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「あれ?君……コイツが見えてるの?」
とりあえず、確認を取ってみると、少女ははっきり見えてるよと答えた。
ひとまず、駅前のベンチに俺は座る。
「コイツはベリタスって言うんだ。俺のペット」
『違うからな?せめて相棒って言ってくれよ?』
と、そんなやりとりをしていると、少女が不思議そうにこちらを見ていた。
俺なんかおかしな事言ったかな?
「いや、自分のことを俺って言うのはなかなか変わってるなぁって」
「そりゃあ男だからね俺は」
「…………え?」
『だからさっき今のお前は女に見えるって言っただろうが』
呆れたような声を出すベリタスをジロリと見てから、俺はいまだに驚いた顔をしている少女にどう反応しようかと迷い、困ったような表情を作りながら。
「そんなに俺って言うの違和感ある?」
と尋ねた。
すると、少女は取り繕うように両手を振りながら答える。
「いや、僕も女の子だけど自分のこと《僕》っていうから構わないんじゃあないかなっ?」
いや、女の子の君が自分の事僕って言うのは珍しいけど、俺の場合女に見えるだけの男が自分のこと俺って言ってるだけなんだがねぇ。
てか今口調も少し変えた?無理しなくて良いんだよ?
「うん、これでよし」
と、俺は前の世界で宝条まゆから貰った白いリボンで髪を纏めた。
「うん、まぁそれなら男の子に見えるかも知れないね」
見える《かも知れない》なんだ。
「ま、まあこの話は終わりにしようぜ?そういや、まだ言ってなかったよな?俺は神無討也だ」
「あ、僕は佐々木だよ」
ふぅん。
『ちょっとだけ良いか?』
お互い、自己紹介したところで、ベリタスが俺に話しかけてくる。
俺の耳の横まで移動したベリタスは佐々木に聞こえないくらいの声で言った。
『コイツ、この世界では物語の終盤に登場するぞ』
へぇ?つまり佐々木という少女は重要人物ということか。
それから、この世界の原作名を俺に教えようとするベリタスにストップをかけた。
そういうのは他人に教えられてしまうとつまらない。
「あー、ベリタスの事を簡単に説明するとだな…」
それから、俺達が異世界から来たということなどを俺達は佐々木に教えた。
「へぇ……面白いね、異世界かぁ見てみたい、というか行ってみたいね」
『行くのは無理だろうが、オレの記憶を見せてやることなら出来るぞ?』
え?そんなこと出来るの?
「本当に!?」
あ、なんか知らないけど食いついてきた。
『なんなら見せてやろうか?とは言っても数千年分の記憶だ。要所要所をピックアップしても相当時間かかるが』
ベリタスの提案に、佐々木が勢いよく頷く。
それから、ふと何かに気付いたように、首を傾げて佐々木は言った。
「さっきの、えっと……討也さんの話だと、この世界に来たのって今さっきなんだよね?」
まあ、そうだな、大して、というか数時間しか経過してない。
「その……どこに住んでるんだい?それに…異世界人なら戸籍とかだって…」
戸籍……はどうなんだろう?
