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今回は長いです。
深い暗闇と分厚い雲から断続的に激しい雨を降り続き、周りの視界を遮っていた。そんな中、ごく低空で縫うようにKa-50の2基のクリーモフ製TV3-117VMA ターボシャフトとMi-8 の2基のクリーモフTV2-117A(ru) ターボシャフトが奏でる独特の音響と夜間識別用信号灯が辺りを薄く照らした。2機のヘリには各1名ずつ操縦桿等を絶妙なコントロール技術で操縦しており頭部装着改良型PN25K / PN38K型暗視装置と軍用ヘッドセットを併用して使用しながら、アンガラ川上流の旧水力発電所現人類抵抗軍バイカル支部に向かって行った。
「美波、さっきは助かりました。ありがとう御座います」
「いいえ、でも私貴方しか救えなかった」
「余り自分を責めないで美波。私も他の生存者を探したかったけど、時間が無かった、それだけの事」
とヘッドセットのプライベートチャンネルで会話するアナスタシアと新田美波の間に少し気まずい空気があったが、美波が、
「駄目ね、私こんな空気にしたらプロデューサーに怒られちゃう」
「ふふふ、そうですね。怒られちゃいますね、向こうに着いたらまた、面会しないといけないですね。それにしても美波もプロデューサーもとってもロシア語上手くなりましたね、驚きました。あと、何時からヘリの操縦を習ったのですか?」
「ヘリの免許は日本で取ったのよ。軽飛行機の免許も一緒にね。結構難しかったけど、まさかこんな時に役に立つなんておもってもみなかったけど」
と、美波は苦笑気味に笑った。
「そういえば、アーニャちゃんは何処でそんな技術を?」
「はい、昔パパに教えて貰いました。パパに色んな事を教えて貰いました。サバイバルの為必要な技術とか、各種銃火器の扱い方とか、星の位置で自分の場所を見つける事とか」
「へえ、いろいろ教えて貰ったのね」
「あ、そろそろ着く頃だね。アーニャちゃん。周辺警戒お願いね」
「分かりました美波」
と周辺を警戒しながら、2機のヘリはゆっくりと基地に向かって着陸態勢に入った。
『此方、ястреб。コードと姓名を述べよ』
「此方、吹雪1.アナスタシア・桜咲・ニコラエヴナです。着陸許可を頼みます」
「同じく、ライカ01.新田美波です。着陸許可をお願いします」
『了解。暫く待て、確認する。了解。着陸を許可する。飛行パターンA3で進入せよ』
「解かりました」
「了解しました」
その後ゆっくりと2機のヘリはヘリ・航空機発着場に着陸し、すぐにメイン・サブローターを素早く停止させ、仲間の整備員と共にヘリを格納庫に戻した。その足で2人はすぐさま司令室がある地下に走るエレベーターに乗った。
その後エレベーターが目的の階で停まると2人は別々の方向に別れた。別れる前に
「アーニャちゃん。これが終わったら、何時もの所で飲みましょう」
「はい、ラビットハウスですね。楽しみです」
「じゃあ頑張って」
「美波もまた後で」
と言いながら2人は別れた。
「失礼します。只今アナスタシア帰還しました」
「ああ、開いているから入って良い」
とガチャリとドアを開けたアナスタシアを待っていたのは3人程の男性だった。
「同志、ご苦労様。大変だったな。良く帰還した」
とアナスタシアを労いながら握手をした左目の上から頬にかけて大きな傷跡を持つ、『ロシアの荒熊』と呼称されるセルゲイ・スミルノフ元ロシア陸軍少将であり、人望が厚く、風聞を信じず、自分で見聞きしたものしか信用をしない主義である人物であった
「で、同志、例の物を早く此方に渡せ」
と、ふてぶてしい態度で手を出した男性が、アーサー・グッドマン元ロシア空軍中将であり、金髪肥満体の中年男性で、傲慢であり、部下の人望は低く、己の保身が一番という男性であり、民間人や軍人の人間がどれ程犠牲になろうとも厭わない冷酷な性格で、無能な部下にも容赦が無い作戦立案をすることで有名であった。
「まあまあ、アーサー、仲間が無事帰ってきて早々そうやって労う事をせずに要求するのはどうかと思うよ」
と最後の男性が口を開いた。彼の名は、クラウス・グラード元民間人だったが、機械との初期戦争時に多数の民間人を集め此処の前身を作り上げた人物であった。赤いジャケットがトレードマークの恰幅の良い人物である。
「チッ、だから部下に舐められるだぞ、クラウスせっかく精鋭30人を使って情報を回収しようとしたら、僅か2人しか帰還出来なかったんだぞ!しかもこんな小娘n」
「いい加減にしろ!2人も帰還出来たのだぞ。其処は喜ぶところだろ!」
「なんだと!このy...」
「2人ともいい加減に口を慎め!」
と口喧嘩を始めた2人をセルゲイが怒声を以て強制終了させた。そしてアナスタシアに向けて
「申し訳ない。折角疲れた体と心に鞭打って此方に来て戴いたのにこんなふうに口喧嘩をしてしまい本当に申し訳ない」
と言うとアナスタシアの目を見た後、姿勢を正して最敬礼を以て謝罪をした。
「いえ、大丈夫です。後これが例の施設に侵入した際に入手した情報が入ったUSBです」
