ソードアートオンライン 刀使いの少年   作:リスボーン

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この話を書き終えて一番最初に思ったこと。
あっ、これ(サブ)タイトル詐欺だ。
という訳なので後で適当なの考えるのでそれまでお待ちを。
いや~、年内中にコボルド王倒せましたよ。
まさかこんなに時間がかかるとは思っても見ませんでした。
自分のは二次創作なんでまだこんなので済んでますが、プロの人たちはこれを一から……
うん、作者って偉大だね!!
と言うことで一年間ありがとうございました。
年内更新はこれにて終わり。俺の身に不幸が降らなければまた来年会いましょう。



星に願いを

 ベータテスター時代に《第十層》の迷宮区までたどり着けたプレイヤーは少ない。

 理由は簡単だ。強かったのだ。この層にいたモンスターはそれまで戦ってきたどの層のモンスターよりも強く、迷宮区にたどり着くことさえ困難と言わざる負えない程に。

 しかし、そんな中で俺やキリトを始めとした一部のプレイヤーはボスが居る《千蛇城》へとなんとか到達することができた。が、恐らくそこから《ボスの間》に行けた奴はいないだろう。

 なぜならその城には刀を扱う赤色の武者《オロチ・エリートガード》が存在していたからだ。

 その強さは正に圧倒的だった。今まで見たこともない変幻自在の斬撃に成す術なく、俺達は幾度となく散っていった。

 だが、毎度ただやられていたわけではない。奴らのソードスキルを敢えて受ける事で技名、軌道、発動時間、硬直時間を徹底的に記録した。

 この努力のお陰でなんとか赤武者と対等に、とはいかなかったものの中々いい勝負を繰り広げることが出来たハズ……だと思いたい。

 まあ、そんなこともやったが結局突破はできずにせめて何かレアアイテムでもと思い、こそこそ隠れながら宝箱を開けまくっていると一本の《剣》が俺の目に止まった。

 表示されたその剣のカテゴリーは驚くことに《カタナ》だった。咄嗟に《メニューウィンドウ》を開き、《武器カテゴリー》の一覧を見た。

 当初、プレイヤーの使える武器の中に《カタナ》等なかったはずなのだ。もちろんスキルにも存在しなかった。

 だが在った。確かになかったはずなのだがちゃんと記述されていたのだ。スキルにも変化があった。《曲刀》のスキルから分岐で《刀匠》というスキルが出現していた。

 そう、それこそがカタナを振るうための技術《エクストラスキル・カタナ》だったのだ。

 この事実は比較的親しかったキリトやアルゴですら知らない。入手した直後に俺はどこぞやのダンジョンに篭もりっきりとなり、できるだけ多くのスキルを会得するために躍起になっていた。

 結果、少なくとも第十層で発見された分のスキルは扱えるようになったが、直後にβテスター期間は終わりを迎えた。

 

□            □              □             □

 

 

 現時点で俺が記憶している《カタナ》についての情報を脳から引っ張り出し、迅速かつ冷静に状況を判断すべく場の全体を見渡す。

 まず、コボルド王を囲んでいた部隊はほとんど壊滅的だろう。死亡者はいないが、すぐに立ち上がれそうなのはいない。しかもその中のごく僅かは行動不能(スタン)状態で完全に動きを封じられている。

 他の部隊も動揺していて、すぐに駆けつけられるのはいない。キリトやレイピア使い達も場所が遠い。

 つまりこの場で唯一動けるのは俺しかいない。

 

 

「ウグルォオ!!」

 

 

 イルファングが吠えた。《旋車》後の硬直が終了し、先ほどとは違う新しい初期動作(モーション)を取りながら前方の獲物に目を付けた。

 視線に入っているのは今しがた大技を喰らわされた者たちの中でも一番ダメージを受けたプレイヤー。《旋車》を衝撃波ではなく、直撃してしまった____アレは、ディアベルか!?