『あ、アドレナクが偽装しとくって言ってた』
……まぁそんな事だろうと思ってたけどね。
「アドレナク?」
「俺達をこの世界に送り込んだ奴の名前だよ」
とは言え、アドレナクの事については自称神である事と、俺に三番目の特典を渡せるほどとんでもない奴だということ以外詳しく知っているわけでも無いため、佐々木に説明するのはやめておいた。
それから、俺達は今住んでいる家の場所を教えたのだが…。
「ええと、僕昨日その場所通ったけど……空き地だったよ?」
と佐々木は教えてくれた。
とはいえ、俺的にはアドレナクならそれくらいのことは当然できて当たり前という認識なので、別段驚くことはない。
まぁせいぜいが「ふぅん、そうだったんだー」程度である。
コレ、この世界の基準で考えたら相当狂った感覚なのだろう。
とはいえ、俺も二つ目の特典を使えばその程度は難しくない事を思い出した。どうやら、狂っているのは感覚だけでは無いようだ。
それから、どうしても信じられないと佐々木がいうので、実際に家を見せてやることにした。
「本当に有るなんて…」
家についた佐々木は唖然としてその三階建ての家を見上げた。
『ここでなら、記憶を見せるのにも人目を気にする必要はないな』
人目を気にするようなことなのか?記憶を見せるのって。
『記憶見せてる間は佐々木は夢を見てるのと似たような状態になるだろうからな、その上普通の人間に俺は見えない。外でするわけにもいかないだろう?』
なるほどねぇ。
「見えるのに触れないってのも不思議だね。魂だけの存在って説明されてもいまいちピンと来ないけどなぁ……」
佐々木の話を聞いた限りだと、この世界は俺が生前暮らしていた世界と大して変わらない事がわかった。
魔法とか、超能力とか、錬金術とか、そういう異能の類は存在しないとか。
「だとすると余計にこの特典が分らねぇな」
異能とかが無いなら明らかにこの特典は強すぎるだろう。
『ワハハ、悩め悩めぇ!』
既にこの世界の原作に気づいているベリタスは、まだ気付いていない俺をおちょくってくる。
うーん。三番目の特典の効果をコイツ相手に試してみるのも面白いかも知れないね。
『遊び感覚でそんな物を人に使おうとするな』
遊び感覚じゃない。1%の興味と、2%のストレスと、3%の遊び心と、94%の悪意をぶつけるだけだ。
『悪意率高すぎだろ』
「さっきから言ってる特典ていうのは、つまり超能力みたいなものなのかな?」
「まぁ、呼び名はともかくそんなようなものかな」
『オレに言わせれば、お前の特典は超能力なんて言葉で表現するには些か強すぎる気がするけどな』
家の中に入って、リビングに佐々木を案内しながら、そんな会話をする。
が、客人である佐々木にお茶でも出そうかと冷蔵庫を開けてみると、見事に空っぽだった。その上食器も一人分しかない。ということは、当然コップも一つしかない。
そのことを伝えると、佐々木の提案で外に行くことになった。
良い機会なので、このあたりの店とかを佐々木に一通り教えてもらい、そのお礼に俺がファミレスで何でも好きな物を頼んで良いと言ったため、現在はファミレスに場所を移している。
現在の時刻は、12:00を少し過ぎたところである。
と、時間を確認してから少し気になった事を俺は佐々木に聞いてみた。
「そういえば、佐々木はなんであんな早い時間に外にいたんだ?普通今の時間だと学校だろう?」
すると、佐々木は言いにくそうに目をフイッと逸らしてから。
「いや、そのね……今日は創立記念日で学校が休みだったようなんだよ」
あっ(察し)…。
『なるほど、それを知らずに学校言ったら誰も居なかったんだな?』
うわ、コイツ言いやがった。
「そ、それより注文しようよ!」
恥ずかしいのか、露骨に話題を逸らした佐々木が店員を呼ぶためのボタンを押す。
「ご注文はお決まりでしょうか?」と言いながらこちらに来た店員に、佐々木が注文しているのを聞きながら、俺もメニュー表を開く。
「お客様はいかがなさいますか?」
「あ、このページの全部とドリンクバー2人分で」
ヒクリと、店員の笑顔が引きつったのを無視する。
「カ、カシコマリマシタ…」
そのままの引きつった笑顔のまま奥へ消えていく店員を見送って視線を正面へ戻すと、佐々木の笑顔も心なしぎこちなかった。
おいおいコレじゃあまるで俺がおかしいみたいじゃあないか?
