それと、タグを追加しました。イリア編をやるにあたって必要かなと
シルクはルクスにリーズシャルテが新王国のお姫様だということを聞き驚いていた。
それよりも、シルクにとってはこの後にある決闘の方が問題だった。なにせ、ルクスが負けると自分まで牢獄行きなのだ。心配でしょうがない。
(ルクスが負けるとは思っていないが………心配だ)
シルクとルクスは公式模擬戦で一度だけ戦ったことがある。だからわかるがルクスの防御力は桁違いに高い。『無敗の剣聖』と言われているシルクの剣技から、ギリギリ凌ぎきったのだ。
(祈っとくしかないかな……)
と、妹のイリアを起こしながら考えていた。
「あ、そうだ。ルクスくん、シルクくん。決闘前に、ちょっと寄って欲しい場所があるの」
「え?どこですか」
「すぐ近くの応援室よ。あなたの妹さんがそこで待っているのよ」
「「…………え?」」
今まで気にしていなかったが、ルクスの妹が待っている、と聞きシルクも驚きの声を上げた。
だって、ルクスの妹って言ったらーーーー
♢
「もう、兄さんは何をやっているんですか?呆れました。それと、シルクさんはお久しぶりです」
学園の来客用応援室。
そこには、ルクスの妹。アイリ・アーカディアと、昨日装甲機竜で襲ってきた二人の内の一人がいた。
「お、お久しぶり、アイリちゃん」
アイリとは、クーデターを起こすまえ、ルクスが病気の妹がいると聞いて、お見舞いに行ったとき、知り合った女の子だ。
そして、シルクとルクスが無茶なことをするといつも説教をしていた。口が強く、ルクスもシルクも一度も勝てたことがない。
(今でも勝てる気はしないが……)
しっかり者の良い子なのだが、ちょっと苦手だったりする。
「それと、イリアは何やっているんですか?シルクさんの腕に抱きついたりして……まあ、あなたの気持ちはわからないでもないですが、場所を考えてください。それに、こういうのは兄であるシルクさんが言うことではないですか?」
ほら、いきなり説教来ました。
「い、いや、そう言ったんだが離れてくれなくてな」
「シルクさんはイリアに甘過ぎます。もっと厳しくしないと、イリアがダメになりますよ?」
「あ……うっ………そ、それより今は決闘のことだろ?ほらルクス!お前ちゃんと妹さんと話せよ!」
これ以上アイリと話していてもこっちがボロクソ言われるだけなので、ルクスへ話の方向を変えた。突然話を振られたルクスは慌てて、こっちを恨めしそうに睨んでいた。
(許せ、ルクスよ)
「話を変えましたね。ま、いいです。このことは後でみっちり話しましょう。………その前に紹介しておきます。彼女は女子寮での私の同居人です。名前はーーお願いできますか?」
「Yes.一年のノクト・リーフレット……と、申します。昨晩は失礼を致しました」
物静かな女の子だ。どうやら、この子にはルクスも襲われたようだ。それから、ルクスとノクトは少し楽しそうに話していた。
「あの、二人で楽しそうにお話ししているところ、申し訳ありませんが。今、兄さんのせいで、それどころではないんです」
(あ、ルクス、これはアイリちゃんとグチグチと言われるな)
予想通りルクスは、アイリにグチグチと言われた。その際、シルクにも話がいき、二人一緒にグチグチ言われるのだった。
イリヤのことだが、アイリに言われてもシルクの腕を離すことはなかった。
そうしてる間に、時間が迫っていて、ルクスは機攻殻剣を手に、決闘の地えと向かった。
♢
「あれ?アイリちゃん、中に入らないの?」
もうすぐ模擬戦が始まろうとしているなか、シルクたちは学園内にある装甲機攻の演習場の前まで来ていた。来ているのだが、なぜかアイリとノクトが入ろうとしない。その理由を聞くと、
「はい。私たちは人を待っていますから」
「人?」
「Yes.お友達です」
「シルクさんと、イリアは先に入っといてください」
イリアはまだシルクの腕に抱きついたままだ。もう、左腕が疲れてきた。
「アイリが行かないなら私もまだ行かない」
イリアはアイリにそう返す。
「ですが……」
アイリはシルクの顔を見ながら少し困ったような表情をする。
「俺のことなら気にしなくていい……というより今行っても知らない子しかいないからかなり気まずい。だから俺としてはアイリちゃんたちと一緒のほうが助かる」
苦笑いになるシルクを見て、アイリもノクトも同じように苦笑する。
ドウンッ!
