電撃文庫RPG Cross of Shadow   作:オタックス

2 / 3
第二幕 ~不穏、そして日常~

 「ウソ、、、だろ?」

フミカから告げられた衝撃の事実に読斗は思わず息を飲み込んだ。

「本当よ。だから今、私は君たちをもとの世界に戻すための方法を探っているの。見つかるまでのしばらくの間、今日のようにクラスメイトの一員といて学園生活を送っていてくれないかしら。」

読斗自身この世界にずっといたい気持ちは大いにある。しかし家族のいる元の世界に帰れないという現実を目の当たりにして、さすがに動揺を隠せなかった。

「洒落になんねえぜ。嬉しいんだか。やばいんだか。」(雷)

「私もどうしたらいいか分かんない!確かにこの世界のキャラクターと話せて嬉しかったけど、それでもやっぱ、家族にも会いたい、、、。」(栞)

「心配しないで。君たちはいつか必ずちゃんと元の世界に帰してあげるわ。それよりも帰れないことは忘れて、限られた時間思い切りこの世界を楽しみなさい。」

不安げな読斗たちに彼女は優しく声かけた。

笑おうが泣こうが、解決の糸口が見つかるまでの間、僕たちはしばらくここにいなければいけないようだ。

 

~そして翌日~

 

「おはよう。雷。栞。」(読斗)

「おお。読斗。ヨッ!」(雷)

「おはよう。今日もいい天気だね」(栞)

 

2人は昨日の動揺もあっただろうにいつもの様に明るく返事を返してくれた。

そんな様子を見ていると、フミカの言うとおり、今はこの世界を精一杯楽しむことが先決だと思えてきた。

「だね!」(読斗)

それぞれの想いを胸に、再び二次元キャラが待っている扉を開けていった。

 

「よお。読斗。」

キリトは教室の入り口に立っている読斗に挨拶をした。

「おはよう。キリト。」

読斗もそれに挨拶で答える。

「えー。読斗ずるいー。キリト君と友達になっちゃうなんて。」

栞はそう膨れ面をして言った。

「まあ。俺は男キャラよりヒロインのほうがいいけどな。」

雷はそう言って昨日のようにシャナ、インデックスの方に向かう。

「俺と遊ぼうぜ!、、、おっ!今日は大河ちゃんもいるじゃん!ますますラッキー☆」

大河は「とらドラ!」に出てくる手乗りタイガーというあだ名を持つ一見小柄でかわいらしいが、中身は凶暴と噂のヒロインである。

「なに?こいつ。」(大河)

「何か昨日から私たちにへばりついてくるの。」(シャナ)

「おお!W釘宮ボイス最高!」(雷)

「この人何言ってるか訳分からないかも。」(インデックス)

 

「うーん、、。私はどうしよう、、。臨也君、静雄君は今いないみたいだし、、、。」

栞は教室をキョロキョロしていると昨日二人の近くにいたキノという少女を見かけた。

「キノちゃん。こんにちは。私、「キノの旅」の大ファンなの。良かったらサインもらえないかな?」

鞄の中から色紙を取り出し明るい声で聞いてみた。

「栞さんですよね。こんにちは。「キノの旅」を読んで下さりありがとうございます。下手な字で良ければサインしてあげます。」

キノは原作さながらの落ち着いた口調でそう答えた。

「ありがとう。キノちゃん!」

栞は満面の笑みでお礼をする。

「どういたしまして。ですが。栞さん。いや。あなたたち三人に対して言えることなんですが、あまりこの世界に深入りしない方がいいと思いますよ。」

キノは栞の瞳を見つめて急にそんなことを言い出した。

「えっ?どういうこと?キノちゃん。」

栞はキノに詰め寄る。

「いえ、、、、。なんでもありません。でもくれぐれも気を付けて。敵は目前まで来ています。」

キノはそう言って教室から去っていった。

(キノちゃん、、、。自分が小説のキャラクターだっていう自覚があるみたいだし、もしかしてこの世界のことを知ってるの?)