「自覚無かったんだ…」
『ネタでやってんのかと思った』
いや、だってロードラの世界にいたときには自分よりも大きなドラゴン狩り倒して、その肉食ったりしてたじゃないか?それを俺とまゆとよりしろで食ったんだぜ?まぁ毎回全部食べた訳じゃあないし、どうしても食べれない部位だってあったけどよ。
『そう言われてみると確かにそうだな』
「ええと、討也さんが前いた世界の人たちってみんな大食いなの?」
『街を拠点にしてたわけじゃあ無いから、三食決まった時間に食べれるわけじゃあ無かったんだよ。それに多分この世界に住んでる人間とは運動量が違うだろうからな』
ちなみに俺より食う奴とも会ったことがある。一人でドラゴン数体を生でもぐもぐする奴に心当たりがある。
「なんかその話だけでもこの世界とはだいぶ事情が違うのが分かるね」
確かに、事情は違う。この世界ではドラゴンとか出てくる事は無いんだし、前の世界ほど食うことは無くなるかも知れないな。
「まぁ、それより飲み物先に持って来いよ佐々木。あんまり話してると料理が届いちゃうぜ?」
「いや、討也さんのはまだ当分こないと思うよ?」
何て言いながら、飲み物を取りに行く佐々木を見送り、俺はさっと店内に視線をやった。俺たち以外は、小さな子供がいる家族連れと、軽食を頼んでパソコンと睨めっこしてる男性が一人いるだけである。はっきり言って平日のこの時間だ混んでる方がおかしい。
が、そんなことを知りたいんじゃあない。
『コイツ等じゃあねぇよ』
俺が周りを気にしたのに気付いてか、ベリタスがそう言う。
「三人か?流石に位置までは分らねぇな」
先ほど、佐々木と出会ったあたりから視線を感じていたのである。佐々木がどこぞの名家のお嬢様という線も考えたが、身のこなし、言葉使い、雰囲気などから考えるとまぁそこそこの一般家庭の子だろうと言うのが俺の推察。つまり、誘拐目的で佐々木をつけてたとかそういわけでは無い。
とは言え、では佐々木普通の人間かと問われれば、ベリタスが見えているあたり、そうではない。むしろ特別な人間側だろう。
となると、この世界に超能力とかが存在するなら、佐々木は無自覚よの超能力者である可能性がある。
佐々木の話では、この世界に異能の類は存在しない。つまり、少なくとも表立って一般人には知られていない。ならば、超能力と関わりのある奴らが佐々木に目を付けていて、佐々木はそのことに気付いてない可能性はある。
せめてここがどこの世界か分かればこっちを見てる奴の正体とかも分かるかも知れないんだけどねぇ。
『まぁ放って置いても佐々木に危険はねぇよ、むしろ狙われるならお前だろうが……そうだとしても問題は無いだろうし』
大抵の奴なら返り討ちに出来るだろうからね?それにしても原作に気付いてるベリタスは相手の正体もわかってるみたいだな。早めに原作のヒント掴まないと。
『あ、こっち、というお前を監視してる奴らな、向かいの郵便局の黒いワンボックス』
コイツ自分に向けられてるわけでもない視線の発生源特定しやがった。コワ。
何て考えながら、ベリタスの言う方に視線を向けると、確かに向かいの郵便局の駐車場に黒い車がエンジンをかけたまま停車していた。
視線だけでなく顔ごと向けると、慌てたように発進していった。
マジだったよ。相変わらず相棒の索敵能力がどうかしてる。
車が発進してからしばらくすると、佐々木が戻って来た。
うーん?何かまだ視線を感じる気がするが……別に良いかな。
「そういえば、討也さん何歳なの?」
ミニトマトをもぐもぐしながら佐々木が聞いてくるが、あいにく俺は自分の年齢を細かく数えるのをやめていたので、「数千歳」と答えた。
もう一つのミニトマトにフォークを刺そうとしていたが、それを盛大に滑らせた佐々木が、「え?」と信じられない物を見るような視線を俺に向ける。
『正確には六千と四十二歳だなロードラの世界で生きてた時間は』
てことは生前も会わせるとトータルで6058歳か。
「……生前?」
と、佐々木が手の動きを止めたので、俺は、俺が転生者なんて者になった経緯を佐々木にわかりやすく教えてやった。
あのー、ところで俺の料理いつ来るんですかね?