 

 

「うっ……ぐ………」

 

 

 必死に立ち上がろうとしているが、すぐに膝が崩れてしまっている。

 無理は無い。SAOには痛みを感じられるシステムこそ無いものの、衝撃やそれ相応の不快感は感じられるようになっている。今のディアベルの状態ならば、全身が麻痺しているような感覚に陥っているはずだ。

 

 

「ッ……不味い!」

 

 

 剣を強く握り、走り出す。

 コボルド王の次に繰り出される技は多分《浮船》。威力こそ少ないが、そこから繋げて放たれる《緋扇》を喰らえば命の保証はない。

 しかも対象のディアベルは動きを大幅に制限され、躱す事もましてやソードスキルで攻撃を相殺することさえ叶わない。つまり詰みの状態に近い。

 

「間に合わないか……」

 

 

 奴との距離はそう離れてはいないものの《浮船》の発動時間は短い。このまま行けばたどり着く前に、ディアベルは凶刃に掛かって命を落とすこととなるだろう。

 かと言ってこれ以上スピードを速めるのも無理だ。既に俊敏度をフルに使っているため、俺自身がこれ以上速くはなれない。

 ならば方法は一つだけ____。

 握っている剣を右肩に担ぐように構える。すると剣は光を灯し、直後に世界は加速した。

 《ソードスキル》と通常攻撃の違いは何も威力だけではない。発動しているその一瞬だけ、本来のプレイヤーのパラメーターを凌駕する動きが可能なのだ。

 今の俺の速度は、現時点で出せる速さの限界を超えている。

 

 

____だが、それでも

 

 

 間に合うかどうかは分からない。

 仮に間に合ったとしても、攻撃のタイミングがズレていたら終わりだ。《浮船》の威力を相殺できずに、或いは俺も巻き添えを喰らう。

 だからと言ってこれ以上何もすることは出来ない____。

 

 

「う……おおおおおおッ!!」

 

 

 叫んだ。人間は声を出しながら何かをすることによって、本来よりも力を引き出すことが可能だという話をどこかで聞いたことがある。

 その理論が《仮想世界》でも通用するかどうかは知らない。

 しかし、今はそんな不確かなものでも信じるしかない。

 

 

「ウグルオオオオオオ!!」

 

 

 イルファングの薄赤く光る剣がついに動き出した。

 地面すれすれを走らせながら刃はディアベルに向かっていく。

 それと同じくしてようやく俺もディアベルの横を通過、剣が届く位置に着くことができた。

 

 

____間に合った

 

 

 内心ホッとしながら、すぐに気を引き締める。ここからが本番なのだ。

 切り上げられる野太刀に対し、俺は剣を振り下ろした。

 途端、けたたましい金属音が鳴り響く。あまりの衝撃の大きさに俺と奴は互いに二、三メートル後退することとなった。

 

 

「ディアベル! ここは下がって態勢を立て直せ!! コイツの相手は俺がしばらく引き受ける」

 

「なっ! 無茶だ、そいつは一人で戦える相手じゃない」

 

「馬鹿やろう!! そんなこと言ってる場合じゃないだろーが」

 

 一人で戦おうとする俺の身を案じているのか、一向にディアベルは下がろうとしない。

 言い争っている内に次なる攻撃を放つべくコボルド王が迫る。

 左腰の位置に剣を置き、刀身は緑に染まりつつある。

 

 

「《辻風》か。厄介な技ばかり出しやがって」

 

 居合系であるあのソードスキルは発動されてからでは速すぎて、対処ができない。

 ならばと相手に技を出されるより先に《スラッシュ》を発動する。

 当然当たるべき目標がないため剣は空を切っていく____。

 が、急に手応えが重くなり体がまたも後ろに持って行かれそうになるが、今度はギリギリ踏ん張ることができた。

 

 

「早く行け!! いつまで持つか分からない!」

 

「____クッ! C隊、一時撤退だ!! 動けない者には肩を貸して、ここから離れるぞ」

 

 

 ようやく決断してくたのか、ディアベルは後退の指示を飛ばした。

 俺はボスと向き合って剣を打ち合っているので様子は見えないが、ディアベルの指揮能力は高い。恐らく一分もしない内に全員を安全圏に移動させる事ができるだろう。

 

 

「少しの間ここを頼む。すぐに部隊を集結して、助けに入る」

 

 

