東方漫遊記   作:MCS

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2-1話 冥界にて

「いつまで落ちてればいいんだ......」

俺はまだ気色の悪い空間を落ち続けていた。

「彰も見当たらねぇし、どうすりゃいいんだ...」

彰も途中までは一緒に落ちていたが、突然声が聞こえなくなり、それ以降姿を見ていない。

 

「あのクソ女め...次に会ったらたっぷりお礼してやらないとな......」

あの女に復讐を誓うと、その時一筋の光が見えた。

「おお?」

それが俺にとって希望か絶望かは分からない、だがこの空間から抜け出せるのは確かだ。

 

「死にませんように......」

自分の身に危険が降りかからないように必死に懇願しながら、その光に向けて落ちていった

 

 

 

「..........!?」

気がつくと俺は水の中にいた、それも海や湖ではない池というぐらいに浅い。

「ブハッ!...ここは?...」

パニックになった頭を整理して、その池から這い出る。

 

「庭......?」

辺りを見回すとよく手入れされた木や、盆栽が置いてあった

「なんだ...?ここは金持ちの家かなんかか?」

番犬でもいてもおかしくはないと思い、警戒するがどうやらその気配はない。

 

「とりあえず、ここは早くとんずらこいた方が良さそうだな。」

「誰だ貴様は。」

「...へ?」

後ろから女性の声が聞こえ、思わず間抜けな声をあげてしまう。

 

「誰だと聞いている、答えろ。」

ここで答えなければ、背中に当たっている冷たく、鋭い何かが、俺の体を貫くだろう。まさか番犬より厄介そうなのに会ってしまうとは。

 

「俺...いや私はですね......」

「...どうした、早く答えろ。」

俺はほとんど筋肉で出来ている頭をフル回転させ、なんとかこの場を切り抜ける手を考えた。

 

(あ、そうだ。)

「早くしてくれ、私は夕食の準備で忙しいんだ。」

「いや、私はここのご主人に用がありまして....」

「...何だと?幽々子様に...?」

「そうそう!ユユコ様にね!ちょっとした用事なんですが、

も、もうびっくりしちゃいましたよ~」

 

この屋敷に使用人がいても何らおかしくはない。

だから嘘をつかせてもらったが、信じてくれ!

 

「.........」

カチャリと背中に当てられていた物をおろした。

俺はタイミングを見計らい、そーっと後ろに体ごと振り向いた。

(うわぁお...)

 

目に入ってきたのはカチューシャを着けた、銀髪の女の子、その風貌にそぐわぬ日本刀、あとなんか精○みたいなやつが

女の子の後ろをフヨフヨと漂っていた。

 

「......」

女の子は黙りこくったままだ。

俺もしかして地雷踏んじゃった?

 

「あ、あのー......」

俺が気まずくなって話しかけると

 

「申し訳ございませぇん!!!」

鼓膜がいい音をたてて割れそうな位の声で謝罪してきた。

おまけに泣き始めた。

 

「ひっぐ...、幽々子様の客人とは...えぐっ...知らなかったのですぅ...ごめんなさいぃ...」

 

(俺、こんな状況に遭ったことない、俺、対処困る)

有能そうだったのに、このポンコツっぷりを見て思わず片言になるぐらい同様したが、俺の頭の中では結論は出ていた。

 

(誰かに見られたらヤバいよね......)

だってこれ俺が泣かしたみたいじゃーん

というわけで早速機嫌を取ることにする。

 

「って...!」

「この魂魄妖夢!腹を切って詫びを......!」

「待て待て待て待て!」

妖夢と名乗った少女がジャパニーズハラキリを行おうといていたので全力で止める。こんなところで昔の日本を見たくはない。

 

「しかし......」

涙ながらに弱々しく声を発する女の子に刀をしまわせ、おだててみる。元気が出るかどうかは謎だがやるしかない。

 

「落ち着いて下さいって!ほら、傷だって無い!寧ろ主人の為尽力しているんですから素晴らしいですよ!よっ!従者の鑑!」

 

(と、とりあえず出来る限りおだててみたけど......)

女の子はまだ泣いてはいるが、顔をあげて

「ほんどですが...?」

「ほんとほんと!」

すると、女の子は袖で涙をグシグシと拭いてキリッとした顔で

 

「すいません、取り乱しました。幽々子様に用があるんですね、私についてきてください!」

どうやら効果抜群のようだ。俺はホッと胸を撫で下ろすが

(この娘が使用人って大丈夫かこの屋敷...)

 

そうして俺は現金なポンコツ少女の後について、屋敷の中へと入っていった。




ありがとうございました
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