「何というのか……すごい人生を送ってきたんだね」
人生ていうか人外ライフかな?
俺の料理も来たので、それを食べながら、俺たちはいろいろな雑談をした。
「でもさ、まさか戸籍にまで六千歳で登録されてるわけ無いよね?」
言われてみればそうだな、と、俺は財布を出して保険証を探してみる。
「やっぱり16歳だな」
「あ、転生者になる前は16歳まで生きてたんだもんね」
『お前の能力使って今のうちに佐々木と同じ年齢にしとけ』
ハ?何故?
「え?そんなこと出来るの?」
「まぁ出来るけど……ベリタス、なんでだ?」
『まぁ、良いから、そうしとけ。中学通えとまでは言わねぇからよ』
……原作がなんか関連してるなコレは。原作に気づいているコイツが言うならそうするか。
「佐々木ちゃん何歳?」
「13」
中一か。
確認を取ってから、俺は三番目の特典で俺の年齢を13歳にしておく。
「討也さん学校とかどうするの?」
え?面倒だから行く気は無いかな。
「まぁそう言わずにせっかくなんだから中学生からやり直して……あっ今の討也さんの見た目だと中学生は無理かぁ」
『姿なんてどうにでもなるぞコイツは?』
姿を変えるアクティブスキル、《メタルモフォーゼ》なんてものを前の世界にいるときから俺は使うことが出来る。ベリタスの言うとおり、姿はどうにでもなるのだ。
「なら大丈夫だね」
「待って、なんで俺が学校行くことになった?」
『いや、俺からも行くことをオススメしとくぜ?』
「うんうん」
えー。学校とかかったるい~。
「なんか不登校児が言いそうな台詞だね」
ふぅむ、しかしよく考えてみると佐々木が原作に関わりがあるのが分かったんだから、佐々木側から物語に関わっていけば良いような気がするなぁ。何も主人公側として原作に参加する必要はないし。や、まだ佐々木が主人公側じゃないかすらわからないのだけれど。
ま、どうせする事もないし行っておくか学校。
「じゃあ僕の学校だね」
そうなるかな。クラスとかは三番目の特典使って転校生としてでもねじ込めば良いか。よし、そうしよう。
「いやぁ、異世界の人が普通に中学に通って、しかも僕だけがその事を知ってるっていうのはなかなか出来ない体験だよ」
『確かに、普通なら有り得ないよな』
佐々木が今の状況を楽しんでるような気がするなぁ…。別に良いけどね。
「とは言っても明日は土曜日で、週明けからゴールデンウイークだからね、実際討也さんが学校に来るのは来週の金曜日からだね」
ああ、ゴールデンウイークか、俺の生前の世界にもあったなぁそんなの。当然、ロードラの世界にそんな物は無かったが。
と、そんな会話をしていると、店に一人の少女が入ってきた。
「なんかゴールデンウイークはお父さんもお母さんも忙しくてさ、僕は………討也さん?」
俺が、店の入り口を見ているのに気づいてか、佐々木がそちらを振り返る。
「討也さん、もしかしてロリコン?確かにあの子可愛いけど、そんなにじーっと見るなんて…」
いや、別に幼女が好きなんてキャラクターは俺持ち合わせてないぜ?
俺がその少女……というより幼女の方を見ているのは、そういう理由ではない。彼女が左手に逆手に持っている物が一番の理由である。
ベリタスもそれに気付いたようだ。
『佐々木、お前みたいな事情があるならともかく、平日に、しかも一人であの年齢の子がこんな所に来るか普通?』
言われて、佐々木も気付いたらしい。再び、幼女の方へと視線を向けて……左手に持っている物にも気がついた。
「!?…あれっ……本物!?」
さぁ?
