「これで、終わりです」
アナスタシアは、ドラグノフに装備されたスコープ越しに映ったT-600型の頭部及び動力部がある胴体及び脚部に続け様に2.3発ずつ食らわせ、T-600型は殆どの機能を失い倒れこんだ。その後、アナスタシアは、素早くドラグノフの予備マガジンをリロードしながら、走り込み太もも付近に装備されたサイドアームであるMP-443を左手に持ちながら、倒れこんだT-600型の頭部に再度2.3発食らわせた後、『スカイネット』地下極秘研究施設の入り口がある巨大な穴の付近に近付き、ドラグノフを肩に掛けた後、近くにあった折れ曲がった鉄塔の足場付近に降下用ロープを括り付けた後、骨伝導マイク兼スピーカーを作動させて、
《此方吹雪1.只今から降下します》
と短く言った後、勢いを付け穴の中に飛び込んでいった。
暫くの自由降下の後、アナスタシアは、降下ロープをゆっくりと絞めていき、地下空間の途中で停止し、腰の方にある、個人戦闘パックから発煙筒を取り出し、其れを着火させ、落とした。発煙筒は周りを赤く照らしながら落ちていった。発煙筒の灯りを追う様にアナスタシアは、再度降下ロープを緩め降下して行った。
暫く落下した後、目標地点に降り立ったアナスタシアは、地上に連絡しようとしたが、連絡できず、仕方が無く一人で目標であるメインコンピューターの破壊を決行しようと足を進めようとした瞬間、降下ロープをつたい、10名程度が降り立った。その中のリーダーであるユーリ・ヴィクトロヴィチ・プルシェンコ元大佐が先頭に立ち、
「同志、こっちだ、ついて来い」
と手招きすると、アナスタシアを含む10数名引き連れて研究施設の最深部に進んでいった。
一方地上では
「くそ、下に降りて行った。連中が返ってくるまで死守しろ!」
と、トマーシュ・マサリク元中尉が声を張りあげ、周りの兵士を鼓舞しようとしたが、目の前に猛然と走ってきたT-600に気付かず,咄嗟に銃の構えることが出来ず、そのままT-600型の鋼鉄製の手刀を溝内にもろに受け、そのままその手刀は、意図も容易く彼の身体を貫通し、大量の出血をした。
「糞ったれの化け物め!」
と吐血しながらも、右手で貫通したT-600型の腕を掴みながら左手で左腰からトカレフを抜き、立て続けT-600の頭部や体に撃ったが、だんだんと睡魔が襲い掛かり、瞼を閉じていった。
そのような戦闘は一場面に過ぎず、其処彼処で彼の様な死に方をしたり、相打ちに持ち込んだ後、事切れた死体が屑鉄になった各種Tシリーズの合間に横たわっていった。
「くそ、此処もか!」
「撃て、撃て。撃ち続けろ!」
「同志。ここは我々が阻止します。先を急いでください!」
と一方の地下研究所の目標である地点に続く通路にも多数自動掃討システムと小型戦車型T-1 が張り巡らされており、その突破にアナスタシアの部隊は足止めを食らった。
ただ、向こう側の方が猛烈な弾幕を張りながらこちらに迫って来た。
「同志、此処は2つに分けた方が良いのでは」
「なら、同志アナスタシア。ここは我々が食い止める。あいつらを連れて先に進め!何としても、情報を本部に送るんだ!急げ」
「了解!」
と銃弾が飛び交う中で、大声で言葉を交わして言った。最後にユーリが、
「君は必ず生き残れ!」
と別働隊を引き連れて小走りになったアナスタシアの背中に声を掛けた。そして、彼は残った部下に、
「さあ,雪の精が悪しき者の巣に向かったぞ!我々は、絶対にここから先に奴らを進ませてはならん!我々人類の恐ろしさを奴らに刻んでやれ!行くぞォ!」
「「「「「「ウラー」」」」」
と雄叫び上げながら、個人が持つ様々な武器を構え、猛然と敵に突き進んでいった。
「ここは、研究所兼実験場のような場所ですね」
とアナスタシアは数名の部下と共に目的地を目指したが、途中で捕獲されたと思しき,鉄格子の中で生気を失って虚ろな目をした老若男女の集団に出くわした。
「同志、彼らは別働隊が救助するから、今は無視して進みましょう。此方です」
「分かりました。では先に進みましょう」
と、アナスタシアは少し不安げな表情を出したが、部下の後を追う様にドラグノフを構え通路を進んでいった。
すると、少し進むと一般的な教室程の空間が現れ、其処に多数の工作機械とTシリーズの生産状況等が表示されている大型画面が多数あり大半がそれによって占領されていた。
アナスタシアはこの光景に少し呆然としたが部下が、近くにあるパソコンにお手製のUSBを差し込みハッキングを掛けた。暫くすると、画面にある新型ターミネーターの設計図と概論が表示された。
『新型汎用人型潜入ターミネーター計画:T-800及び概論実証選考試作機T-RIP』
と表示された。
「やはり此処もアメリカと同じですね。また、ジョン・コナーの言うとおりになりましたね」
とアナスタシアはパソコン画面を覗き込むと呟いた。すると下からせり上がる様に幾つかの縦長水槽がアナスタシアと部下たちの前に現れた。
その中に、異形と化した元人間が容器の中に入っていた。
その容器の前に実験概要の立体映像と共に被検体の名前と実験結果がレポート方式で書かれていた。
試験者名簿
『篠ノ之 箒』
実験結果 死亡
実験概要 頭部に高性能マイクロチップの埋め込み。被験者は4時間後に死亡
『セシリア・オルコット』
実験結果 死亡
実験概要 頭部及び細胞内に培養増殖型マイクロコンピュータの移植 被験者細胞異常により死亡
『凰 鈴音(ファン リンイン)』
実験結果 死亡
実験概要 腹部及び背部を機械化。被験者の免疫機能の低下後死亡。
『シャルロット・デュノア』
実験結果 死亡
実験概要 細胞内に細胞変種増殖型ナノマシーンの注入後、細胞変種化作業完了後、被験者の精神異常による狂暴化の為処理。
『ラウラ・ボーデヴィッヒ』
実験結果 死亡
実験概要 眼球及び脳内に軍用ナノマシーン及び細胞変種増殖型ナノマシーンの注入後、脳内にアドレナリンの大量発生による精神異常があった為処理。
『沙慈・クロスロード(さじ・クロスロード)』
実験結果 死亡
実験概要 脊髄内に細胞変種型マイクロマシーンの注入後、脊髄変化中に被験者が逃亡研究施設内で処理。
他被験者120名中1名生存。
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