空想は運命を弄ぶのか 作:山崎
寺に入れば、最低限の食事は与えられ、食べ物にだけは困らなくて済むことから生活に困った商人などが坊主になったのが元と言われている。」いくら生活が保障されても修行が辛く、保って三日が限界であったことから三日坊主なのだとか。
私も何事にも三日坊主にならぬよう、努力せねば
父が倒れてから十年が経った。もうこの世界に生まれてからの方が長くなった。
父の容態は回復するどころか悪化の一途をたどる。身体はやせ細り、起きていられる時間も日を追う毎に短くなっていく。もう長くはないだろう。
せめて彼が逝く前に私の一人前になった姿を見せたいものだ。
力だけなら何処にも引けを取らない自信がある。叶うのなら以前の父と力比べをしても良い勝負が出来るだろう。しかし如何せん頭の方はあまり良いとは言い難い。生まれた時に十七年のアドバンテージがあっただけで元々私は勉強が苦手なのだ。これでは父に遠く及ばない。
もっと真面目に勉強すればよかった。いつだって後悔は先に立ってはくれないのだ。
その点やはり長女たる私の妹はよくやってくれる。彼女は優秀だ。執務を私よりも早く、正確にこなしている。しかも時折私が頼もうとしていた資料を既に用意してくれていたりする。何故欲しがっていた資料がわかっていたのか尋ねても、「お兄様がこれを欲しがると思ったから」だそうだ。これが俗にいう女の勘だろうか。
彼女は力も申し分ないし人を使うことにも長けている。私には無いカリスマ気質まで持ち合わせている。妹に負けぬよう私ももっと努力せねば。
次女はというと少々元気に育ち過ぎた。
悪戯はするわ物は壊すわ言うことは聞かないわ最近では夜明け前なのに家にいないと思えば外で遊びほうけていた。
あの時は急いで抱きかかえ家に戻ったがあと少し遅かったようでおかげで私の肌が少し焦げてしまった。男の子顔負けのわんぱくさである。そんな彼女だが血を飲む時は私と同じように器に移してから飲む。といっても別に私のように人から直接吸血することに忌避を覚えているわけではなく、単純に上手く吸血が出来ないのである。彼女は力の加減があまり上手くできない。以前私の目の前で人間を一瞬でトマトのスプラッタにしたことがある。私の精神衛生にとても悪く、また後片付けも面倒なので長女が私の分と一緒に器に入れて寄越すようになった。
地力自体も中々に強く、彼女のじゃれつきにひやりとしたことも一回や二回ではない。
出来るだけ早く彼女には加減というものを覚えてもらわねば。
長女の時と比べ非常に手のかかる妹だがそれでも「お兄様♪」と猫なで声で甘えられると悪い気はしない。どんなに手がかかっても私には可愛い妹なのだ。
明日は妹達と一緒にピクニックに行こうか。長女の方は最近働き詰めであったし、次女にはここ最近遊んでやっていなかった。明日の夜はきっとよく晴れた絶好のピクニック日和だろう。