ソードアートオンライン 刀使いの少年   作:リスボーン

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お久しぶりです。

長らく失踪していたのですが、突然何かが吹っ切れて帰ってきました。

さて、まずはお詫びから。

ひとつは長らく更新しなかったこと。(と、言っても見てる人が少ないですけど)

もう一つ目は、予告していたエピローグを書けなかったことです。

なので今回の話はプログレッシブからです。

なぜ、書けなかったと申し上げますと書いたには書いたんですよ。

ですが、なんか無理矢理感が強く、友人にもそこを指摘され、しょうがなく今回のことになってしまったということです。

 と言うことでエピローグはまたの機会ということでお願いします(>人<;)





暗闇に光る流れ星

俺はこれまで流れ星を一度も見たことがない。

 

 と、言っても本やテレビ等ではちらっと見ているので全くというわけではない。

 

 ただ、生で見たことはない。

 

 始めて流れ星を見たのは小学4年生頃だった

 

 テレビで始めて流れ星を見て、その一瞬にして消えてしまう美しさに目を奪われ、自分の目で一目見ようと窓から妹と一緒に流れ星を探したのは今でも覚えている。

 

 その後、結局流れ星を見つけることはできずに俺達は同じ布団にくるまりながら寝てしまった。

 

 余談だが、その後妹に正拳突きを喰らった。

 

 そんな懐かしい思い出を思い出しながら、目の前の流れ星を見ていた。

 

 ただしその流星が輝いているのは夜空ではなく、暗い迷宮ダンジョンの奥でだが。

 

 

「とんでもないな……」

 

 

 目の前の|細剣使いの剣さばきを見ながら、つぶやく。

 

 

「ああ、俺もここまですごい《リニアー》はβテスター時代でも見たことがない」

 

 

 俺と同じくその様子を見ていた片手剣使いソードマンこと、キリトもその剣さばきに驚愕している。

 

 レイピア使いの使っている単発突き攻撃《リニアー》は、細剣カテゴリーで一番最初に取得できるソードスキルだ。

 

 この技自体はただ真っ直ぐに突くだけの技だが、なんと言っても速い。

 

 多くの経験を重ねた俺やキリトですらスキル発動時の光しか目で追えないほどに。

 

 まさに《閃光》といっても過言ではないだろう。

 

 そんなレイピア使いと戦っているモンスターはレベル6亜人モンスター《ルインコボルド・トルーパー》。

 

 こいつは中々強敵で初見で戦えば、結構手こずる。

 

 だが、レイピア使いはトルーパーの攻撃を華麗にかわし、機械さながら正確な動きでカウンターを喰らわせて圧倒する。

 

 その後、レイピア使いは《リニアー》でトルーパーの胸当たりを貫いて、無傷で戦闘を終了する。

 

 その戦闘の一部始終を見ていた俺は、あまりのすごさに思わず拍手をする。

 

 

「!?」

 

 

 突然の拍手の音に躍いたのか、レイピア使いはこちら向いて剣を構える。

 

 

「(やっべ、脅かしちまったか)」

 

 

 自分の軽率な行為を心の中で反省しながら、両腕を軽く上げて(腕を上げたのは俺だけだが)キリトともに歩き出す。

 

 

「悪い、驚いたか?」

 

 

 俺たちの姿を確認すると、レイピア使いは剣を収め壁に背を付いてズルズルと座り込む。

 

 そのまま首をクイッと動かし、早く行けというようなジェスチャーを見せる。

 

 ハハッと苦笑しながら、ジェスチャーを瞬時に理解し、そそくさその場を立ち退こうとした時だった。

 

 

「……さっきのはオーバーキルすぎるよ」

 

 

 普段は人にあまり話しかけないはずのキリトがレイピア使いに話しかけた。

 

 

「キリト!?」

 

 

 そこから速やかに立ち去ろうとした俺は、キリトのせいで急ブレーキをかける羽目になった。

 

 レイピア使いは厚手のケープのフードを上げ、鋭い目つきでキリトを睨むように見る。

 

 ヤバイ、完全にキレた。

 

 そう思った俺だったが、約数秒後、頭を傾けるところを見ると怒っているというより、言葉の意味が分からないらしい。

 

 そのジェスチャーに俺は疑問を覚えた。

 

 いや、別にジェスチャー自体に疑問を覚えたわけじゃない。

 

 《オーバーキル》を知らないことに疑問を覚えたのだ。

 

 《オーバーキル》とは、残りHPに対して過激な攻撃をする。

 

 分かりやすく言えば、死にかけの敵に必殺技を喰らわして殺すといえば分かるだろう。

 

 この用語はMMORPGでは、よく使われており、βテスターならもちろん誰でも知っている……。

 

 まさか。

 

 再びレイピア使いに視線を向ける。

 

 《オーバーキル》については、もうキリトが説明した後であり、話題は別な方に移っていた。

 

