電撃文庫RPG Cross of Shadow 作:オタックス
一人の少年が休み時間、教室の窓から外を眺めていた。
彼の名前は 羅ノ辺読斗(らのべ どくと)電撃学園の高校二年生。
中肉中背、やや長めの黒髪、サブカル好きが高じて図書委員に入ったこの物語の主人公だ。
「よお。読斗。どうした?暗い顔して?」
前の席から後ろに乗り出して話しかけている生徒は 執宮 雷 (しつみや らい)。読斗の中学時代からの親友だ。背は読斗より少し高く、髪は金髪に染めている。こんな外見だが、彼も図書委員でサブカルには詳しい。
「いや。別に。ただ退屈だなあってさ、、、。」
読斗はそう言ってため息をつく。
「なんじゃそりゃ。まあいいか。今日も俺たち、放課後は図書委員の仕事だろ?委員会が終わってからでいいからアニメイトに行こうぜ?今日は電撃文庫の発売日なんだ。」
「OK。僕も行こうと思ってた。」
少ないながらも雷という親友がいて、決して悪い学園生活ではないはずである。
しかし、読斗の心は度重なる平凡な日常に疲れていた。
~放課後 図書室~
「読斗も雷も遅いよ~。」
図書室の貸し出しカウンターにに二人より先にいたのは同じ図書委員会のクラスメイト 本野栞 (ほんのしおり)だった。彼女は155cmほどで髪は黒のセミロング、周りが振り返るような美人というわけではないが高校生らしい可愛い容姿をしている。図書委員会で一緒に仕事をしていくうちに気が合って、今ではすっかり仲のいい友達になってしまった。
「悪い悪い。」
そう言って、読斗と雷もカウンターの中に入り仕事を始めた。
「なあ。栞。今日の放課後、僕たちアニメイトに行こうと思ってるんだけど一緒に来る?」
読斗は栞に尋ねると少し考えたようなそぶりを見せた後
「うん。私も行きたい!今日は特に宿題とかもないし。でも今は仕事に集中集中!」
と気前よくokサインを出してくれた。
「ああ。今日も疲れた、、、。」
辺りがすっかり暗くなった校門前で、読斗はそう言って伸びをした。
「本番はこれからだぜ?読斗。これから俺達3人はアニメイトにいくんだからな?」
「そうそう。ファイトだよ?読斗。」
「ああ。そうだね。よし。僕も元気出すか。、、、ん?」
読斗の左側にある校庭に一瞬人影のようなものが見えた。
「どうした?読斗」
「いや。なんでもない。さて、行こうか。アニメイトに。」
読斗は人影を見た時、まるで見てはいけないものを見てしまったかのように恐怖を覚えたが、
そのことは二人には言わないでおいた。
~自宅~
アニメイトから帰ってきてすっかり夜の9時を回っていた。
「風呂も入んなきゃいけないけど今日はもう疲れた、、、。」
読斗はあの不吉な人影を見てから原因不明の疲労感が全身を襲っていた。
自室のベットに横たわると吸い込まれるように眠りの世界へと落ちていった。
「読、、、?」
暗闇の向こうから何か少女の声が聞こえる。だが、何を言っているのかは分からない。
「読、、、斗、、。」
( 僕の名前?何だろう。この夢は、、、。)
「あなた達は選ばれた、、。このままでは電撃文庫の世界が危ない、、、。」
(なんてことだ。こんなラノベみたいな夢を見るなんて、僕のアニオタもいよいよ末期か。)
「違う、、、、。これは現実、、、!!」
声はだんだん小さくなり、読斗は再び深い眠りに落ちていった。
~翌朝~
「おっす。読斗。俺なんか今日変な夢を見ちまった。電撃文庫の世界を救えとかなんとか。昨晩、電撃文庫を読みすぎたせいかもしれねえ。」
通学路で雷はそう言って大きな欠伸をした。
(偶然だよね、、。)
夢の偶然の一致に、そう脳内で言い聞かせていると、後ろから不意に肩を叩かれた。
その方向を振り返るとそこには栞がはにかみながら立っていた。
「おはよう。読斗、雷。実は私、変な夢を見たんだけど、、、。」
(う、嘘だろ?)
