Fate/ プリズマ☆ローレライ   作:蒼百合

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一体何日ぶりなんだ。遅すぎだろぅ!という以前に覚えていらっしゃる方がいましたら本当にお待たせしました。
ぼちぼち頑張って行きますね


No,Ⅱ-2 学校へ

がらぁっ──────

自転車をこぐ音が鳴る。風と一緒になったような気分になるくらいに目一杯の風を運転手である士郎が受けながら、イリヤは士郎が運転する自転車に載って学校へ向かっている。夢にまで見た――ほんとは一度も考えたことのない――士郎との二人乗りをしていた。

つまり、今は士郎に背中から抱きついているのだ。

それなのに、咎める人は誰もいない!

 

イリヤにとっては最高の一時だ。罰は当たらないかしらと不安に成るけれど、普段は歩いて向かっているから今日はきっと特別。そんな言い訳をしながら今では本当に兄となった背中を堪能していたが。そもそも、咎める相手は誰もいないので必要無いけれど。何故ならば───

 

 

 

 

 

ごしごしごし。制服に水に濡れないように気を付けながら、ちょっとだけ急ぎ足で兄妹二人並んで仲良く歯を磨いていた。はあっー。寒い冬の朝に暖かいお湯で洗うと気持ちいいわ。例え部屋の中も十分暖かくてもね。

 

何だかんだ言っても“私の”つまり聖杯の器としての記憶は、ずっと冷たいものであった。勿論、切嗣とお母様が居たときはとっても楽しかったけれど。それが全て塗り潰してしまうくらいに二人が旅立ちバーサーカー――つまりヘラクレスのマスターになって冬木に旅立つまでの約10年間は辛くて、憎くて、悲しかった。今なら多分わかるけれど、語りかけてたお母様はお母様の姿をした何かなんだと思う。だって、お母様はあんな化け物なんかじゃないんだから――!

 

そんな風に思えるようになったのは、きっと冬木の土で士郎たちと出会えたお陰だ。そこで出会った人はみんな暖かかった。これまであった聖杯としての機能をよく高度にし、アインツベルンが聖杯戦争を勝ち抜く為に苦しめられてた私の記憶を塗り替えっていた。その時間は短い間だけど、私はおばあちゃんになったみたいに振り替えっていた。

 

さて、色々考えたいことはあるけれど、今考えないといけないのは学校のことだ。その為には急いで出掛けて遅刻しないで行くことだ。だけど、今から歩いてると少し厳しいわね。

そんな時に私のお兄ちゃんが声をかけてくれた。

 

「なぁイリヤ、今日自転車に乗って行かないか?」

 

「え、でもいけないことなんじゃ……」

 

「急がないとだからな。今日だけだ」

 

その慢心さがdiesエンドに繋がるけれど、それなら答えは勿論決まっている。

 

「うんっ!」

 

最高の笑顔で私は答えた。

 

 

 

 

「それじゃあ、「「いってきまぁーす! 」」

 

「はーい。二人とも車には気をつけてくださいね!それから士郎。しっかり遅刻することないようにイリヤさんを連れていって下さいね」

 

「ん、了解」

 

 

士郎の運転する自転車の後ろに乗って、出発する時に何時ものようにセラが言ってきた。それに士郎が返事をする。はいはい、解かってますって。士郎がしっかり運転してくれるんだから大丈夫に決まってるわ。全く、セラは何時も心配性なんだから。いくらメイドだからって主は私なんだからもう少し自由にさせなさいって。もしバレたとしても暗示をかけて…………って、あれ?

 

その時2つの違和感があった。一つは魔術回路が見つからないこと。とは言っても急に出来なくなるなんてこと無いわけだし後で確かめたら良いか。そして、セラがメイドでその主は私であるということを思い出したこと。それとも同時に頭にふと浮かんできたのは、あったかもしれない今から半年程先の平和な日々の裏であった終わらない4日間の聖杯戦争の記憶だった。その記憶は赤い悪魔な遠坂凛のいつものうっかり癖のお陰で「ねじれ」が生まれ、“keep out ”のテープをアインツベルンの城中に張らないといけなくなった時のことだった。よりにもよって、なんでこの記憶なのかしら。

凜があまりにもやる気があったせいで無駄に込める魔力を増幅させて詠唱をしていてたからその時に私なにかを言ったけど、あの時私は絶対失敗フラグを立ててない!全部凜がいけないのよ!えぇ、そうにきまってる。