とアナスタシアは上着の胸ポケットに入れてあったUSBメモリーをセルゲイに渡した。
「良くぞ持ち帰ってくれた。これで5日後の反攻作戦が実行できる」
「5日後に反攻作戦ですか」
とアナスタシアが疑問を口にしたら、グットマンがふてぶてしい態度で
「ああ、しょせん機械だ。電源をOFFにすればすぐにこの戦争は終わる。まあ、いくらかの犠牲は出るが、それは仕方が無い事だ。5日後マガダンと他の沿海州と同時攻撃で極東ロシア地域決着をつける。その為の前段階の作戦だったんだ。今回の作戦は」
とふてぶてしい態度を取りながら、
そっぽを向き、別のドアから出て行った。
「それに我々も時間が無いのだ。スカイネットのキルリストには、我々の他に70名が載っている。君はリストの2人目だ。しかもそれは、我々が保有している数少ない潜水艦。今回の作戦で使用するアルファ級原潜20番艦K-583の乗組員全員の名に一致する。君は別の欄だったがな」
「2人目ですか。では一人目は?」
「民間人だ。名前はセツナ・サクラザキと書いてあったな」
「!!!!」
「うん、どうしたんだ?」
「いえ大丈夫です」
「そうか、ではゆっくり休め」
「分かりました。失礼します」
と言いながら内心は、とても驚愕したアナスタシアは部屋から出て行った。
部屋から出たアナスタシアは誰にも聞かれずに小声で
「私のママ….」
と呟くと、その思いを頭の片隅に一旦置いてエレベーターでここでの唯一の喫茶店兼酒保である『ラビットハウス』がある階のボタンを押した。
暫くすると、チンと言う心地よいベルが鳴り、扉が開き、暫く通路を歩き、月当たりのドアがあり、ドアノブに『открытие(開店)』と可愛らしいウサギが描かれた手作りらしい吊り板が取っ手に吊り下がっていた。
ドアノブをゆっくり回して扉を開くと小さな2つのベルが可愛らしく鳴り響いた。
優しいロシア民謡がBGMとして部屋の中に響いて、何人かの男女がお酒を嗜み、店員とおしゃべりしたり、隅の方に設けてある喫煙場で男女が其々、葉巻き、紙巻きたばこ、パイプ喫煙、水タバコ、煙管喫煙等の紫煙を燻らせていた。
「「「「いらっしゃいませ。ラビットハウスにようこそ」」」」
と可愛らしい服装を着た店員達が威勢のいい声でアナスタシアを出迎えた。
「アーニャちゃん、こっち、こっち」
とバーカウンターで片手を小さく振った美波が手招きをし、アナスタシアは、美波の隣に座った。
「お久しぶりですね。アナスタシアさん」
とカウンターのマスターが気さくに挨拶すると、バーカウンターの下に備え付けてある冷蔵庫からナッツ類のおつまみを取り出し、アナスタシアの前に置くと
「いつでもご注文を下さいね」
と優しく微笑むとコップを拭き始めた。
「そういえば、アーニャちゃんの本名初めて聞いたわ。だってアイドルの時には、本名聞いた事無かったから、ビックリしちゃった」
「そういえば、そうですね。アイドルの時は、プロデューサーには、本名を伝えたのですが、色々あって略名と愛称のみにしてもらいました」
「そうなんだ。あ、マスター。簡単に何か作って貰えますか?私お腹空いて、後飲み物も一緒にお願いできますか?アーニャちゃんはどうする?」
「では、美波と同じものをお願いできますか」
「かしこまりました」
とマスターが軽くおじきすると、厨房の方に消えていった。すると半分の花の形の髪飾りがトレードマークの女の子が美波とアナスタシアの間から声を掛けた。
「お久しぶりですね。美波さんアナスタシアさん」
「あ、ココアちゃん。お久しぶり」
「今日はココア」
この少女の名は、『保登 心愛(ほと ここあ)』と言い、この喫茶店兼酒保の店員の一人で前にここの前身の組織に助けられた生存者の一人である。此処の喫茶店で働く殆どがそうやって助けられた人達であった。しかしながら、それでも助けられなかった人の方が圧倒的に多く、現にカウンターの酒類の置いてあるところの横に何枚かの写真が飾られその前にこの中で栽培されたいくつかの花が水の入ったコップに供えてあった。
「今日ね。久しぶりに代用コーヒーを淹れてみたら、結構うまく出来たんだよ。後で飲んでみて」
と笑うと、客に呼ばれたのか接客しに行った。
「まったくココアさんは….」
と肩をすくめた。小柄な髪の左右にヘアピンを×印状に付けている少女が頭にモフモフとした白いウサギのぬいぐるみを頭に乗せた格好で美波の隣の椅子に腰かけて話しかけた。
「あ、チノちゃん。久しぶり」
「お久しぶりです。美波さん、なんか大変だったみたいですね」
「全然大変じゃなかったわよ。アーニャちゃんの方がもっと大変だったみたい」
「そんなに大変ではありませんでした。チノの方が大変そうですね」
「私は、そんなに大変じゃありません。まあ、おっちょこちょいのお姉ちゃんを見てないと何するかわかりません」
「ふふふ、ココアちゃんの事お姉ちゃんだって。ココアちゃんに言って良い?」
「駄目です」
「可愛いですね。チノは」
と朗らかな空気の中ふと、チノがカウンターに供えてあった写真を見ると
「私がちゃんとしないと、みんなに笑われてしまいます」
と小声で言うと席を立ち接客の方に向かって行った。
休息其の2に続きます。