電撃文庫RPG Cross of Shadow   作:オタックス

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第三幕 ~奇襲~

時は同じく、フミカは体育館の倉庫で魔方陣のようなものを描いていた。

 

「早く、新しい術式を結んでゲートを作らなきゃ大変なことになっちゃう、、、。」

 

蒸し暑い体育館倉庫、彼女は額に浮かんだ汗を腕で拭う。

 

「やはり、ここにいましたか。」

 

鍵をかけたはずの扉がひとりでに開く。そこにはパースエーダーを腰に下げた少女、キノが立っていた。

 

「キノちゃん。あの子達は大丈夫なの?」

 

フミカは突然の来訪者に顔を向けて尋ねる。

 

「ええ、今はまだ。ですが先日校庭で不吉な人影を見ました。そろそろ時間の問題かもしれません。」

 

2人はまるで昔からの知り合いであるかのように言葉を交わす。

 

「そう。わかったわ。ありがとう。でもまさか、あなたに気付かれちゃうなんてね、、、。」

 

フミカはキノから視線を外し、天井を見つめながら言った。

 

 

 

体育も終わり、読斗たちは普段通りに淡々とその日の授業をこなしていった。

 

国語、数学、理科、社会、どれも退屈なものばかりだったが、周りのキャラクター達の表情をエネルギー源に先生の話に耳を傾けた。

 

 

 

そして、帰りのホームルームが終わり、清掃時間。

 

 

 

「お前ら、掃除をさぼるんじゃねえ。まだ、こんなに埃が残っているだろうが。」

 

手乗りタイガーこと逢坂大河のパートナー「高須竜児」(とらドラ!)は窓枠の汚れを姑のごとく触りながらぼやいた。

 

「おお。この綺麗好き、原作通り、、、。」

 

読斗はそんな竜児を見ながら感心してつぶやいた。

 

「まあでも、あんな個性的な電撃文庫キャラ面々も意外に掃除はきちんとするんだな。」

 

いつの間にか読斗の隣にいた雷は雑巾を片手に持ちながら言った。

 

「あー。確かに。」

 

読斗は教室で掃除をしている面々、ざっと20人といったところか、を観察しながらうなずいた。

 

「だろ?この炎天下の教室の中、炎や雷撃をぶっぱなすことなく真面目に掃除をしてやがるぜ。」

 

雷は何だか知らないけど無駄に上から目線でほめていた。

 

「そこのところは僕たちと一緒ってところか、、、。」

 

さて僕たちも掃除をするかとチリトリでごみをかき集めようとした時、

 

『パリーン!!』

 

急に読斗の後ろ側の窓ガラスが砕け散った。

 

「・・・!!」

 

とっさに身を抱えることで間一髪、飛来したガラス片は体に刺さらず事なきを得た。

 

(電撃キャラは真面目だなって話していたそばから、、、いったい誰なんだよ!)

 

いつものハプニングの延長だと思い、ゆっくりと体を起こしながら誰が元凶なのかを知るため周囲を見回した。

 

しかし、そこで目にしたのは、自分の方を見て驚いているキャラクター達だった。

 

(おかしいな、、。今、教室にいる中でケンカをしているキャラもいないし、、、。)

 

シャナ×大河、キリト×桐野、臨也×静雄など、教室にいる比較的過激派(?)な面々を見回しても窓の方をじっと見つめているだけで何の反応もない。

 

むしろ、この急に静まり返った空間に一種の恐怖を覚えた。

 

「あんた。後ろ、、、。」

 

読斗の後ろを指さして最初に声をあげた生徒は、常盤台のレールガンこと電撃使いの「御坂美琴」(禁書目録)だった。

 

普段は勝気な性格をした美琴が見せる恐ろしげな表情を見て不安を覚えた読斗は後ろをゆっくりと振り向いた。

 

するとそこには、赤黒い皮膚、無数の瞳、真横まで裂けた口を持つ2mほどの怪物が立っていた。

 

「!!!!!」

 

読斗は驚きのあまり声にならず体を硬直させた。

 

(なに?この怪物は。紅世の徒?SAOのモンスター?こんな敵いたか???)