そういえばあの時、本当に凛が私の家に場所を借りてまで作りたかったのは、時計塔対策の為に平行世界の波を観測出来る切り札だったっけ。と、ここまで思考を巡らせていると謎が解った。あぁー、なるほど。そういうことだったのね。

 

こ・こ・は・平・行・世・界・だ。

 

なんていうことでしょう。

第三魔法擬きを使って死後の最高の夢の中だと思っていた世界は、第二魔法が発動しちゃって訪れた別の世界ではありませんか。しかも聖杯戦争は起きていない世界のようです。これには魔導元帥様も根源への到達が悲願の遠坂一族も驚くことでしょう。……下らないことを考えてしまった。だって驚くだけですんだら儲けものだからね。最悪ホルマリン漬けな訳だし。全く、大聖杯は一体どうなってるのかしら。作った人に問い質してみたいわね。それは私たちのプロトタイプを初めとした始まりの御三家なんだけど。

それとも流石私。とでも言う方が良いのかな?こうして無事に生きているんだし……ちょっと気持ち悪いか。

 

(──って、なんで私はこんなことを知ってるの?)

 

経験したことはない筈なのに、その記憶はまるで、自分が経験したことのように、鮮明に、色濃く覚えていた。しかも、それは、膨大な量であったのだ。さらにこれ以外にも――

 

(なんか知らない知識とか経験とか、恐ろしいのとか、よく解らないのまで山のように沢山あるんですけどぉ! )

 

それこそ、早い話があの「聖杯戦争で起こる得るすべての可能性」が全て頭の中にあるのだ。

 

あの終わり方以外の結末があるのは別に良い。私が生き残る可能性だってきっとあるだろう。が、あって長くは生きれないのも解ってる。色んな結末があるのは当然だから、バーサーカーが負けるのもやっぱりよくはないけど仕方な――――うん、やっぱり嫌だった。相手があんな金ピカなんだし、城を散々荒らしてセラとリズまで殺したり私な心臓まで奪われるだなんて許せる筈がなかった。マスターがシンジなのがとっても滑稽ね。最後はギルガメッシュのマスターである彼自身が聖杯の器になってるし。どうせならセイバーに負ける世界線が良いわね。私も生きているんだし。……まぁ、セイバーといちゃいちゃしているシロウはお仕置きだけど。

 

聖杯戦争が終わっていなくて、再び現れるのも意味解らない。何故か4日を繰り返しているようだ。聖杯の力は恐ろしすぎる。あっ、でも、この可能性の子供の金ぴかはちょっと可愛いかも。 あくまでも見た目だけは。

だけど、なんなのよ!『聖杯戦争のルールが変わりましたぁ~♪』って‼ そんなことあってたまるもんですか! しかも、バーサーカー負けてるし!あんなカッコ悪いテニスするんじゃないわよ!飛びなさい、エア・バーサーカーよ!!

 

……無理ね。それ以前に、あんなお祭りみたいな展開なんて、そもそも「到来しない」結末だからね!

 

もっと楽しめそうでは有るけれど、そろそろ記憶を覗くのは辞めにしないとね。人の背中にしがみつきながらにやにやしたり怒ったり、嫉妬したり、悲しむのは変な人だし。因みに、こんな記憶がある理由は多分わかる。私が小聖杯で、大聖杯を閉めたから一度繋がった結果だろう。

 

 

 

 

そして、現在。

 

イリヤは考えることをイリヤは放棄して士郎との二人乗りを楽しんでいる。どこか遠くを見るような虚ろな目をしていたかもしれないけど。

 

(一体クラスのみんなにどんな顔して会えば良いのかな!?)

 

今一番解決するべき課題が他にあったからだ。今のイリヤスフィールは、魔術を知らない普通の小学生の女の子としてのイリヤの記憶もあるけれど、魔術師であるアインツベルン家のイリヤとしての記憶もあるのだ。精神年齢は昨日までより倍とはいわなくてもかなり高い。そこが問題なのだ二人の記憶が混ざりあっていることで、魔術を覚える為に勉強してきたので学校での勉強は非常に楽になる。日本語の読み書きはちょっと不安であったが小学生レベルなら問題なく魔術のイリヤもこなせていた。つまりは、数がk……じゃなくて算数なんて簡単にこなすことが可能だ。寝てても満点が採れるし、むしろ採れないと大人としてのイリヤが悲しくなってしまう。

 

(一般化どころかXやYも使わないで、○や△とか使うのよねぇー)

 