キノの忠告を受けて栞は一抹の予感を巡らせた。

 

 一時間目は体育だ。読斗は体操着をロッカーから取り出し、着替えを始めるために隣の教室に入ろうとした。

すると「どんっ!」と教室から出ていこうとした男子生徒と肩がぶつかった。

「いたた、、。ごめん。」(読斗)

「いやいや。俺もよそ見をしていたからお互い様でせうよ。」

その男子生徒は中肉中背、ツンツン頭、熱血且つ実直な瞳をしていた。このキャラは「禁書目録」の「上条当麻」に違いない。

よく見ると彼はまだ制服のままで体操着には着替えていないようだった。そのわけを聞くと、

「いやー。ついうっかり体操着を教室にわすれちゃってさー。これから近くに通っている女子生徒に声をかけて体操着を取ってもらおうと思っているんだよ。」

と少々気恥ずかしそうな顔をしながらそう答えた。

「そうなんだ。あっ、じゃあ今教室から出てきた子に頼めば?何か優しそうだし。」

読斗は教室から出てきたクリーム色をした長髪の少女「アスナ」(ソードアート・オンライン)の方を指さして言った。

「おっ、そうだな。ありがとな。読斗。じゃあ早速お願いしてみるよ。おーい。アスナさーん。俺の体操着を取ってくれませんかねえ!?」

 これでひとまず一安心。僕も早いところ着替えを済ませちゃおう。と適当な机に体操着を置き、着替えを始めようとしたその時、

 ガシャーン!

と何か女子生徒が着替えている教室の扉ガラスが壊れる音がした。

 

「いや。これにはわけがありまして、、、これは不可抗力であって決してわざとでは、、、!!」

先ほどまで読斗と話していた生徒「当麻」の声が聞こえてきた。

「なに?きもい。話しかけないで、、、。」

「うるさいうるさいうるさーい!」

「今見たものを忘れろー!!」

と続いて女子生徒の方からも叫び声が聞こえてきた。

「あー。どうしていつもこうなるのかなあ。」

と騒ぎを聞きながら読斗は苦笑した。

補足だが、彼こと「上条当麻」は原作でもおなじみの通り、「ラッキースケベ」(決して本人に悪気はないのだがことあるごとにお色気ハプニングを引き起こしてしまう)属性の持ち主である。

読斗たち男子生徒はそんな彼をほっといて、各自グラウンドへと向かっていった。

 

~グラウンド~

「痛っ、、!女子の皆さんに引っかかれた跡が痛いでせうよ、、、。」

当麻は傷跡を抑えながらつぶやいた。

「それはお前のせいだろうが。」

間髪入れず突っ込みを入れたのは黒髪で、周りとキャラと比べて地味な外見をした「高坂京介」(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)だった。彼は先日キリトと話していた派手な女子生徒「桐乃」の兄である。

「いやー。本当に仕方なかったんだって。アスナに俺の体操着を取ってもらおうと近づいたら丁度廊下に水たまりがあって、、、。」(当麻)

「水たまりがあって?」(京介)

「そのすっ転んで、、、、。胸をムニっと、、。」(当麻)

「ラッキースケベここに極まれりって感じだな。」(京介)

「それでグーで思い切り殴られて着替え中の教室の中へ、、。」(当麻)

「難儀なことだ。でも同情しねえよ?」(京介)

「ひでえよ。京介。でもまあ、今もまだドキドキしてるぜ。感触を忘れないように手はしばらく洗わないでおこう、、、。」(当麻)

「はは、、、。」(京介)

(まあでもキリト(アスナの彼氏)がその時、近くにいなくて助かったぜ、、。)

当麻はふー。と安堵の息をついた。

「おっおい。当麻、、。後ろ。」

急にさっきまで話していた京介の顔が引きつっていた。

「おいおい。後ろが何でせうか~?」

と何気なく後ろを振り向くと、

「ほう。貴様は俺がいない間にそんなことをしてたのか、、、。」

鬼の形相をしたキリトがそこには立っていた。

「ソードスキル発動、、、。」

両手から物騒な武器を取り出すキリト。当麻との距離をだんだん縮めていく。

「え、、、やば、、。あの、、、それはですね、、、。」

冷や汗を流し懸命に弁解する当麻。しかし、

「言い訳無用!」

キリトの両刀が振り下ろされた。

「不幸だーーー!!!」(当麻)

 

その後、しばらくの間、誰も当麻の姿を再び見ることは無かった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。