栞の夢の話を聞いて、再びその不可解を直視せざるを得なくなった。
(しかし、三人が偶然全く同じ夢を見るなんてあり得るのだろうか、、、。)
夢の内容は到底信じられないが、それと同時にこの偶然を立証することも出来なかった。
悶々と考えているうちに教室の前までたどり着いてしまった。
「はあ。今日の1時間目は現国かよお、、。」
一歩前を歩いていた雷が教室の扉を開けた。
すると、そこに飛び込んできたものに思わず目を疑ってしまった。
「いいなあ。私にも、一つちょうだい?」(インデックス)
「駄目!これは私のメロンパンなの!」(シャナ)
「何か俺たち似てるよな。名前とか、、。」(キリト)
「はあ?何言ってんの?マジきもいんだけど。」(桐乃)
「い~ざ~やクンよお!!!(怒)」(静雄)
「やだなあ。静ちゃん。」(臨也)
「ここは教室です。いい加減に大人しくしないと撃ちますよ?」(キノ)
(なんだこれは!!!!)
そこには本来存在するはずのない電撃文庫のキャラクター達がいたのである。
「ど、どうなってんだ?」
読斗たち3人はありえない光景を目の当たりにして言葉を失った。
「ありえねえだろ。これ。」
雷も信じられないという面持ちで教室全体を眺めている。
「と、とりあえず教室の中に入ろうか、、。」
ずっと突っ立っていても仕方がないと悟り、栞の言葉に従って電撃文庫キャラクター達が住まう魔の領域に足を踏み入れていった。
「ここ、僕の席なんだけど、、、。」
読斗の席にまるで自分の席であるかのように座っている女子生徒に声をかけた。
「・・・・・ふん。」
と軽く読斗をにらみつけてその女子生徒はその席から離れた。
明るい茶色の髪、モデルのようなルックス、彼女は「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のヒロイン「高坂桐乃」だった。
(すごい、、。原作通りじゃん。でも実際会って見ると可愛いけど少しムッとくるな、、。)
初の二次元キャラクターとの絡みで、混乱の中、少しずつ自分のテンションが上がっていくのを感じた。
「悪いな。俺が少しからかったから、あいつ今少し機嫌悪くてさ。」
読斗の席の後ろの男子生徒に声をかけられた。
黒髪黒服、二刀流の剣とファンタジー世界から飛び出してきたかのような整った顔立ちの彼は、「ソードアート・オンライン」の「キリト」に違いない。
「キ、キリトだよね。よろしく。僕は読斗。」
ぎこちなく挨拶をすると
「おう。よろしくな。読斗。」
と初対面の僕に優しく答えてくれた。
「ところで一体桐乃と何を話してたの?」
「いやあ。俺達って似てるなって、、グハッ!!」
「あんた、マジうざいんだけど!!」
キリトは桐乃が投げた筆箱に、顔面命中して椅子から転がり落ちた。
一方後の二人は、、、。
「よお。お二人さん。メロンパン買ってきてやったから、仲良く俺と食べようぜ☆」
雷は、「灼眼のシャナ」の小柄な炎髪灼眼の少女「シャナ」と「とある魔術の禁書目録」の同じく小柄なシスター服の少女「インデックス」に声をかけていた。
「誰よ。あんた。馴れ馴れしい。」(シャナ)
「いくら私でも怪しい人からの食べ物は貰いたくないかも。」(インデックス)
「キャー☆臨也さん。静雄さん。サインください!」
栞は「デュラララ!!」の黒のコートを着た情報屋「臨也」と金髪サングラスのバーテンダー「静雄」にサインを求めていた。
「やだなあ。俺ってもしかしてモテる?」(臨也)
「きめえこと抜かすな。タコ。」(静雄)
少し離れた所で「キノの旅」の銃を腰から下げた少年の様な容姿をした少女「キノ」がやれやれという面持ちでこちらを眺めていた。