 後ろからの聞こえる声に俺は「おう」とだけ答えて、改めて奴と向き合う。

 攻略戦が始まる前はボスと戦えないことを内心残念に思っていたが、まさかこんな状況でソレが叶うハメになるとは思っても見なかった。しかも相棒の《カタナ》とも、感動の再開までしてしまった。

 全く、俺は運がいいのか悪いのか。

 そんなことを考えていると青紫色の刃が俺の首を狙うべく斜めに振るわれる。

 《幻月》。上下左右ランダムの斬撃を二回放つトリッキーで尚且つ終了後の硬直時間が短い優秀なソードスキルの一つだ。

 それに対して俺は一撃目は膝を折って躱し、二擊目はジャンプして刀身に着地して、その上を走る。

 

 

「喰らえ!」

 

 

 血のように赤く染まり上がった剣を顔面に叩きつけた。

 渾身の一撃だったが、当然とでも言うべきか。ゲージはほんの僅かに減っただけで、イルファング自体は微動だにしていない。

 それどころか右手で目障りなハエを殺すかのような動きで叩き落とそうとしてきた。

 

 

「マジかよ……!」

 

 

 ほとんど本能的に身体を翻してなんとか直撃は避けたものの、このままでは命がいくつあっても足りはしない。

 やはり一人でボス様と戦うのは無茶がすぎた。

 

 

___こんなことになるんだったら、さっきカッコつけずにキリトにも来てもらうべきだったか

 

 

 今頃になって後悔の念が出てきたが今となってはもうどうにもならない。

 降り止むことのない脅威を払うべく、援軍が来るまでの足止めをするべく俺は構えた。

 再び剣を交えるその瞬間____。  

 後ろから二つの影が飛び出した。影の一つは凶刃は弾き、もう一方は手に持つ美しい細剣で敵の腹を貫いた。

 援軍が来るにはまだ早いはず、と思ったが影の姿をよく見るとカーソルが表示され、その正体が分かり納得した。

 

 

「もうちょい速く来てくれても良かったんじゃねーか。キリト」

 

「一人で突っ走ってたのはどこのどいつだよ」

 

「さあな。俺は過去は振り返らない派だから」

 

「……おフロ」

 

「グハァ! 貴様、それは卑怯だぞ!!」

 

「はいはい。今はそれぐらいにしときなさい。ボスの目の前で何言い争ってんのよあなた達?」

 

 

 聞き覚えのある冷ややかな声。

 振り向くと、そこには灰色のケープを脱いだ栗色のロングヘアの女神とでも言うべき美貌の少女____

 

 

「あっ。あと、あなた達この戦い終わったら腐ったミルク樽一個分飲んでもらうからそのつもりで」

 

 訂正。悪魔だ。

 俺とキリトは引きずった顔をしながら半ば逃げるようにボスのもとへ同時に走った。

 迫り来る無数の斬撃を捌きながら、アスナが攻撃を的確にクリティカルヒットさせていく。

 だが、それでも尚獣人の王は止まらない。

 戦況は確実に有利に動いているが、やはりアタッカーメイン三人の内二人が壁で、一人が攻撃では効率が悪いと言わざるを負えない。

 が、その問題もすぐに解決することとなる。

 

 

「ぬぉおおおおおお!!」

 

 

 チョコレート色の巨人が手に持つ斧で強引にもイルファングをノックバックさせて間に割り込んできた。

 それに続いてきたのか、他五名程の重装備プレイヤーもそこに並んだ。

 

 

「遅れて悪かったな。ここから先の壁役は俺たちに任せろ!!」

 

 

 エギル等、壁部隊が援軍に駆けつけてきてくれたお陰でそこからの戦いは正に圧倒的だった。

 イルファングの攻撃は全て防がれ、スキあらばアタッカー三人最大火力を浴びせる。

 さらにディアベル率いるC隊も戦線に復帰。センチネルと戦っていた部隊も続々と参戦していった。

 多勢に無勢。獣人の王のHPは一気に減らされていった。

 しかし、相手もそれで終わるほど甘くは無かった。

 部隊が集まった事により《囲まれた》と認識し、巨体を再び宙に浮かせるため足に力を溜めている。

 

 

「みんな退け! ヤバイのが来るぞ!!」

 

 