 

いずれにせよ、このままじっとしていたら命がないのは確かである。

 

慎重に、一歩ずつ怪物から距離を取ろうとした。

 

するとそれを遮るかのように怪物がうなるような口調で言葉を発した。

 

「ドクト。トキハキタ。コヨイ、オクジョウデ、ワガアルジガオマエヲマツ。カナラズコイ。ヒトリデナ。サモナクバ、イマココデオマエヲコロス。」

 

不測の事態にも関わらず、シャナ、キリト、美琴等、戦闘系キャラはいつの間にか武器を構え臨戦態勢を取っている。これは非常にありがたい。

 

「フフフ。デンゲキキャラニモ、ズイブンアイサレテイルデハナイカ。ソレデコソオモシロイ。ヨコクハシタ。デハノチホドマタアオウ!グハハハハ!」

 

周囲に纏う黒い影と共にその怪物は姿を消した。

 

(何だったんだ。一体、、、。)

 

 

 

「どうするの?読斗」

 

栞は心配そうな面持ちで読斗の顔を窺った。

 

「、、、、、。僕がラノベの主人公なら一人で屋上に向かうと思う。栞、雷、そして電撃キャラを守るために。」

 

「それって、、、、。」

 

栞は息を飲む。

 

「だけど、僕はラノベの主人公ではない。その選択は格好いいかもしれないけど賢明とは言えないと思う。だから、、、。」

 

「だから?」

 

読斗は教室中を見渡した後、大きく深呼吸をして言った。

 

「みんな!僕に力を貸してほしい。今晩僕は囮として屋上に向かう。そして、怪物が僕一人だけだと油断したその時、僕の合図で一斉に飛び出し、みんなで討伐してほしいんだ!」

 

この選択は、自分が無力だと宣言するに等しいともいえる。しかし、今出来る最善策だと確信することが出来た。

 

「だな。確かにお前の言う通り主人公らしくないかもしれないが、お前が死んでしまったら元も子もねえ。」(雷)

 

「読斗。危なくなったらすぐに呼んでね。私達も陰から見守っているから。」(栞)

 

「この世界に起きている事柄、解明する必要があるようね。」(シャナ)

 

「仕方ないわね。私も手伝うわ。」(御琴)

 

元来の正義感と、怪物に対する好奇心が相まって読斗の呼びかけに戦闘派キャラを中心としてクラスの大多数が承諾してくれた。

 

 

 

― 夜 屋上 ―

 

 

 

読斗は一人で屋上の重い扉を開ける。

 

ずいぶん長い間使われてこなかったのか、サビが手のひらにこびりつく。

 

 

 

「来たぞ!さあ。用があるなら出てこい!」

 

覚悟を決めた読斗は力強く声を発する。

 

(またあの昼間みたいな怪物が出るのか・・・。)

 

読斗は慣れない恐怖に一度身震いをした。

 

しかし、5分、10分、いつまで経っても怪物の姿は見当たらない。

 

気配さえつかめない状況下で、怪物にだまされたのではないかとさえ思えてきた。

 

「ごめん、いったん集・・・!!」

 

「勇ましいことだ。創作世界の貧弱救世主よ。」

 

作戦の練り直しのため、仲間を呼び寄せようとした瞬間、空気が戦慄した。

 

頭上から急に声が聞こえてきた。

 

ただそれだけのことだった。それなのに、その一声がこの瞬間の空間を全て支配していた。

 

「!!!」

 

恐る恐る上を見上げると、二つに裂けた空間の隙間から黒のマントを羽織った人物が現れた。

 

「てっきり恐れをなして来ないかと思ったぞ。」

 

肩まで伸ばした白髪、地獄の炎を思わせる赤い瞳、見るもの全てを委縮させるような風貌をした青年の姿。外見は自分たちとそう変わらない10~20代前半ほどであろうか。

 

しかし、眼前に君臨する男はただ者でないと、肌で感じ取っていた。

 

「この世界に迷い込んだということは所詮、主人公の真似事でもしているのだろう。」

 

読斗の額から冷や汗が垂れた。

 

胸の動悸が激しくなる。

 

この不安感、焦燥感は以前どこかで感じたことがあった。

 

それは、この世界に迷い込む前日、校庭に突如として現れた黒い影を見た時と酷似していた。

 

「思い出したようだな。そう。我はお前達がこの世界に迷い込む前から貴様らの世界に侵入を果たしていた。最も、その段階で気づいたのは、読斗。お前だけだったようだがな。」

 

男はそう言って不敵に笑った。

 

「お前は一体、、、!」

 

特徴的でありながらどの作品にも見たことのない風貌、自分をここに呼んだ理由、そして何故名前を知っているのか、読斗は頭の中にあふれ出る疑問をその一言に集約した。

 

「フッ。我か?我は、、、、、。」

 

男はマントを翻し、言った。

 

「我は廻雷漆黒(ライト・オブ・ダークネス)。この世界に破滅をもたらすものだ!」

 

 

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