小学生のイリヤとしての記憶を思い出しながら学校生活のことを考えていた。その中で魔術師としてのイリヤは少し不安があった。問題を小学生らしく解いて違和感なか過ごすこともあるが、話し方が大丈夫かどうかだ。週に何度かにある英語の時間のことである。ドイツ語が主であるが英語の会話も出来るので発音が急激に良くなることだった。けれど、問題無いよね。という結論に至っていた。むしろ、たいがを鍛えてあげなくちゃと考えて始めるくたいだ。しかし、このことに驚いた。私の担任タイガなのか。と

 

タイガーこと藤村大河。タイガーって呼ぶなと彼女は怒りそうではあるが、イリヤはタイガーと呼ばれるのは彼女のことをよく表していると思っていた。朝から元気にやって来てよく食べたり、ぐーすか寝て、がやがや騒いだり、周りを巻き込みながら嵐のように去っていくからだ。これを虎と呼ばずに何と呼べば良いのやら。

 

キーイッ。ブレーキを握って自転車は減速して留まって思考を遮った。赤信号なのかなとイリヤが思っていると

 

「イリヤ、降りろ。もうすぐ学校に着くぞ」

 

そう士郎が言った。いつの間にかに学校近くまで来ていたらしいくイリヤは驚いた。どれだけ考えていたのかしらと思っていたけれど、のんびりとしている時間はあまりないだろう。慌ててイリヤは自転車から降りる

 

 

士郎が自転車を降りてイリヤの横に歩き始めるとイリヤは士郎を見ながら言った。

 

「ありがとね、お兄ちゃん。また乗りたいなぁー」

 

「本当はいけないことなんだからな。イリヤ」

 

「むぅー」

 

イリヤは不満そうに頬を膨らませるが士郎は本当に駄目だからなと注意していた。そうしていると、イリヤの学校の校門は目の前に迫っていた。因みに高校もすぐ側にある。

 

「それじゃあな、イリヤ」

 

「うん、お兄ちゃん!行ってきまーす!」

 

元気よく手を振りながらイリヤは教室へ向けて走っていった。それを見届けながら士郎も遅刻しないように急いで隣の高校へと向かっていった。

 

 

こうして1日は何時ものように過ぎていく。少しだけ違う朝。変わらない平和な日々。疑問と不安は幾つかかったけれど、それでもこんな毎日はずっと続くもんだとイリヤは思っていた。そして――桜が似合う季節へと移り行く。




・終わらない4日間 :詳しくはhollowをご覧ください。絶賛発売中です(ステマ)

・なんていうことでしょう。: 匠の手により素晴らしい家へと変わったではありませんかぁー

・聖杯戦争のルールが変わりましたぁ~♪: 第5次ちきちき聖杯戦争

・エア・バーサーカー :某日本人テニス選手が使用

そもそも「到達しない」からね!:とあるschool life9巻でのprototypeヒロインの台詞より

・小学校で英語の授業 :今では必修みたいですね。恐ろしい((((;゜Д゜)))
それより会話の練習をしなさい会話を。


はてさて、久しぶりに書いた(疲労)fateは楽しいけれど書いているとSUN値が減りそうになります。イイハナシナンダケドナー。
本当はもう1、2話書いてから本編を始めようと思っていたのですが最悪本編に進めるように語りつきで閉めました(頑張れよ)
ところで、今回は三人称視点も追加してみました。思ったより書きやすい。けれどスピード的にはそんなに変わらないですね。読者様的にはたまに三人称の基本一人称(イリヤ視点)の混ぜ合わせでも問題ないでしょうか?
……意見聞くときはアンケート機能使うのが良いのかな?(そんなものは存在するのですか?)
未だにハーメルンに慣れていませんがぼちぼちと頑張って行きますね。


以下タイガー道場もどき

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弟子1号「いゃあ~。まさか更新するとは思わなかったッス、ししょー」

師匠「更新しない二次創作なんて山のように有るからねぇー、弟子1号。(むしろ完結するのが少ないというか)←小声」

弟子1号「まぁ…作者は更新しないのだけは辞めようと始めるときに決意してたみたいだし!?」

師匠「ところで弟子1号……自転車の二人のりは犯罪なんだけどなぁ。原作様もおっしゃってるし」

弟子1号「と、特別なのよ!士郎だってそう言ってるでしょう!?フラグ立ててるけれど、創作なんだたら気にしたら負けなのよ。」

師匠「そりゃーそうだけどねぇ。イリヤちゃんの先生としては注意しない訳には…」

弟子1号「んまっ、現実世界ではルールを守ってくださいね!」

師匠「それじゃあそうゆうことで!(次回の更新はいつになるのやら…)」

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