審判の日   作:東海

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思い出その二

 荒廃した大地と廃墟となった建物が幾つも立ち並んでいた。そして、上空には厚く垂れ下がった曇天からチラチラと雪が舞い落ちる中、2つの人影が其々の目的の為に戦っていた。

 2人の中の片方は異形な姿をしていた。ボロボロの布を全身に覆いながらもその中身は金属のフレームで構成されており、両腕と両足は異常肥大化されており頭部の両眼は、赤く照らされていた。それと対峙しているのは、歴戦の兵士を沸騰させる様な容姿をしているが、元々は極東の島国である日本の芸能プロダクションの一つの346プロ所属のプロデューサ―であったが、今では此処の地域の解放軍の重要なメンバーの一人でもあった。

 

 「なかなか、骨が折れますね」

と独り言のように武内が呟くと、T-600型改から距離を一時的にとり、先程の攻撃で破壊させたAK-12をその場に破棄すると、後腰に備え付けていた大型軍用ナイフを右手に構え、体勢を低く屈めながらT-600型改の隙を窺いジリジリと距離を詰めつつあった。また左太腿に取付けてある切り札をいつでも取り出せるようにしつつあった。一方のT-600型の両眼高性能センサーを使いながらも、力技で目の前の目標を排除しようと行動を開始しようと肥大化させた両足に力を込めつつあった。

 

 そして、T-600は、自身の脚部から生み出された圧倒的な瞬発力を使い、一気に距離を縮め、肥大化した片腕を楯代わりにしながらもう一方の腕で槍のように伸ばして先はさながら鋭く尖った槍先の様だった。それは真っ直ぐに武内の命を消そうとした。然し武内も簡単にはやられなかった。ぎりぎりの距離までT-600の接触が来るまで此方から迎撃をせずにその場に留まっていると、あと数十センチの所で、鍛え上げられた瞬発力でT-600の肥大化加速化された拳をぎりぎりで避けると同時に延ばされていた腕部の関節部である肘の分に大型軍用ナイフを突き刺した。突き刺された第二関節部分は比較的脆かったようで幾つか小さな爆発を起こすと第二関節部分から、重力に従って崩れる様に落ちていった。

 「此れで、あと一つ潰せば、何とか離脱できそうですね」

というと、片方の目の前が真っ赤に染まるのを見ると、武内は片目の方に手をやり拭うと拭った手の掌が鮮血で真っ赤に染まっていた。

 「やはり只では無理でしたか」

と少しの間の油断が命取りに成ってしまった。次の瞬間武内は、胸に強い衝撃を感じると、後方に吹き飛ばされた。そして、運が悪い事に吹き飛ばせれた武内は崩れかけた壁に激突した。数秒なのか数分なのか分からないが、幾分か気を失ってしまった。武内にゆっくりと此方の方向に進むT-600型が歩を進めた。

 「うっ....」

と武内は小さくうめき声を漏らすと、ボンヤリとした視界の中、気が付くとゆっくりと身体を動かそうとすると、左肘と右足に鋭い痛みが走った。武内は歯を食いしばりその痛みの原因を見ようと視線を左肘と右足を見た。

 

 その現状に武内はあまり口に言葉を発した。

 「畜生。あまり時間をこれ以上時間と戦闘を掛けたくありませんね。此方もそろそろ体力の限界が来ますし、ある意味向こうが羨ましい」

と言った。今の武内の現状は、 誰から見ても酷いとしか言いようが無かった。左肘から下の腕のほぼ中間の辺り何本もの鉄骨が貫通していた。其処からまるで川の様に止め留めなく血が流れていた。右足は、左肘よりも酷くなっていた、右ひざから下が完全に変な方向に曲がっており、動かすことが完全に出来なくなっていた。余りにも絶望な状況だったが、たった一つだけ希望があるとしたら、左太腿にある物が最大の切り札であった。そして、T-600がゆっくりと、歩を進めながら、目の前まで来ると止まり、武内を見下ろすように両眼の赤く怪しく光るもので舐める様な視線をすると、残った腕を後に構え、手をナイフの様にすると、腕を撃ち出す態勢に入ろうとした。その僅かな溜めに入ったT-600の隙を突き武内は,唯一動かすことが出来る右腕を少しずつ動かし、左太腿にある其れに手を付け、それを発射した。

 

 『GM-94』それは、現在旧ロシア連邦地区及び周辺地域で使用される。比較的最新兵器に分類される単発式ポンプアクション擲弾筒である。口径43ミリの榴弾・対人榴弾・発煙弾・散弾・フレシェット弾・焼夷弾等を射撃できる。その代り射程距離は極めて短く有効射程距離は大体300メートル前後である。

 

 武内は、すかさず此れに予め装填されていた『対T用徹甲榴弾』をT-600の胸に向け引き金を引いた。その直後T-600の胸に拳大の穴が開き内部に幾つもの火花とバチバチという火花音が響くとT-600は、赤く光る両目が暗くなり動きを止めた。  

 

 

 

 

 

 

と思われたが、機能を停止したはずのT-600がいきなり両目をまた赤く光らせると残ったメタリックに鈍く輝く手で武内の右足を握り潰すように掴むとそのまま投げ飛ばした。投げ飛ばされた武内は、前身に激しい痛みを感じると、一時的に息が詰まり、気が遠くなる感じがした。しかしそれも長くは続かなかった。うっすらと視界がぼやけながらも目を開けると、視界にはメタリックに輝く手が見えた。次の瞬間右目に鋭く焼けるような痛みが走ったが、それになんとか耐えると左目でT-600を睨み付けるとそれに反応したのかT-600は残った手を再度手刀のようにし武内の頭蓋を叩き割ろうとした瞬間。

 

 

 パアァァァン

という音とともにT-600は今度こそ動きを止めた。

 

 武内は今度こそ気を失う瞬間に見たものはホバリング降下したヘリとその左兵員搭乗用ドアから此方を狙っている銀髪の少女とラベリング降下してくる見慣れた髪の長い女性だった。

 

 

 

 

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