授業は、普通なのかと思いきや、やはり担任も電撃文庫作品のキャラクターだった。
「ああ、、。愛しのマリアンヌ、、。こんな授業より君の方がずっと大切だよ、、。」
現国は女の子の人形を方に乗せた少し危なげな美青年「フリアグネ」(灼眼のシャナ)
「はーい。授業始めますよー。」
数学はどう見ても小学生にしか見えない愛らしい女性「小萌」(禁書目録)
等々、見ていて飽きないキャラクターばかりだった。
こうして一日が過ぎ、放課後を迎えた。
「やっぱ皆可愛すぎるだろ、、、。夢なら覚めないでくれ!」(雷)
「臨也と静雄のサインを貰っちゃった♪」(栞)
読斗たち三人はすっかり電撃文庫の世界になじんでしまった。
「ああ。確かに、とても楽しかった。こんな事、現実にはありえないっていくら思っていたとしても、、。」(読斗)
そうした会話を楽しみながら下駄箱で靴を履きかえていたその時、急に目の前がまぶしい光に覆われた。
(え?どういうこと?いったい何が、、?)
今まで感じたことのない強烈な光に3人はその場でうずくまった。
「なんだこれ。眩しいぞ!どうなってんだ!」(雷)
「私だって分かんないよ!目がチカチカするー!」(栞)
「とりあえず、光が収まるのを待とう!」(読斗)
1分、2分、どのくらいの時間が経っただろうか。
次第にその光も弱まっていき、少しずつ目を開けられるようになった。
この現象の原因を探るべく辺りを見回してみると、、、
「あなた達!」(???)
そこには毅然とした表情で3人を見る、橙色のポニーテールヘアの少女が立っていた。
顔は少し怒っているようにも見えたが、まごうことなき美少女のそれであった。
(うーん、、、。このキャラは、、、??)
読斗の脳内データベースを用いても目の前にいる少女がなんのキャラクターなのかが分からなかった。
(橙色の髪、ポニーテール、、、、、うーん、、、。)
実際、似たような容姿をしたキャラクターは複数思い当たるのだが、どれもこの少女とは一致しなかった。
「雷、栞、この子知ってる?」
「知らない」
読斗は、この2人の反応を見て、この少女は電撃文庫のキャラクターではないと直感的に悟った。他のキャラクターに勝るとも劣らない外見、2人ならこんなヒロインを見逃すはずがない。
「君は誰?」
読斗は何気なく尋ねてみた。すると、目の前の少女は大きくため息をつき、
「はあ。忘れたの?君の夢で会ったじゃん。大切なことを伝えようと思ったのに、まともに取り合ってくれないんだもん。私?私の名前はフミカ。虚構狭界の見張り人よ。」
と何の変哲もない表情で答えた。
「虚構狭界?」(読斗)
聞いたことのない言葉に当惑し、聞き返した。
「そう。虚構狭界。この世界は、君たちが日常生活を送ってきた所とは違う。言うなればここは二次元世界と三次元世界の狭間の世界よ。」
フミカは信じがたい事実を述べ続ける。
「やっぱ、この世界マジなのかよ。俺の夢じゃなかったんだ。」(雷)
「えっと、じゃあ、何で私たちはこの世界に連れてこられたの?」(栞)
「それは、両次元間を結ぶ扉がこの電撃学園の図書館に開いたからよ。おそらく君たち3人は図書委員で図書室にいる時間が長く、且つ電撃文庫作品にかける思いが強かったから引きずり込まれたのだと思うわ。」
雷と栞の感想&質問にも淡々と答えるフミカと名乗る少女。
「、、、、、まだ信じられない気持ちで一杯だけど、君のいうことが本当だとすると僕たちってどうやったら出られるの?」
読斗は再び尋ねると彼女は顔を曇らせてこう言った。
「わからない。何者かによって次元の扉がふさがれてしまったの。」