幼女が左手に持っていたのは、自分の身長程は刃渡りあろうかという日本刀である。
佐々木が他の人にその事を知らせようとするのを、俺は止めた。
「まあまあ、焦るなよ」
店員は奥に引っ込んでいて、他の二組の客は俺たちよりも入り口から遠い席に座っている。
何より、笑みを浮かべたその顔と視線は明らかに俺に向けられている。
確実に、あの幼女は俺に用が有るのだ。
うん、そうは言っても他の客が気付いて変に騒ぎになるのも面倒だな。
「ここは…《タイム・オブ・ゼロ》」
「な、何したの?」
『時間を止めたみたいだな。ほら、外』
ベリタスの言葉に、佐々木はレストランの前の通りに目を向ける。
人や、車や、空を飛ぶカラスは軒並みその動きを止め、ちょうど信号の切り替わりのタイミングだったのか、全ての信号が赤のまま変わらない。
「時間を止めたって簡単に言うけど……あの子こっちに来るよ?」
そりゃああの子は時間停止の効果対象外にしたからね。
「え?待ってなんでそんなに落ち着いてるんだい!?こっち来てるってば!!」
『オイ、不気味な笑顔で刀ぶら下げてこっち来てるんだぞ?明らかに仲良くしましょうって雰囲気じゃねぇだろ、だからさっさとコーンを箸で一個一個スプーンに盛る作業を中止しろ』
はぁ~、しょうがないなぁ。
「ベリタス、あいつ誰だ?」
『さぁ。少なくとも知らない奴だなぁ』
ん?原作を知ってるはずのコイツがわからない?
………………なるほどね。
俺は一旦食事を中止して席を立つ。
「佐々木はドリンクバーの機械の方に行きなさい」
「わ、わかった」
佐々木がドリンクバーの方へ退避し、ベリタスも佐々木に付いていく。
それを視界の端で確認しつつ、俺は改めて食事の乱入者である幼女をみる。
年齢は恐らく10歳前後。まず間違いなく佐々木より下である。
髪は若干赤混じりの黒であり、背中までストレートに伸ばしていて、青と紫の蝶をあしらった髪留めをつけている。
服装は、真っ黒なワンピースに茶色のサンダルを履いている。
顔立ちは幼いが整っていて、かなり可愛い部類に入るのだろうが、今その整った顔には張り付けたような不気味な笑みが浮かべられている。
なんかもうあれ、怨霊が浮かべてるようなそんなイメージの笑み。とても、いい笑顔なんて口が裂けても言えない。
まぁベリタスの言うとおり、少なくともお友達になりにきた雰囲気じゃ無いね。コレは。
「やあ、名前がわからないから……刀ロリでいいや。何か用かい?」
「色並彩繋!」
刀ロリ呼びがご不満なのか、急にムッとした顔で自分の名前のようなものを口にする幼女。まあ、間違いなく自分の名前だね今のは。
「わざわざ自己紹介ありがとうよ、刀ロリ」
「色並彩繋!!」
「さっきも聞いたよソレ。まぁそうだな、これから先出番があったらもしかしたら覚えてやるよ。それで、用件は?」
俺が再び用を聞くと、刀ロリは再び笑みを浮かべ刀を構えた。
どうやらそういうことらしい。
「有機生命体の考える事って私わからないや」
チラリと佐々木の方に視線を向けて、笑みを深くする。
「何の力もない人間を自分から遠ざけるなんて、私の狙いがあの子だったらどうするのさ?」
今俺と佐々木の距離は10メートルも離れていない。俺からしてみれば、そんなのは距離に入らない。もっとも、そんなことをこの刀ロリにわざわざ教えてやる筋合いもない。
それより気になるのは、コイツはベリタスについて何も言わないなぁ?という事なのだが、まぁ今聞く必要もないだろう。
だから、俺は自分の影の中にある《空間倉庫》から、ロードラの世界でゼロシキという暗殺者から譲り受けた刀を取り出して。
「お前の狙いが佐々木だったとしても…無理だな」
そのままだらりと腕をおろしたままの姿勢…ノーモーションを取って。
「俺が立ちはだかっている」
ステージⅤのガストレアを召喚した仮面の男みたいなセリフを言いながら、楽しげな笑みを浮かべた。