東方正天哉〜Presence or absence 作:アミバさま
これはこの出来事の少し前の話…
「なるほど留守の間に随分色々あったのだな」
「貴方が開けすぎなのよ」
幻想郷にある屋敷でその家の主である八雲紫が半ば呆れながら紅茶を飲む
「ふむーまぁ細かいところは気にするな」
「果たして細かいことかしら貴方の不在中に第二次月面戦争をしたというのに貴方のせいで大幅にシナリオを変更したのだけど」
「それは悪いと反省はしておる。けど聞いておくれ紫。妾だって色々手が離せなかったのじゃ」
紫は、ほぉっとつぶやくと紅茶を置き、少し興味があるっといった感じでテーブルに肘置いた
「数十年間も管理をせずにどこで何をしていたか話してくれるのかしら。天日(テンリ)」
ムゥっと唸る。隂地(おんじ)天日は、銀色の髪を指でクルクル回しながら口籠る。
「話せば長くなるのだが…」
「あら?時間なんて気にする必要ないじゃないゆっくり話していいわよ。」
と微笑みを浮かべる。背後にスキマを覗かせながら
「おおーい、藍お主からも紫に何か言うとくれ」
「正直に話した方が良さそうですよ。天日様」
紅茶を注ぐ八雲藍は笑顔で答える。
「ここに妾の味方は居らんのか」
「式神が主に口ごたえするはずないじゃない」
天日は藍を哀れむような目で見る。
「相変わらずパワハラを受けておるのだな」
「それにしても天日、貴方まだその喋り方なの?」
「個性的で気に入っておる。お気にじゃ」
エヘンっといった感じで胸を張る天日に対して紫は
「変なだけよ」っとため息をつく。
「ところで私に何か用があるのでしょう。わざわざ怒られる為に来る貴方ではないもの」
「何を言う妾は純粋に…っと言いたい所じゃが」
天日は左手首を振ると扇子が現れる。そしてその扇子を広げパタパタと自分の顔をあおぐ。
「ご名答。ちょっと頼みがあってなぁ」
「頼みねぇ。内容次第かしら」
紫もスキマから扇子を取り出す。
「では、話そう妾の目的は……」
……
「っということじゃ」
「あら随分なこと考えてるのね」
話を終えた天日を見て紫は少々驚いた。
「まぁ確かに悪くないと思うけどその程度なら貴方1人の能力で充分ではないの?」
天日は眉間に皺をよせうーむっと唸り扇子を閉じ扇子の尖端を口に当てる。
「今の妾には、多分無理であろう」
「あら随分弱体化したわね。やっぱり外の世界の影響かしらそれとも…」
紫はスキマに手を入れ
「この髪の影響かしら」
天日の後ろ髪の部分的に黒くなっている髪を触りながら紫は問う。
「さっどうだかのぅ」
左手から扇子を無くなりテーブルに置かれていた紅茶が左手にある。天日は紅茶をすする。
「フフッいいわよ。天日その話乗ったわ」
「そうか。では」
「私は貴方の敵になるわ」
突然の紫の発言に天日はキョトンとした。そんな天日を見て微笑みながら続ける。
「天日貴方の頼みを聞き入れるわ。けど私は貴方に協力はしないもしかしたら敵になるかもしれないわ」
紫はパチンっと扇子を閉じた。それを見て天日は胸を撫で下ろし
「その答えが聞きたかった」
そう言い立ち上がった。
「どこかに行かれるのですが?」
と問う藍に対して
「なぁ〜に愛しき幻想郷を少し観光じゃ。懐かしい顔ぶれにも会いたいしのう」
身体を伸ばしながら答える天日を見て紫は目を閉じスキマから一升瓶を取り出し天日の前に突き出した。
「足るを知れば辱(はずかし)められず、止まるを知れば殆(あや)うからず。これは餞別よ。まっせいぜい頑張りなさい」
天日は一升瓶を受け取りニヤッと笑顔を浮かべ「では後は任せるぞ」そう告げると天日の姿が無くなった。
「よろしいのですか?紫様。天日様に協力をしなくて」
「ええ。というよりも元々その答えが聞きたくていったのでしょう」
藍は首をかしげる
「どういうことですか?」
「フフッそのうち分かるわ。さて天日の話じゃそろそろ流れ着くはずね。藍、私達も準備しましょう」
紫は扇子を太陽にかざしながら告げる。
「今回のお祭りを」
「ところで紫様。天日様が屋敷の前に置いたものなのですけど」
「ん?ああこれね」
「その車輪のついてあるのは一体」
「これは外の世界の乗り物でバイクというものよ」
「外の世界は変わった乗り物が多いのですね。ですが外の世界の物のわりには幻想的ですね」
「持ち込む時は必ず外の物という関連を無くす。ここでの条件は忘れていないみたいね」
「弱体化してるとはいえ能力はいまだ健在というところですか」
「フフッこの幻想郷には不釣り合いなものね。まっ預かっておくことにするわ」
バイクはスキマの中に消えていった。
「ところで紫様。天日様が言っていた『ぱわはら』とは何でしょうか?」
「…良い教育って意味よ。外の世界の人間がよく口にする言葉ね」
「なるほど、外の世界の言葉を理解できるとは流石紫様です」