演習場から爆発音が聞こえてくる。どうやら模擬戦がはじまったようだ。
すると、腕に抱きついているイリアが、服をちょんちょんと引っ張った。
「ん?どうしたの」
「心配?」
イリアは演習場を見ていたシルクの様子に気づき、声をかけてきたようだ。
「そりゃ、心配だよ。学園長室でも言ったけど、この模擬戦に俺の人生がかかっているからな」
イリアは「そうだね」とだけ言い、シルクに体重を預けた。
「私はもう、お兄ちゃんと絶対に離れたくない。次こそは寂しくて死んじゃうかもしれない」
冗談を言っているようにも聞こえるが、イリアの目は本気だった。
「でも大丈夫。お兄ちゃんがいなくなるときは、この学園をやめて付いて行くから」
「待て待て。何で学園やめてまで付いて来る。っというより、ルクスが負ける前提で話を進めるな」
冗談ではすまないことを平然と言うイリアの頭をなでて、落ち着かせる。目を細めて気持ち良さそうに、もっと撫でて、と言わんばかりに頭を差し出す。つい可愛くて要望通り撫でてしまう。それを見ていたアイリが、
「ほら!そうやって甘やかすからダメなんですよ!」
「うっ……いや、だって、可愛いから…つい」
「つい……じゃありません!甘えるイリアもですが、まずシルクさんのその甘やかしを治さないといけませんね」
あまりの迫力に二人とも少し後ろに下がってしまった。
まだまだ続きそうなアイリの説教を止める声があった。
それはーーー
「アイリ、二人がきました」
ノクトである。
今、こっちに走ってきている二人がそうだろう。
「なんだノクト、まだ待っててくれたのか、それに君は妹のーー」
「シャリス先輩気にしないで下さいね。今回の件は兄さんの自業自得です。単純バカなんです。お人好しで半端な正義感なんて持っているから……いつも余計な事件に巻き込まれるんですよ」
そう言いながらアイリは頬を膨らませた。
「……意外に面白い子だな、君は……それと、君も確か昨晩の……」
シャリスと呼ばれた先輩が、シルクの方をむく。
「自己紹介がまだでしたね。シルク・グランフェルトと言います。昨夜はすみません」
「いや、こちらこそ勘違いしたまま君を攻撃してしまった。申し訳ない。それと、私は三年のシャリス・バルトシフトだ。よろしく頼む。………それにしても君の腕に引っ付いている女の子はだれだい?」
「私はティルファー。よろしくねシルクくん。それと、私も気になってたよ。もしかしてもう誰かを堕としたの?」
ティルファーと名乗った少女は、二人を見るなり笑みを浮かべそう言った。
「いえ、違いますよ。妹です。……ほら、自分で自己紹介しな」
自分で自己紹介するようイリアを促した。
「私はお兄ちゃんの妹で、イリア・グランフェルトと言います。よろしくお願いします、シャリス先輩、ティルファー先輩」
しっかり自己紹介したことに、シルクはイリアの頭を撫でる。すると、今回は頭を出すのではなく、抱きついてきた。
そんな様子を見ていた他のみんなはーー
「あれは本当に兄妹なのか?」
「うん。あれはもう、なんて言うか恋人同士みたい」
「Yes.私もそう思います」
「まったく、シルクさんは……」
皆それぞれの反応をしていた。
「みんなどうしたんですか?……それより早く模擬戦見に行きましょう」
模擬戦。その言葉にみんなも演習場を捉え、
「ああ、そうだな、早く行こう」
シャリス先輩がそう言うと、みんな演習場に入っていった。