている学校は案外少ない
新side
ウッス、今日もいつも通り真面目に授業を受けている神田新だ。
・・・ハァ?前回の「計画」の話はどこに行ったのかって?バーカ、俺はまだ義務教育の真っ最中だぜ?学校ぐらい普通に通うに決まってんだろ。・・・たとえ放課後に通り魔をしても、吸血鬼の知り合いがいても、この学校にいる間は俺は「
キーンコーンカーンコーン♪
さて、ようやく4時間目も終わりか・・・。昨日はいろいろと忙しかったせいか、今日はかなり疲れが溜まっている。昼休みはのんびり過ごすとしよう。俺がそう結論づけると、わがクラスの委員長であるアリサ・バニングスが俺に話しかけてきた。
「ちょっと新、アンタ何ボケーとしてんの!早く屋上に行くわよ!」
・・・・・・・どうやら俺の望みは叶わないようだ。つーかコイツ、なんでこんな力強いんだよ!?なんか制服が千切れそうなんだが・・・!?
「待って待ってアリサちゃん!俺今日弁当持ってきてないの!これから購買という名の戦場に行かなければならないの!だからお願いだから制服引っ張るのやめて!?」
「ハァ!?なんでそういう大事なことを、もっと早く言わないのよ!?」
「そんな無茶苦茶なっ!?」
その後アリサ・バニングスは、俺に5分というタイムミリットを残して去っていった。はっきり言って無理だ。購買の周りには何十人もの人の波ができているため、容易に近づけそうにない。だがどんな手段を使ってでもあいつが提示したタイムミリットまでに昼食を買わなければならない。じゃなければ、奴の殺人パンチが火を噴くことになる。
(あれのパンチは流石の俺でも効くからな・・・、というか本当にただの一般人かアイツ?)
そんなことを考えつつ、俺は
「神田君、神田君!大ニュースだよッ!!」
「グフォッッ!?」
―――――興奮した様子の女からボディーブローを喰らっていた。メリメリッと彼女の拳が俺の腹にねじ込まれるのが分かる。みぞおちは人体の急所の一つという事をどこかの本で書いてあったが、それを痛いほど痛感した。
「・・・つーか何すんだよこの野郎!?こっちはただでさえ時間がないんだ、邪魔すんだったら内臓引きずり出すぞオラァッ!?」
「まあまあ落ち着いてよ、というか素に戻っちゃてるよ?」
「誰のせいだと思っていやがる!?」
そこらのチンピラなら尻尾を巻いて逃げるほどの殺気を浴びせるが、彼女は平然と会話を続ける。相変わらずムカつく面をしていやがるな、この女。
「そんなことよりね、今朝ちょっと面白い噂を聞いちゃっt「や、やばいぞ。残り三分しかねえっ!?うおおおおおおおおッ!!」・・・ってもういないし・・・・・・」
後ろでなんか言ってるが無視だ無視!こっちには命がかかってるんだよ!
「あーあ、残念。原作開始が今日だってこと言いそびれちゃった」
俺が去って行った後、女がくすくす笑っていたことを俺は知らない。
隼人side
「将来か~、アリサちゃんとすずかちゃんは決まってるんだよね?」
「親が会社経営だし、いっぱい勉強して跡を継がなきゃぐらいだけど?」
「私は機械系が好きだから、工学系で専門職がいいな~って思ってるけど」
・・・この世界の小学生は少し精神年齢が高すぎる気がする。俺は幼馴染たちの会話を聞いて、そんな感想を抱いていた。
だってまだ俺たち小3だよ?義務教育の真っ最中だよ?普通だったら、「昨日テレビで何見た?」とか、「今日皆でス○ブラしようぜ」とか、そんな感じの会話になるだろ!?なんか受験生の会話を聞いている気分なんだけど!?
俺が転生前と転生後の世界とでの圧倒的な差に戦慄していると、なのはの悲鳴が聞こえた。どうやらなのはが「自分には取り柄がない」と言って、アリサの反感を買ったようだ。
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?隼人君、助けてほしいの~!?」
「だが断る。アリサ、やっちゃっていいぞ」
「そういうことよ、覚悟しなさいなのは!」
「ふぇえええええええ!?」
そんな微笑ましい光景を眺めていると、ズバンッ!と扉が開かれ金剛が屋上にやってきた。
「こんな所にいたのか、俺の嫁たちよ!!」
「「「うげッ・・・・・・」」」
途端に嫌な顔になる三人。気持ちは大いにわかるぞ、お前ら。俺だってあんなこと言われたらドン引きする。つーかコイツ、何故か俺にちょっかい出してくるんだよな。
「ちょっと、なんであんたが来てんのよ!」
「ハッハッハ、照れるなよアリサ」
「照れてない!というか名前で呼ぶな!」
あいつとアリサは特に相性が悪い。アリサがほかの二人より強気な性格だからだろう。にしても流石に我慢できないな、嫌がってるのが分からないのかあいつは・・・・・・。
「オイ金剛、いい加減やめろよ。アリサが嫌がってるだろ」
「お前には用なんてないんだよモブ!早く嫁から離r―――――バゴハァッ!!??」
「「「「―――――!?」」」」
あ・・・ありのままに今起こったことを話すぜ。「俺は金剛と会話していたと思ったら、金剛がはるか向こうのフェンスに吹っ飛んでいった」。な・・・何をいっているのか分からねーと思うが俺も何がされたのか分からなかった。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなものじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ・・・。
・・・って、呑気にネタに走ってる場合じゃない!いったい何がッ!?
俺が屋上の入り口に目を向けると、そこには―――――
「ぜえ、ぜえ・・・。ぎ、ギリギリ間に合ったよアリサちゃん・・・。・・・っていうかコンちゃん!?なんでそんなボロボロなのー!?」
状況が呑み込めず、あたふたしてる新がいた。どうやら勢いよく開けたドアが金剛を強打したようだ。
「・・・新、よくやったわ」
「へ・・・?」
アリサはそんな新の肩に、ポンッと手を置いてそう言った。今回ばかりは激しく同意である。
こんにちは、月海豚です
ようやく原作スタートです。ここまで長かったような、短かったような・・・。
今回もオリキャラを出してみました。まだ名も知れない女の子ですが、これからちょくちょくストーリーに絡んでくる予定です。なるべくミステリアスになるようにしてみましたが、どうだったでしょうか?
・・・ところで、屋上を使える学校ってこの世に存在するんですかね?