 自らが受けたからこそ学習したのだろう。ディアベルは《旋車》が発動することは瞬時に察知し、後退を指示した。

 それに反応した全てのプレイヤーは後ろに飛び退こうとしている。

 正しい判断だ。これならば多少なりとも攻撃が数人には当たるだろうが、残ったプレイヤーで十分に止めを刺すことは可能だ。

 だけどな____

 

 

「いいやディアベルさん。その必要はないぜ!」

 

「……えっ」

 

 

 怪訝そうな顔をしてディアベルがこちらを向くが、構わずにボスの元へと向かう。

 

 

「な、やめろシンジ君!!」

 

 

 呼び止める声が聞こえる。

 自分でも今の行動は身勝手な行為だと思うが、今回だけはどうにか完全勝利で終わらせたいのだ。例え後で咎められようとも。 

 イルファングはついに垂直へと飛び上がった。そして空中で刃に赤いエネルギー溜め、徐々に地面へと近づいていく。

 それに合わせて跳んだ。上がる俺と落ちるイルファング。

 すれ違いざまに俺は紅色に染まった剣で奴の腹を切り裂いた。

 範囲技《デス・クリープ》。跳びながら剣を振り下ろす攻撃なので飛んでいる敵相手に有効な技だ。

 

 

「ウグルォオ!?」

 

 

 態勢を崩したイルファングは背中から地面へと落ちた。

 その後、立ち上がろうと手足をブンブン振り回すが立ち上がれそうな状態ではない。なぜなら奴は状態異常とはまた違うバッドステータス転倒(タンブル)状態になっている。効果は、行動不能状態とだいたい同じだ。つまり____。

 

 

「今だ! 一斉攻撃で仕留めるぞ!!」

 

 

 ディアベルの叫びに、全プレイヤーがモーションを起こした。

 赤、蒼、緑、紫。無数の光が部屋を満たし、直後イルファングへと降り注いでいく。

 空中に居たため、一斉攻撃に参加出来なかった俺は着地した後その光景をただ観ていた。いや、違う。何故か魅入っていた。

 この光に埋め尽くされた世界を現実世界のどこかで____。

 

 

____そうか、流星群か

 

 

 先刻、アスナと初めて出会ったあの迷宮区で俺は子供の頃の思い出を思い出した。あの話には実は続きが在るのだ。

 流れ星を見るために夜遅くまで起きていたと母が父に話したらしく、「それなら今年は実家に帰って星を見に行こう」ということになった。

 そうして父方の家に行き、夜に空を見上げると埼玉ではとても見られないほどの光が散りばめられていた。

 幻想的な風景だった。もうそれだけで気持ちは満足してしまうほどに。

 だけど、それだけで終わらなかった。その日は丁度流星群が通過する日だったのだ。

 凄かった。言葉になんか言い表せないほど綺麗で他のことなんか考えられなくなった。

 今の光景はその時と似ている。

 彼らが持っている剣一つ一つが流れる星であり、いつ消えて(死んで) しまうか分からないプレイヤー達自身を暗示しているかのように感じられた。

 だが、同時に希望を感じた。

 確かに流れ星とはどこにたどり着くこともなく、一時の生命を燃やし尽くすかのように消えてしまう。だが、一方で消えないものもある。

 それはきっと人の願いと一緒なんだろう。多くは脆く儚く叶うことはないが、それでもほんの少しではあるが報われることがあるのだ。

 だからきっと大丈夫だろう。なんて言ったてこれだけの星があるのだ。だったらこの世界にいる全プレイヤーの願いはきっと叶うはずだ。

 

 

「ウグルオオオオオオオオオオ_____」

 

 

 最後に雄叫び上げて《イルファング・ザ・コボルドロード》は姿を光へと変えて姿を消した。

 

 

 第一層攻略戦 完全勝利にて集結 我らの道は希望の道なり

 

 

 その日、号外にてこの結果は第一層全域へと広まる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前書きに概ね書きたいの書いたのでここではある報告を。
まず、来年の更新は別作品(連載中)の作成から入るので遅くなります。
ご了承を。ん? いつも遅いだろ? なんのことやら

そして皆様の応援のお陰で評価の所に色が付きました。
地味に気にしてたので何か嬉しいです。
では。




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