はい、今回も更新思いっきり遅れました。
別にサボってるわけでも、忘れてるわけでもありません。
話が思い浮かばないんです。
本当すいません。
不用意に、コペル編からやろうとした過去の自分の過ちです。
なんか、もうツッコミどころ満載です。
どうしてこうなった?
「コペル、後どのくらいで着く?」
「多分、もう少し」
あれから俺たちはひたすら暗い森の中を駆けていた。
《実》を割った場所には、数分で20~30体のネペントが集まり、時間が経つに連れてさらに数を増やしていく。
通常なら割った時点で囲まれ、360°からの一斉攻撃を喰らい、1分と持たない。
しかし今回の場合逃げたコペルに半分の数のネペントがついてきた為、《実》の割れた場所にも半分の数のネペントしかいないはず。
それでもネペントの数は決して少なくはないが、生きている可能性十分にある。
「(急げば、まだ間に合う!!)」
さらに走るスピードを上げようとした時だった。
背中から全身に掛けて衝撃を受ける。
「シンジ!!」
コペルの叫び声が聞こえる。
俺は前のめりになって、倒れそうになる体をなんとか右足で踏ん張り、方向を素早く後ろに向ける。
「《実》の匂いに釣られてきたネペント共か……」
そこには数十体のネペントが迫って来ていた。
辺り一面が敵カーソルで埋め尽くされ、辺り一面が赤い海のようになっていた。
俺はすぐさま剣を抜き、構える。
もし、こいつ等を無視して目的地に急げば、ネペント共をそのまま引き連れることとなり、状況が悪化するどころか全滅の可能性すらある。
だからといって戦えば、助けに行けなくなり、最終的に……。
ダメだ!!
どちらを選んでも悪い方向にしか進まない。
どうすればいいんだ。
そんな時だった。
策が思いつかず、悩んでいる俺の目の前にコペルが突然立つ。
「僕がここを足止めする。 シンジは先に行ってくれ!!」
「……はっ?」
一瞬、コペルの言葉が理解できず呆けた声を出してしまう。
それから数秒してコペルの考えを理解し、俺はようやく口を開く。
「コペル、お前正気かよ!? この数を一人で相手にするといううことはどういうことか!!」
「分かってるよ。 もしかしたら死ぬかもしれない。 でも、これしか方法がないんだ!!」
コペルの言うことに俺は反論できなかった。
確かにこれ以外にこの先に居るプレイヤーを助けに行く方法は、ない。
だが、それは同時にコペルが犠牲にならなければいけないということでもある。
「だったら俺が代わりに足止めする。 だからお前が……」
「ダメだ!!」
コペルに強く否定され、気圧される。
「これは元々僕が元凶で引き起こしたことだ。 一番危件な事を僕が引き受けるのは当然だ」
コペルの顔から覚悟が伝わる。
もう、こいつは何を言われても主張を曲げないだろう。
「……分かった。 だけど、絶対死ぬなよ。 あっち助けたら、すぐ来るからな」
俺は、ネペント達に背を向け、目的地に急ぐ。
「巻き込んでごめん。 そして……ありがとう」
その後コペルの勇ましい叫び声と、爆散するときの音が聞こえてきた。
「……思いっきり死亡フラグじゃねーか」
俺は再び目的地を目指す。
□ □ □ □ □ □ □ □ □
「どけよ!!」
俺の目の前に居る、ネペント共を切り伏せながら先へと進む。
《実》の割れた地点が近いためか《索敵スキル》を使っても、戦わないで進めるルートが少なくなってきていた。
それでも、一応敵の少ないところを突いているのだが、流石にノーダメージでは行けないらしい。
俺のHPは、レットになるスレスレまで迫っていた。
このまま進めば、もしかしたら死ぬかもしれない。
誰に看取られことなく、一人こっそりと光の欠片となって。
そんなことはご免だ。
まだまだ、現実あっちでやりたいことはたくさんある。
じゃあ、逃げるか?
それもご免だ。
2人も見捨ててまで、生きたくはない。
それに会ってからまだ1時間も経っていないが、コペルが人より精神的に脆いのは俺でもよく分かる。
そんなあいつが、今自分の罪に正面から向き合ってんのに俺が逃げられるかよ。
だったらどうすればいい?
きまってんだろ。
「どっちもやってやるだけだ!!」
しばらく走ると青いアイコンとそれを囲む赤いアイコンが出現する。
赤いアイコンが敵を指すなら、青いアイコンはプレイヤーを指す。
俺は剣を抜き、しっかりと握るり、剣を振り上げてモーションを取る。
刀身が燃えるようなオレンジに染まり、キュイーンと言う音が鳴り響く。
そして木と木の間を抜けた、少し広い空間に入ると同時にそこに居た複数いるうちのネペント1匹に《リーバー》を喰らわせ、爆散させる。
「!? あんたは……」
俺の突然の登場に、そこに居た少年プレイヤーは戸惑っている様子だったが、説明する時間はない。
「ちょい急いでいるんだ。 説明は後でするから、まずはこいつらの殲滅からしようぜ」
「……よく分からないけど、確かにそれが先決だな」
そう言うと、そのプレイヤーは再び武器を構える。
「理解が早くて助かる」
俺も武器を構え、戦闘態勢を取る。
数は、ざっと20匹。
「右の方を頼む。 俺は左をやる」
「分かった」
互いに短くうなづき、左右に別れてネペントの元に駆ける。
「ギギィ!!」
一気に複数のタゲが俺に集まり、無数のツルが俺のもとへ伸びる。
βテスター時代の俺なら、かわしきれずに数発は当たっていただろう。
だが、100匹以上のネペントとの戦闘をこなしてきた俺には、ネペントの正面からの攻撃は一切当たる気はしなかった。
体が考えるよりも先に動き、無数のツルをすり抜けながら1匹ずつ確実に茎を切り落とす。
目の前で幾千の光の欠片が桜吹雪の如く散っていく。
「終わりだ」
その場から一歩下がり、今まで俺の居た所にこちら方面の全てのネペント集まる。
同時に俺の刃も完全にオレンジに染まり、剣を横薙に振るう。
重い手応えが数秒続き、やがてネペントのウツボ部分がいくつも宙に舞った。
やがて残された根部分が爆散していく。
「殲滅完了。 後は……」
右を見ると、どうやらあっちも片付いたようだ。
少年は武器である片手剣を左右に振り、剣を鞘に収めてこちらを向く。
「ありがとう、助かったよ」
「いやいや、礼に及ばないさ……って、あれ?」
俺は少年プレイヤーの顔を見てしばし唖然とする。
思えばここに到着した時に急いでいた俺は少年の顔をはっきりとは見ていない。
だから気付けなかった。
そいつがまさか
「えっともしかして川越北中2ー1の桐ヶ谷さんですか?」
同級生だとは。
と言うか後編なのに、終わらないってなんなのさ