 

「……どうせみんな死ぬのよ」

 

 

 どうやら俺が考えているうちに、かなり話が飛んだようだ。

 

 しかも重い方に。

 

 

「じゃあ、私もう行くから」

 

 

 レイピア使いが立ち上がり、よろよろと一歩を踏み出そうとした時。

 

 突然目から生気が消え、倒れかける。

 

 その倒れそうになる彼女を寸前でキリトが、受け止める。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 心配になり、俺が近づくとキリトは「気を失っただけだ」と答え彼女を抱きかかえる。

 

 

「この様子じゃもう戦闘は無理だな。 シンジ、俺はこの子を運ぶから悪いけどここからの戦闘頼む」

 

 

「そんぐらい任せろ」

 

 

 俺は新しく手に入れた曲刀《シルバーサーベル》を抜き、目の前に湧出ポップしたモンスターを葬る。

 

 

□   □     □    □     □   □      □     □     □     □

 

「なあ、キリト。 お前その子のことどう思う?」

 

 

 歩きながら俺はキリトに尋ねる。

 

 

「えっ?」

 

 

「その子の戦い方のことだ。 気づいてたんだろキリト? じゃなくちゃお前が自分から話しかけることなんかないからな」

 

 

 俺はキリトが抱えている先ほどのレイピア使いを指差す。

 

 キリトは理由は分からないが、この世界SAOでの他人との接触を極力避けている。

 

 βテスターの時やリアルでもそうだったと言えばそうだったのだが、最近はその時以上に避けていた。

 

 まるで自分自身に戒めをかけているように。

 

 

「ああ、シンジが思ってるようにこの子は多分βテスターじゃない」

 

 

「やっぱりそうだよな。 あの身のこなしや剣さばきは見事だったんだが、戦い方がどうもな」

 

 

 俺の言葉にキリトも頷く。

 

 《オーバーキル》の事以外にも、思い返せば色々戦い方に不審な点はあった。

 

 恐らくキリトは俺よりも早くにそのことに気づき、疑問に思って声をかけたのだろう。

 

 ……まあ、理由はそれだけじゃないような気がするが。

 

 とっ、そんなことを考えてると突然キリトが足を止める。

 

 どうしたんだ? と思い前の奥の方を見るとそこには先ほどと葬った種類と同じコボルドが五~七匹ぐらいの数で待ち受けていた。

 

 

「数が多いな。 ここは俺も戦おうか?」

 

 

 そう言い、キリトが抱えているレイピア使いを地面に下ろそうとする。

 

 だが、俺はそんなキリト手で制する。

 

 

「こんな数ぐらい楽勝だぜ。 それにお姫様を地面に下ろすなんて失礼だろ?」

 

 

 そう言って、俺はコボルドの方へと歩いていく。

 

 奴らの五メートル位に近づくと、敵である俺を認識したのか一斉にタゲが俺に集中する。

 

 そしてその内の一匹のコボルドが俺に斧を振り上げながら迫ってきた。

 

 

「遅いぜ!!」

 

 

 振り下ろされた斧を寸前でかわし、腰に差してある愛刀を抜く。

 

 抜いた時の勢いを殺さず、斧を振りおろして無防備状態のコボルドの背中へと一撃を喰らわす。

 

 さらに攻撃の手を緩めず、追い打ちにソードスキル____飛び込み斬撃技《フェル・クレセント》を弱点へと放つ。

 

 

「まず一匹」

 

 

 コボルドは弱点を突かれ、HPがゼロになり光の欠片と化した。

 

 その一匹のコボルドが倒されたのを皮切りに残りのコボルド全匹が俺を中心に円を描き、一斉に攻撃を開始した。

 

 そんな危機的状況の中で俺は冷静に、迫り来るコボルドの攻撃をかわし、剣で弾く等して対処した。

 

 

「一対多数の戦闘は既に習得済みだぜ」

 

 

 俺は何週間前のリトルネペントとの戦いを思い出していた。

 

 あの時とは場所も敵もレベルも違がうが、今の戦闘でその時の経験は役立っている。

 

 そしてその経験が自信になっているからこそ、俺は多数のコボルドの攻撃を冷静にさばくことができているのだ。

 

 

「そろそろ終わりだ!!」

 

 

 コボルドの斧を弾き、ソードスキルのモーションを取りながら駆け出す。

 

 

「うおおおおおおお!!」

 

 

 吠えながら、俺は片手用曲刀基本スキルである《スラッシュ》で一気にコボルド達を切り裂く。

 

 そして最後の一匹切ると同時に、端からパリーンとガラスが割れるような高い音が鳴り響いていく。

 

 

「討伐終了と」

 

 

 剣を鞘にしまい、キリトの方を向き

 

 

「そんじゃ、行くか」

 

 

 俺とキリトは再び歩き出した。

 

 

 

 

 


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